コロナ禍はなぜ静まったのか?医療のどこに課題があるのか?今こそ検証せよ
2023.04.18
この春から新型コロナウイルス対策が緩和されたものの、花粉症でマスクを外せない人も多く、健康についての私たちの不安は続く。4月9日放送の「そこまで言って委員会NP」では「春の健康診断SP」と題し、様々な健康をめぐる話題を議論した。最初に取り上げたのは、ここへ来てじわじわ新たな感染者が増えてきたコロナだ。論客たちに新型コロナの今について、最も疑問に思うことは何か、を聞いた。
森田豊氏(医者・ジャーナリスト)は鎮まった理由が気になると言う。
「デルタ株・オミクロン株など、それぞれの感染の波がなぜ鎮まったかが、はっきりとわからない。“複合的要素”だと説明されているが、ワクチンの接種率が高まったり、マスクを徹底して付けたり、緊急事態宣言を出したりしたが、どれが効果的だったか、はっきりしない。しっかりと振り返って検証した方がいい。」
宮沢孝幸氏(京都大学准教授)が自説を唱える。
「僕は前から『目玉焼き理論』(同心円モデル)を提唱しているが、これなら明確に説明できると思う。ウイルスの感受性には人によって差がある。免疫を持っているかどうかや、行動パターンなども違う。例えば最初の頃は、ホストクラブのような場所で流行する。次に一般家庭や一般社会に行くと勝手に感染率は下がっていく。毎回新しい変異株がでてくると、かかりやすくなる人が増えるが、一旦かかった人はしばらくかからない。それを繰り返している。全ての人々が同じ行動をして、同じ感受性を持っていると計算するから、理解できなくなる。」
森田豊氏(医者・ジャーナリスト)は鎮まった理由が気になると言う。
「デルタ株・オミクロン株など、それぞれの感染の波がなぜ鎮まったかが、はっきりとわからない。“複合的要素”だと説明されているが、ワクチンの接種率が高まったり、マスクを徹底して付けたり、緊急事態宣言を出したりしたが、どれが効果的だったか、はっきりしない。しっかりと振り返って検証した方がいい。」
宮沢孝幸氏(京都大学准教授)が自説を唱える。
「僕は前から『目玉焼き理論』(同心円モデル)を提唱しているが、これなら明確に説明できると思う。ウイルスの感受性には人によって差がある。免疫を持っているかどうかや、行動パターンなども違う。例えば最初の頃は、ホストクラブのような場所で流行する。次に一般家庭や一般社会に行くと勝手に感染率は下がっていく。毎回新しい変異株がでてくると、かかりやすくなる人が増えるが、一旦かかった人はしばらくかからない。それを繰り返している。全ての人々が同じ行動をして、同じ感受性を持っていると計算するから、理解できなくなる。」
©ytv
竹田恒泰氏(作家)が宮沢氏に聞く。
「水際対策だ、マスクだ、学校休校だ、とか、政府の施策はあんまり意味がなかったのか?」
宮沢氏が回答する。
「2020年最初の緊急事態宣言をやった時のデータを見ると、3月15日ぐらいから感染者数の加速度は落ちてきた。4月7日の宣言時にはもうピークアウトしていた。緊急事態宣言をやる時には、上がり始めた時を検出して行動抑制しないといけないが、どうしてもできない。毎回毎回、後手後手で失敗していた。」
須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)は。
「検証作業が必要だと思う。新たな感染症が出てきた時に、何が有効で何が有効じゃないかの経験の蓄積は絶対的に必要。政府がきちんと検証をやるべきだと思うが、本当にやってないのか?」
聞かれた森田氏は検証の不足を訴える。
「やっていないとは言わないが、結果がわからないならわからない、と報告すべき。それが伝わってこない。マスクをつければ飛沫を吸い込まないと、富岳のスーパーコンピューターが映像で示したことで、みんなマスクをした。ただ理論的根拠はあるが統計的根拠はない。『1000人がマスクをして1000人がマスクをしない、それでどれぐらい感染率が下がるか?』という検証が本当は必要なのだが、人体実験になるからできない。」
笠井信輔氏(フリーアナウンサー)が素朴な不安を言う。
「過去の検証もとても大事だが、私はこれからのことが心配。今は花粉症でみんなマスクをしている。花粉症が終わってみんながマスクを取ったらまた感染が広がらないか。」
須田氏が体験を交えつつ語る。
「マスクを外して感染が広まっても、弱毒化しているからほとんど社会問題化しないのではないか。 3月下旬から4月の頭にかけて取材のために行ってきたアメリカでは、ほとんどマスクをしていない。そして、ワクチンは本当に有効なのか。私は2回しか打ってなかったので、3月の上旬にワクチン接種をしに行った。すると問診時に医者が、『2回接種していると中和抗体は一定量になっているので、さらに接種しても抗体は微々たる量しか上がらない。副反応のリスクとワクチン接種のベネフィットを見るとリスクの方が圧倒的に大きい。打たない方がいいんじゃないか』と言う。ほんとにワクチンは今のタイミングで必要なのか。」
丸田佳奈氏(産婦人科医・タレント)は、接種の押し付けはよくないと主張。
「ワクチンを打つも打たないも自由。強制するのがおかしい。打ちたいと来ている人に、『あんた打たなくていい』と押し付けるのもおかしい。マスクも今は自分がしたくなければしなくていいことになっているのに、しなさいというのもおかしい。自分で決めたらいい。」
宮家邦彦氏(立命館大学客員教授)は国家の問題だと訴える。
「これは医療の問題であると同時に、国家安全保障の問題だと思っている。今回は内閣危機管理監(国防事項を除いたテロや災害などの危機管理を担当する内閣官房の官職)は動いたか。そうではなく厚生労働省を中心に、物事が動いた。場合によっては細菌兵器という可能性もあるのに、危機管理監はほとんど動いてないように見える。今せっかくひと段落したのだから、もう1回検証すべきだと思う。今度、もっとすごいものが来た時に、同じ対応を繰り返しても大混乱になる。」
森田氏が問題提起する。
「共感する。他の国に比べたら感染者が少ないのに、いとも簡単に医療崩壊が起きた。これを機に医療を抜本的に改革しなければいけない。何十年も続いた医療の構造をこのまま守っていたら、今後が心配だ。」
確かに、私たちも忘れかけているが、振り返っておく時かもしれない。行政としても検証は必要だろうし、日本の医療に問題があるなら解決して欲しいものだ。
【文:境治】
「水際対策だ、マスクだ、学校休校だ、とか、政府の施策はあんまり意味がなかったのか?」
宮沢氏が回答する。
「2020年最初の緊急事態宣言をやった時のデータを見ると、3月15日ぐらいから感染者数の加速度は落ちてきた。4月7日の宣言時にはもうピークアウトしていた。緊急事態宣言をやる時には、上がり始めた時を検出して行動抑制しないといけないが、どうしてもできない。毎回毎回、後手後手で失敗していた。」
須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)は。
「検証作業が必要だと思う。新たな感染症が出てきた時に、何が有効で何が有効じゃないかの経験の蓄積は絶対的に必要。政府がきちんと検証をやるべきだと思うが、本当にやってないのか?」
聞かれた森田氏は検証の不足を訴える。
「やっていないとは言わないが、結果がわからないならわからない、と報告すべき。それが伝わってこない。マスクをつければ飛沫を吸い込まないと、富岳のスーパーコンピューターが映像で示したことで、みんなマスクをした。ただ理論的根拠はあるが統計的根拠はない。『1000人がマスクをして1000人がマスクをしない、それでどれぐらい感染率が下がるか?』という検証が本当は必要なのだが、人体実験になるからできない。」
笠井信輔氏(フリーアナウンサー)が素朴な不安を言う。
「過去の検証もとても大事だが、私はこれからのことが心配。今は花粉症でみんなマスクをしている。花粉症が終わってみんながマスクを取ったらまた感染が広がらないか。」
須田氏が体験を交えつつ語る。
「マスクを外して感染が広まっても、弱毒化しているからほとんど社会問題化しないのではないか。 3月下旬から4月の頭にかけて取材のために行ってきたアメリカでは、ほとんどマスクをしていない。そして、ワクチンは本当に有効なのか。私は2回しか打ってなかったので、3月の上旬にワクチン接種をしに行った。すると問診時に医者が、『2回接種していると中和抗体は一定量になっているので、さらに接種しても抗体は微々たる量しか上がらない。副反応のリスクとワクチン接種のベネフィットを見るとリスクの方が圧倒的に大きい。打たない方がいいんじゃないか』と言う。ほんとにワクチンは今のタイミングで必要なのか。」
丸田佳奈氏(産婦人科医・タレント)は、接種の押し付けはよくないと主張。
「ワクチンを打つも打たないも自由。強制するのがおかしい。打ちたいと来ている人に、『あんた打たなくていい』と押し付けるのもおかしい。マスクも今は自分がしたくなければしなくていいことになっているのに、しなさいというのもおかしい。自分で決めたらいい。」
宮家邦彦氏(立命館大学客員教授)は国家の問題だと訴える。
「これは医療の問題であると同時に、国家安全保障の問題だと思っている。今回は内閣危機管理監(国防事項を除いたテロや災害などの危機管理を担当する内閣官房の官職)は動いたか。そうではなく厚生労働省を中心に、物事が動いた。場合によっては細菌兵器という可能性もあるのに、危機管理監はほとんど動いてないように見える。今せっかくひと段落したのだから、もう1回検証すべきだと思う。今度、もっとすごいものが来た時に、同じ対応を繰り返しても大混乱になる。」
森田氏が問題提起する。
「共感する。他の国に比べたら感染者が少ないのに、いとも簡単に医療崩壊が起きた。これを機に医療を抜本的に改革しなければいけない。何十年も続いた医療の構造をこのまま守っていたら、今後が心配だ。」
確かに、私たちも忘れかけているが、振り返っておく時かもしれない。行政としても検証は必要だろうし、日本の医療に問題があるなら解決して欲しいものだ。
【文:境治】
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