茨城県民の「いや、どうも」が万能すぎて、使い方が全然見えない件について

2019.01.18

‎1月17日放送の「秘密のケンミンSHOW」。ケンミン翻訳不能ワードのコーナーで紹介‎されたのは、茨城県民の「いやどうも」だった。と聞くと「いやどうも」は共通語なのになぜ翻訳不能ワードなの?と疑問に思う人が多いだろう。たしかに「いやどうも」はいわゆる方言と少し違う。前回の正月4時間SPに出てきた津軽弁のようなものとはまったく別物。方言ではないからこそ翻訳不能なのだと言える。‎

茨城県民にこの「いやどうも」について、軽い挨拶の意味ではないかと聞くと、違うと断言。ではどういう時に使うのか、番組に出てきた事例集を書き並べてみよう。‎
‎「インタビューしていいですか?」と聞かれて「いやどうも」と答える。→「困ったな」‎の意味
友達がラーメンの特盛りを勢いよく食べてるのに対し「いやどうも」→「えー?こんな食うの?」(少し小馬鹿にしてる)の意味
「カメラさん、チャック開いてるなあ!いやどうも!」→「!!(ビックリマーク)」の‎意味・・・チャックは本当に開いていた
孫ができた時にうれしくて「いやどうも」→「よかったね」の意味‎
並べるほど、かえって意味がわからなくなってしまった。それに難しいのが「じゃあこういう意味ですね」と聞くと、茨城県民は「うーん、そうとも限らないかなあ」と悩みだす。意味を固定させるとダメな様子だ。‎
ただとにかく、茨城県民の日常会話になじんでいるのはまちがいない。下妻市のフェイスブックページは「いやどうも下妻」の名称だというから親しまれる言葉として選んだのだろう。「いやどうも」というラーメン屋まであるのもご愛嬌だ。‎
なんとなくわかってきたのは、何にでも使える万能ワードらしいことだ。嬉しい時でも悲しい時でも、驚いた時でも面白い時でも、感情が動いた時には「いやどうも」と言えばいいのだ。と書くと茨城県民にまた「うーん・・・」と考え込まれてしまいそうだが。‎

スタジオでは茨城県民コンビのカミナリが二人して使い方を説明してくれた。‎
例えば茨城でもしお年寄りの長い話が止まらなかったら「いやどうも」と言えばピタリと話を止めてくれるそうだ。「はいよくわかりました」という意味になるのだ。‎
二人がレッスンのように教えてくれたのは・・・
‎「この前、マイホーム買ったんだよ」「いやどうも」‎
これは「おめえまだ20代なのに家建ててすげえなあ!」という意味だというのだが、そこまで長々と意味が込められるなんて無理がある。まあそれくらいニュアンスが伝わるということだろう。‎

それにしてもこの茨城の「いやどうも」。面白いのは、方言と違って言葉そのものは誰でもわかることだ。ことあるたびに「いやどうも」と言っていれば全国に定着するのではないか。何にでも使えるのだから便利な言葉だ。みなさんも、とりあえず使ってみるとどうだろう。何言ってんだこいつ、と変に思われても知らないが。‎

【文:境 治】
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