【栃木県】大嫌いな県民もいる郷土料理「しもつかれ」ってどんな料理?

2024.03.25

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栃木県の隠れた郷土料理「しもつかれ」。郷土料理といえばその県の人々は思わず笑顔になり、子どもの頃から大好きだったと語るものだ。だがこの「しもつかれ」、調べると鮭の頭が入っているし、正直見た目も微妙。紹介している本には「栃木県民も大嫌い」とある。そんな郷土料理ってある?
栃木を愛する漫才コンビU字工事に「しもつかれ」を取り上げると話すと二人して顔を曇らせ「渋いとこ目つけてきたな」と戸惑っている。食べるか聞くと顔を見合わせてしばしの沈黙のあと「食べますよ」と引きつり気味に言う。さらに感想を聞こうとすると「しつこいなあ、嘘も言えねえからなあ」と迷惑げだ。

賛否あるんですよ。好きな人は本当に好きだし、苦手な方もいて分かれる」と後ろめたそうに解説する。「たまにはおいしくない郷土料理を扱ってもいいと思うし好きな人は絶対いるんで探してください。再来年になったとしても」好きな人がいるにはいるが滅多にお目にかかれそうにないようだ。

そこで宇都宮の町で二人連れ20代女子に栃木の郷土料理を取材していると言ってみると「しもつかれ?」と察知して言う。二人で声を揃えて「嫌い」と回答。でも真っ先に思い浮かぶんですね。「恥みたいなところが」と蔑むように言う。「周りに好きな人はいない」と言い切る。「難しいかも、この取材」と心配されてしまった。

少し年齢の高い母娘に聞くと「まずい」と即答。それぞれの家庭の味があり、自分の家のなら食べられるが、よその家で勧められると「おいしいですねえ、と言うしかないですねえ」つまりよその家の「しもつかれ」はおいしくないってこと。

次に出会った若い女子二人。「大好きだよ」と片方が答える。初めてだぞ、好きと言う人!もう片方は「好きじゃないです」ときっぱり。「小学校の給食で出てもみんな残してた」と言うが、好き派の女子は「めっちゃおかわりしてた」とニコニコして言う。

その後も聞いて回ると、好き派が30%、苦手派が70%となった。
苦手派に理由を聞くと「鮭の頭!」と即答。生臭くて嫌なのだそうだ。別の眼鏡男子は「生臭さを感じる魚の味と、主張が激しい酒粕。改善が必要だと思います。」と妙に論理的に問題提起する。

栃木県のスーパーに行くと切り身の隣に鮭の頭がででーんと大量に並んでいる。
苦手な人が多いのに売れるのか?お店の方に聞くと「去年の実績が3.2t、1万1000個でした」そんなに?「初午に稲荷神社にお供えしていたのが始まりで、五穀豊穣を祈って作っていたのが残っているようです」つまり年中行事の一環なので必ず需要があるのだ。

初午の時期に大田原市のお宅で「しもつかれ」づくりを拝見した。鮭の頭を切って湯通ししたら大鍋にどっさり入れ、大豆と酒粕を加えて煮る。「2時間くらいかなあ」とお母さん。え?2時間?!「それから野菜入れて1時間、それから仕上げで1時間。」じゃあ全部で4時間??!!
煮たら申し訳程度の量の調味料を入れて完成。ところがお母さん、「しもつかれ」の大鍋を物置の床に置く。
なんで?「これで今晩冷やしておく」そうなの?冷やして食べるの?温かい方がおいしそうなのに。「冷たくした方がおいしい」と好き派のお母さんは言い切った。

翌日の夕飯で、冷やした「しもつかれ」がテーブルに運ばれる。他の郷土料理なら老いも若きも大盛り上がりするところだが、この日はみんな「しーん」。まったく盛り上がらない。皆さんに聞くと、お母さんとおじいちゃんおばあちゃんは好き派、残りの5人は苦手派だ。そりゃあ盛り上がらないはずだ。

お母さんは「しもつかれ」をごはんに乗せて「最高の出来」とご満悦。
苦手派の娘さんは口に入れると顔が泣きそうになってる。何十年ぶりで食べてみたお父さんは「いや、やっぱり駄目だな」だって。好き派のおばあちゃんは「嫌いな人の気持ちがわからない」でも娘さんは「好きな人の気持ちがわからない」と同じ言葉で返す。

微妙な郷土料理「しもつかれ」を盛り上げようと「しもつかれウィーク」なるイベントが開催されていた。「しもつかれブルース」が歌われ、「じゃがバターしもつかれのせ」「しもつかれピザ」などで郷土料理を見直してもらおうというのだ。無料で振る舞われた「しもつかれ」を苦手派の女性が「いままで食べられなかったけどおいしいです今日は」と見直してくれた様子。「しもつかれと和解しました。今日からラブラブな感じで!」

最近は給食に出る「しもつかれ」に鮭の頭ではなく、切り身やフレークを使っている学校もある。すると生徒さんたちも「見た目はおいしくなさそうだけど、食べたらおいしい」と喜んでいる。今日はイチゴも出てたけどどっちが好き?「イチゴ」そりゃそうか!

苦手な人が多い珍しい郷土料理「しもつかれ」も改善で愛されるようになるかもね!
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