『霜降り明星』も輩出!ストロングスタイルの漫才賞レース『ytv漫才新人賞』がリニューアル!その裏側を制作者に聞く!

2019.08.02

『霜降り明星』も輩出!ストロングスタイルの漫才賞レース『ytv漫才新人賞』がリニューアル!その裏側を制作者に聞く!
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皆さんは、『お笑い賞レース』と聞くと何を思い浮かべるだろうか?やはり筆頭は『M-1グランプリ』だろうか。コント好きなら『キングオブコント』。ピン芸日本一を決める『R-1ぐらんぷり』もある。年に1度の大勝負として全国規模で盛り上がりを見せるわけだが、逆に言うと世の中の多くの人は、しっかりとお笑い芸人のネタをテレビで見るのはこれらの大会の時くらいかもしれない。しかし、笑いの本場・大阪に目を転ずると…他ケンミン驚きの事実が!

実は、大阪のテレビ・ラジオ局はそれぞれ自分たちのお笑い賞レースを持ち、放送している。
それぞれ名前を挙げると、『NHK上方漫才コンテスト』(NHK大阪放送局)、『ABCお笑いグランプリ』(朝日放送)、『上方漫才大賞』(関西テレビ・ラジオ大阪)、『歌ネタ王決定戦』(毎日放送)、そして『ytv漫才新人賞』(読売テレビ)…
いや…そんなにいる!?
と思う方も多いだろうが…関西人には必要なのである。それは視聴者も、作り手側もお笑いが好き!ゆえに他ならない。エレベーターの中でOLらしき女性が「M-1で『アインシュタイン』が準々決勝敗退は納得いかない」「『ニッポンの社長』の評価が低すぎる」といった熱いお笑い談義を普通にしているのだ。そのあたりの、関西人の笑いに対する愛情を感じ取っていただくべく…今回は、8月3日(土)14:30~に放送を迎える『漫才Lovers NEXT ytv漫才新人賞選考会ROUND1』の金井南燮プロデューサー、山本大翔ディレクターに『ytv漫才新人賞』や賞レースに対する想い、番組の裏話などを聞いた。
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山本大翔ディレクターと金井南燮プロデューサー
『ytv漫才新人賞』は芸歴10年以内の若手芸人が参加できる漫才の賞レース。年3回の予選が行われ、それぞれ全15組から上位2組が予選を突破。計6組のコンビが年度末の優勝決定戦に進出することができる。
優勝賞金は100万円。2017年には『霜降り明星』が優勝し、その勢いのまま『M-1グランプリ』戴冠に至った。
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『ytv漫才新人賞』のスタジオ。若手芸人による激闘が繰り広げられる。
―― まず、ご自身と『ytv漫才新人賞』の関わりを教えてください。

金井:番組は2011年からスタートしたんですが、僕は2012年から入りまして、ディレクターを4、5年ほどやりました。2017年度からプロデューサーです。

山本:僕は社歴が4年目なんですけど、この番組のチームには去年のROUND1から入って、最初はADをやってました。でも学生の頃からこの番組はめっちゃ好きで、ずっと見てました。

金井:彼はむちゃくちゃのお笑い好きです。

山本:そうですね。

金井:ネットで大喜利をするタイプ。あとPCのデスクトップ画面はよしもと漫才劇場(※)のスケジュール表です。

山本:よく見に行くんです。生活の軸になってます(笑)。 

※よしもと漫才劇場…大阪・なんばにある若手芸人が主に出演する劇場。
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山本大翔ディレクター
―― 『ytv漫才新人賞』の特徴とは?
山本:1つはやっぱり、予選から放送してるっていうのは大きいですね。 予選から応援してたコンビが行ったぞみたいな、インディーズバンド感というか。「私たちがインディーズから応援してたバンドがついにメジャーデビューや!」みたいな。そういう応援の楽しみ方をしてもらえるのかなあと。

金井:他の賞レースの予選は作家さんなんかが審査するケースが多いですが、『ytv漫才新人賞』の選考会は放送するので芸人さんに審査してもらってるんですけど、その分うそをつけないというか。スタッフ側で手見せ(選考会出場者を決める事前審査)はしてますが、その後の15組の戦いになるとこっちの主義主張みたいなのは全く関係なく審査員の4人が決める、そこは背負ってもらってるんで。
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金井南燮プロデューサー
――じゃあ勝ち上がるコンビが予想と違ったりということも?

金井・山本:ありますあります。

金井:手見せではスタッフの審査で30組から15組に絞るんですが、その順位と選考会の審査を見ると結構、順番が変わってる事はあります。

山本:僕はあまり点数の集計のところに立ち会わないんですが、結果を知らされて「わ!ここなんや」って意外なところがあったりします。

金井:審査員の方も、がっちり作り上げた練習量、しっかりやってるネタを評価する人もいれば、一発の発想を「好きや」っていう感じで評価する人もいるので。その辺りは年間3回通して、いろんなタイプの方に審査してもらえるようには気を付けてますね。

山本:オール巨人さんとお~い!久馬さんは固定で出ていただいて。

金井:本当にどの審査員の方も、「年々、難しくなってきてる、差を付けづらい」って言ってます。
裏返せばみんなレベルが上がってきてるって事だと思うんですけどね。
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予選から先輩芸人たちが審査。審査員長はオール巨人が務める。
―― これまで番組で印象に残っている事は?

金井:風穴あけるズっていうのがずっと出てると思うんですけど(笑)。初めて出た時、僕が編集していたんですが、「ああ面白いなあ。変なやつがでてきたなあ」と思ってたんですけど、それ以降ほんとにずっと出てきてて、まずそれにびっくりしています(笑)彼らのような存在はこの賞ならではだと思いますね。
巨人師匠から「何で手見せに通るんや」と言われるような事もたまにあるんですが(笑)
他の賞レースではあまり見られないような芸人さんも結構入ってくるところが印象的なところかなあと。
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時に巨人師匠をも困惑させる、奇天烈トリオ・風穴あけるズ(松竹芸能)
山本:僕はリハーサルですかね。リハでカメラマンのためにADが漫才を完コピするんですよ。前日の夜に手見せの録画を見て練習して、完コピするっていう…全組ではないですけど、動きが多いコウテイさんとか、風穴あけるズさんとか。

金井:入社1、2年目が風穴あけるズとかコウテイとかのネタを、覚えるのが最初の仕事なんです。長いテレビマン人生でその入り口がいいのかどうかっていうのはすごいありますが(笑)。
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動きが多いネタを完コピするのもADの大事な仕事
山本:『ytv漫才新人賞』は年間、決定戦も合わせて4回ありますからストーリーは本当にあって。僕が学生の頃放送で見てた時、ずっと霜降り明星が好きやったんですけど、巨人師匠にまったくハマってない時期がありましたよね。

金井:ありました。

山本:「うわ、放送でこんなに(キツいこと)言うんや」って事とかもあったのが、その後通過して、優勝して…。その時巨人師匠にむちゃくちゃ褒められてて、すごい感動しましたねえ。

―― 今回から『ytv漫才新人賞選考会』がリニューアルしたということですが…

金井:まず、放送時間がお昼になりました。今までは深夜で放送していたのですが数字もいいし、ネタのレベルもずっと上がってきてる感じだったので、もっと広い人に見てもらえる枠でやろうという前向きな話になり、日曜放送の兄弟番組『漫才Lovers』ともより連動させようと、思い切って土曜の昼に放送枠を移動しました。

山本:タイトルも変わって、『漫才Lovers』という冠名は残しつつその後に「NEXT」、“次世代の”っていう意味の言葉をつけて、ちょっと長くなっちゃったんですけど『漫才Lovers NEXT ytv漫才新人賞選考会』という風にさせていただきました。

山本:あと今回新しくやった事としては、総合司会の千鳥さんがネタ前にフリップを見ながら出場コンビを紹介するシーン部分を厚くしました。お昼ですし、見てくださる視聴者があんまり知らないコンビも多いと思うので、今回初めて若手15組にコンビ名の由来とか、趣味、特技とか、千鳥に聞きたい事とかアンケートをとって、それを元に千鳥さんに引き出してもらって。

金井:日曜の『漫才Lovers』では、いろんな芸人さんとのクロストークで面白さを引き出す千鳥さんなんですけど、土曜の選考会は2ショットの世界。千鳥さんって、ほんのちょっとの材料だけ与えたら、もう2人でしゃべってるだけで面白い(笑)。なので、千鳥さんのトークの棲み分けというか、土日で違う味が出てるので両方見てもらいたいですね。
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総合司会を務めるのはいま最も勢いのあるコンビ、千鳥。
―― 番組作りにあたって大事にしている事は?

金井:テレビ全体を通してネタ番組は絶対に無くしたらダメだなあと思っているので、それをなんとか守るべく、毎回ちゃんとネタがしっかり見れるような作りにしているというのは、あります。

山本:緊張感を大事にしています。生放送でもいけるぐらい漫才が始まったら15組終わるまでまったく止めずに行くので。そこは芸人さんにも緊張感を持ってやっていただいているのかなと。

―― 関西では、『NHK上方漫才コンテスト』、『ABCお笑いグランプリ』、『上方漫才大賞』など、各局がお笑い賞レースを実施しています。他の賞レースはライバル視しているものですか?

金井:もう間違いなく全部あった方がいいし、全部素晴らしい。正直『M-1グランプリ』は別格で日本の一番の賞レースだと思いますし、そこにどんどん…霜降り明星とかもそうやったんですけど、『ytv漫才新人賞』で優勝してそこまで行ってくれるとすごいうれしいですし。関西の賞レースに関してはライバル視というより、それぞれあるっていうのはお笑い界にとってこんなハッピーな事はないですよ。他で優勝しているコンビが、こちらの手見せでは落ちたりしている。それぐらい見る人、場所によって違うし、いろんなタイプの芸人さんがせめぎ合っているので、そういう戦う場所がいっぱいあるっていうのは素晴らしいなと思います。

山本:確かにそうですね。僕も勉強にもなるし、視聴者として楽しんでます。本当に毎回どの大会も感動して、去年のABCお笑いグランプリが終わった後には『漫才Lovers』のTwitterアカウントで「最高でした」ってつぶやいちゃいました(笑)。

金井:そういうもんやもんなあ、ほんまに。

―― 最後に、視聴者へ向けてメッセージをお願いします。

金井:芸歴10年目以下でやってる大会ですが、この世代の芸人さんが一番力を入れてるのがネタだと思います。テレビでそんなに見れる機会がないので、そこはまず見て欲しいですね。トークとかロケとかいろんな場所に芸人さんの仕事の場は広がっていくんですけど、ほんとのほんとの入口はネタだと思うので、これから売れて行くであろう人の入口をぜひちゃんと見て欲しいなと思います。

山本:他の賞レースより組数が多い事もあって、知らないコンビもいっぱい出てくるんじゃないかと思うんですけど、この大会をきっかけに自分の好きな芸人さんの推しを作ってもらったりして、で、やっぱり劇場に行ってみてくださいって思いますね。もっと劇場ではコントもありますしコーナーもありますし、芸人さんが輝ける事をやってますので、劇場も行ってみてください。

金井:吉本の人?(笑)

山本:・・・あ、もちろんテレビも見てほしいですけどね!(笑)
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★漫才Lovers NEXT ytv漫才新人賞選考会ROUND1 
2019年8月3日(土) 午後 2:30 ~ 午後 4:00

<総合司会>
千鳥
<審査員>
オール巨人(オール阪神・巨人)、あいはら(メッセンジャー)、哲夫(笑い飯)、お~い!久馬(ザ・プラン9)
<出 演>
さや香、なにわスワンキーズ、ニッポンの社長、パーティーパーティー、チェリー大作戦、隣人、ダブルヒガシ、紅しょうが、たくろう、蛙亭、風穴あけるズ、ビスケットブラザーズ、マユリカ、コウテイ、ネイビーズアフロ(出演順)

★漫才Lovers 2019年8月4日(日) 午後 3:00 ~ 午後 4:30
<MC> 千鳥
<出演> からし蓮根、ダイアン、とろサーモン、ニューヨーク、ハイヒール、メッセンジャー、令和喜多みな実、笑い飯(五十音順)

<取材・文 谷口友紀 構成・吉井智也 北本ひかり>
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