芸人達の面白さを一切無視して、“運”だけでふるいにかける新米ディレクターの”残酷な企画”

2018.02.22

2月26日(月)深夜0:54〜関西地区で放送される『運ロワイアル〜芸人100人容赦なき運バトル』という番組がある。この番組、芸人100人を集めるものの、“運”の要素だけでナンバーワンを決めるというちょっと斬新な企画。芸人の神髄であるはずの“面白さ”など一切関係なく、運が無いものは次々と切り捨てていくという残酷な演出を手掛けた読売テレビ制作局の山本大翔ディレクターにこの番組の制作意図を聞いてみた。

実は、山本氏は読売テレビ入社2年目、制作歴はなんと8か月の超新米ディレクターだ。学生時代から芸人が大好きで、今でも劇場に週2回は通っているという筋金入りのお笑い好き。お目当ては売れっ子芸人ではなく、あくまでも無名芸人。「テレビ番組には出ていないけど、おもしろい芸人さんはたくさんいる、と常々思っていました。でも今のテレビ界は、すでに多くの人からおもしろいと認められている知名度の高い芸人さんしか出演できないような状況です。では、おもしろいとは別の軸で無名の芸人さんでも出演できる番組はできないかと考えました」と話す。
山本大翔ディレクター
そこで思いついたのが“運”。「芸は磨いて鍛えられるけど、運は鍛えられるものではなく持っているもの。それなら平等に出られるし、むしろ無名の若手芸人のほうがこうした内容にマッチするのではと思いました」。無名芸人に光を当てたいという想いが、企画実現につながった。
ロケが行われたのは強烈寒波が押し寄せた2月6日の朝。この日の気温は0℃!寒さに身体を震わせながらも、「初めてテレビに出演できる!」という熱い思いを胸に集まってきた何も知らない芸人達だが、彼らを待ち受けていたのは、非道なバトル『ロシアンお清め水』。ずらりと並んだ100個の紙コップの内、80個は高濃度のクエン酸水。喉を刺激する強烈ドリンクを引き当てた芸人は、なんと即ゲームオーバー。収録開始わずか数分で、100人中80人もの芸人が強制退場させられた。夢のテレビ露出はほんの数秒だった。
「『残酷すぎたかも』っていう罪悪感はめちゃめちゃありました。内心は辛かったですけど、また別の機会に恩返しします」と苦笑い。
その後に続く試練もまた残酷。お弁当休憩と思わせておきながら、弁当の蓋に“脱落”と書いたものを入れ込み、引き当てた芸人をゲームオーバーさせたり、
ロケ地を移動するためと思わせておいて、用意したタクシーに脱落のトラップをしかけたりと、ドSな演出が続く。「芸人さんたちの素のリアクションには思わず笑ってしまいましたね。やっぱり本当に喜んでいたり、心から悔しがっている姿って見ている側はおもしろいと思うんです。それに、テレビ慣れしていない芸人さんたちだからこそ、予定調和じゃない謎の行動や発言も飛び出すのもよかったです」と、新人ながらも確かな手ごたえを感じている山本ディレクター。

今回、運に翻弄されっぱなしの若手芸人を取りまとめるのが、地上波で初めてMCを務める「見取り図」のふたり。「よしもと漫才劇場をよく観に行くんですが、僕が今一番おもしろいと思う芸人さんです。おふたりとも後輩の持ち味を生かすのがお上手だなと感じていたので、今回MCをお願いしました」。また、若手芸人に混じり、注目度の高いおいでやす小田と守谷日和が特別枠で出演。「お手本じゃないですが、若手を引っ張っていってくれるような役割を担っていただきました。とくに小田さんの声量には注目してもらいたいです(笑)」。
番組MCの「見取り図」
厳しい運試しサバイバルを生き抜いて、100人の無名芸人から選ばれた、最強運の持ち主は誰なのか? 次世代のお笑い界を担うかもしれない最強運芸人の姿はもちろんだが、新米ディレクター山本の残酷な演出にもぜひ注目してほしい。

【取材・文:中野 純子】
■番組情報
運ロワイアル〜芸人100人容赦なきバトル〜
2月26日(月)深夜0:54〜 関西ローカルにて放送
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