話題の男女コンビ「翠星チークダンス」が奏でる不協和音と、それが生む推進力
2024.09.29
関西の情報番組などでおなじみの存在にもなりつつある男女コンビ「翠星チークダンス」。9月29日に放送されたytv新人漫才大賞のROUND1を突破し、来春開催予定の決定戦出場を決めました。ちろるさん(28)、木佐凌一朗さん(27)ともに高校生の時から漫才に取り組み、2014年にはコンビとして「ハイスクール漫才」で優勝。若さに加え、男女コンビという武器もある中、早くから注目を集めてきましたが、そこからの苦悩。そして、気づきとは。
―ytv新人漫才大賞のROUND1を1位通過となりました。
ちろる:これまで「ytv―」では全く結果を出せていなかったので、正直縁がないのかなと思っていたんですけどね(笑)。ありがたい展開に驚きました。
高校生の時からお笑いが好きで、お客さんとして予選を観に行っていた賞レースに自分が出られる。何とも言えない嬉しさがありますね。
―コンビ結成のきっかけは?
木佐:二人とも高校2年の時に高校生の漫才大会「ハイスクール漫才」にそれぞれ別のコンビで出場していたんです。なので、互いに存在を知ってはいたんですけど、高校3年でそれぞれコンビ解散し、余った者どうしが組んだというのが流れなんです。
前の相方さんと組んでいる時から「器用で上手な人だな」と思っていて。当時から僕はネタを書くほうだったので、上手にそこをやってくれる人だったらいけるなと。
ちろる:…。
木佐:あと、やっぱり高校生なので、男女で組むことに恥ずかしさもあるわけです。なので、周りで男女コンビはいない。その道を選んだ時点で、一つ抜きんでるというか目立つんじゃないかという気持ちがあったのも事実です。
実際、大阪のよしもと漫才劇場のメンバーに入るまではサッといけました。狙い通りというか。まだ19歳になりたて。男女コンビ。そういった要素で、良い具合に目立つというか。そこはあったと思います。
ここからいろいろ重宝されてお仕事をいただけるのかと思っていたんですけど、そこからが本当に苦しかった。後輩がどんどん出てくるけど、僕らの位置はそのまま。この世界の本当の厳しさ、難しさ。それを入ってから感じました。
―ytv新人漫才大賞のROUND1を1位通過となりました。
ちろる:これまで「ytv―」では全く結果を出せていなかったので、正直縁がないのかなと思っていたんですけどね(笑)。ありがたい展開に驚きました。
高校生の時からお笑いが好きで、お客さんとして予選を観に行っていた賞レースに自分が出られる。何とも言えない嬉しさがありますね。
―コンビ結成のきっかけは?
木佐:二人とも高校2年の時に高校生の漫才大会「ハイスクール漫才」にそれぞれ別のコンビで出場していたんです。なので、互いに存在を知ってはいたんですけど、高校3年でそれぞれコンビ解散し、余った者どうしが組んだというのが流れなんです。
前の相方さんと組んでいる時から「器用で上手な人だな」と思っていて。当時から僕はネタを書くほうだったので、上手にそこをやってくれる人だったらいけるなと。
ちろる:…。
木佐:あと、やっぱり高校生なので、男女で組むことに恥ずかしさもあるわけです。なので、周りで男女コンビはいない。その道を選んだ時点で、一つ抜きんでるというか目立つんじゃないかという気持ちがあったのも事実です。
実際、大阪のよしもと漫才劇場のメンバーに入るまではサッといけました。狙い通りというか。まだ19歳になりたて。男女コンビ。そういった要素で、良い具合に目立つというか。そこはあったと思います。
ここからいろいろ重宝されてお仕事をいただけるのかと思っていたんですけど、そこからが本当に苦しかった。後輩がどんどん出てくるけど、僕らの位置はそのまま。この世界の本当の厳しさ、難しさ。それを入ってから感じました。
©ytv
左からちろる、木佐凌一朗
―まだ十代で男女コンビ。高校時代の実績もある。かなり重宝されそうですけどね。
木佐:目立つことはできても、そこからが勝負ですからね。
若いことは武器でもあるんですけど、若すぎるというのもあったのかもしれません。今から思うと。20歳そこそこの子に“浮気ネタ”をされても、説得力を感じない。劇場の支配人さんからも「背伸びしすぎている」と言われたりもしました。
お客さんのほうが年上だったりもするので、潜在的に「生意気な二人だな」というのがあったのかもしれませんし。若いからこそ注目されたのもありましたけど、若いからこその弊害も感じました。
ちろる:今、相方がバーッとしゃべっている中でお分かりいただけたかもしれませんけど、前のコンビの時から周囲からものすごく嫌われてまして(笑)。
さっきもありましたけど、常に上から目線というか。「なかなか器用で上手な人やな」とか、どこ目線で話してんねんと(笑)。コンビを組んだ瞬間に「あ、嫌われていたのはこれか…」とアレコレ実感しました…。
10年、かなり重いストレスを抱えながらやっていますけど、ま、結果さえ出れば我慢できるので、とにかく「結果よ、出てくれ」。それのみです。
幸い、個人のお仕事はメディアでもいろいろとやらせてもらっていて。ただ、やっぱりコンビとして売れたいと思っているので、そのためには今回のような賞レースで結果を残し続けるしかない。それは強く思っています。
―ただ、個人の仕事が増えることも知名度上昇につながるし、コンビとしてプラスにはなりますよね。
ちろる:名前を知ってもらえる。コンビの存在を知ってもらえる。ここは確実にあると感じています。営業に行った時も「私らのことを知ってくださっている人?」と聞いた時、手を挙げてくださる方も増えていますしね。
ただ、いろいろな番組のオーディション、コンビそろって受けているものも多いんですけどね…。結局、相方だけが落とされて。そういう結果を見るたびに、逆にというか「あ、この番組はちゃんとした番組やな」とも感じています(笑)。
―番組が慧眼であると(笑)。ここからの目標は?
木佐:とにかく関西の賞レースを一つは取りたい。そして、最終的には「М-1」決勝には行きたい。そのためには僕がよくできたネタを書くしかないんですけどね。
大きなパフェを見て「うわー、すごい!」と目をキラキラさせるようなロケが僕にはなかなかできず、そこを相方が補ってくれていますしね。そのうちにネタを考えないといけません。
ちろる:ね、本当にイヤな人でしょ(笑)。
今、男女コンビは増えているんですけど、大阪にいるコンビは幸いというか、ウソみたいにカラーがかぶっていないんです。商店街じゃないですけど、たくさんいることで盛り上がる部分もあるでしょうし、良き流れに乗れたらなとは思っています。
木佐:やっとここ1~2年でまだマシになってきたんですけど、最初に注目していただいたものの、そこから誰にも誉めてもらえない時期が続きました。5年くらいですかね。その間は本当にしんどかったです。
その頃、男女コンビばかりのイベントがあって「相席スタート」さん、「ゆにばーす」さん、「THIS ISパン」さんら錚々たるメンバーの中にポンと入れてもらったことがあったんです。
イベント後の打ち上げ、2軒目は男メンバーだけで行ったんですけど、そこで男女コンビの大変なところみたいな話になったんです。そこで、それだけ面白い兄さん方が自分と同じようなことで悩んできたことを聞いたんです。結果を出している方々でも、自分と同じところで考え、そしてそこを乗り越えてきた。その事実をうかがって、改めて思ったんです。「立ち止まっている場合じゃない。やるしかない」と。そこから少しずつ流れが変わっていったように思います。
―実際にリアルな思いを聞くと、感じることも多々あったでしょうね。
木佐:僕なんかがくよくよしている場合じゃないし、進むしかない。なんでしょうね、心底からの思いとしてそう思えたんです。
ちろる:…今、ちょっといい話をしにかかっているのも、また腹が立つんですけどね(笑)。でも、ここまで来たらこのコンビで進みたいですし、その道を歩んでもいるので、あとは結果を出す。本当にそれしかありませんし、そこに近づけるよう頑張りたいと思います。
■翠星チークダンス(すいせいちーくだんす)
1996年6月3日生まれのちろる(本名・太田千尋)と1996年10月12日生まれの木佐凌一朗のコンビ。ともに大阪府出身。吉本興業所属。高校在学中に互いに別のコンビを経て「いなかのくるま」を結成。高校3年時に「ハイスクール漫才2014」で優勝する。2020年に「翠星チークダンス」に改名する。関西の情報番組など出演多数。大阪市平野区住みます芸人。
木佐:目立つことはできても、そこからが勝負ですからね。
若いことは武器でもあるんですけど、若すぎるというのもあったのかもしれません。今から思うと。20歳そこそこの子に“浮気ネタ”をされても、説得力を感じない。劇場の支配人さんからも「背伸びしすぎている」と言われたりもしました。
お客さんのほうが年上だったりもするので、潜在的に「生意気な二人だな」というのがあったのかもしれませんし。若いからこそ注目されたのもありましたけど、若いからこその弊害も感じました。
ちろる:今、相方がバーッとしゃべっている中でお分かりいただけたかもしれませんけど、前のコンビの時から周囲からものすごく嫌われてまして(笑)。
さっきもありましたけど、常に上から目線というか。「なかなか器用で上手な人やな」とか、どこ目線で話してんねんと(笑)。コンビを組んだ瞬間に「あ、嫌われていたのはこれか…」とアレコレ実感しました…。
10年、かなり重いストレスを抱えながらやっていますけど、ま、結果さえ出れば我慢できるので、とにかく「結果よ、出てくれ」。それのみです。
幸い、個人のお仕事はメディアでもいろいろとやらせてもらっていて。ただ、やっぱりコンビとして売れたいと思っているので、そのためには今回のような賞レースで結果を残し続けるしかない。それは強く思っています。
―ただ、個人の仕事が増えることも知名度上昇につながるし、コンビとしてプラスにはなりますよね。
ちろる:名前を知ってもらえる。コンビの存在を知ってもらえる。ここは確実にあると感じています。営業に行った時も「私らのことを知ってくださっている人?」と聞いた時、手を挙げてくださる方も増えていますしね。
ただ、いろいろな番組のオーディション、コンビそろって受けているものも多いんですけどね…。結局、相方だけが落とされて。そういう結果を見るたびに、逆にというか「あ、この番組はちゃんとした番組やな」とも感じています(笑)。
―番組が慧眼であると(笑)。ここからの目標は?
木佐:とにかく関西の賞レースを一つは取りたい。そして、最終的には「М-1」決勝には行きたい。そのためには僕がよくできたネタを書くしかないんですけどね。
大きなパフェを見て「うわー、すごい!」と目をキラキラさせるようなロケが僕にはなかなかできず、そこを相方が補ってくれていますしね。そのうちにネタを考えないといけません。
ちろる:ね、本当にイヤな人でしょ(笑)。
今、男女コンビは増えているんですけど、大阪にいるコンビは幸いというか、ウソみたいにカラーがかぶっていないんです。商店街じゃないですけど、たくさんいることで盛り上がる部分もあるでしょうし、良き流れに乗れたらなとは思っています。
木佐:やっとここ1~2年でまだマシになってきたんですけど、最初に注目していただいたものの、そこから誰にも誉めてもらえない時期が続きました。5年くらいですかね。その間は本当にしんどかったです。
その頃、男女コンビばかりのイベントがあって「相席スタート」さん、「ゆにばーす」さん、「THIS ISパン」さんら錚々たるメンバーの中にポンと入れてもらったことがあったんです。
イベント後の打ち上げ、2軒目は男メンバーだけで行ったんですけど、そこで男女コンビの大変なところみたいな話になったんです。そこで、それだけ面白い兄さん方が自分と同じようなことで悩んできたことを聞いたんです。結果を出している方々でも、自分と同じところで考え、そしてそこを乗り越えてきた。その事実をうかがって、改めて思ったんです。「立ち止まっている場合じゃない。やるしかない」と。そこから少しずつ流れが変わっていったように思います。
―実際にリアルな思いを聞くと、感じることも多々あったでしょうね。
木佐:僕なんかがくよくよしている場合じゃないし、進むしかない。なんでしょうね、心底からの思いとしてそう思えたんです。
ちろる:…今、ちょっといい話をしにかかっているのも、また腹が立つんですけどね(笑)。でも、ここまで来たらこのコンビで進みたいですし、その道を歩んでもいるので、あとは結果を出す。本当にそれしかありませんし、そこに近づけるよう頑張りたいと思います。
■翠星チークダンス(すいせいちーくだんす)
1996年6月3日生まれのちろる(本名・太田千尋)と1996年10月12日生まれの木佐凌一朗のコンビ。ともに大阪府出身。吉本興業所属。高校在学中に互いに別のコンビを経て「いなかのくるま」を結成。高校3年時に「ハイスクール漫才2014」で優勝する。2020年に「翠星チークダンス」に改名する。関西の情報番組など出演多数。大阪市平野区住みます芸人。
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