「アルバイト生活に戻っても挑む」。『マルセイユ』が見すえる次の景色
2022.09.12
漫才を軸にネタでも、ロケでも存在感を見せている「マルセイユ」。10月22日には東京・よしもと有楽町シアターで「マルセイユのただただ楽しいライブ」を開催します。これまで関西を中心に仕事の幅を広げてきましたが、ツッコミの津田康平さん(33)、ボケの別府貴之さん(38)ともに「アルバイト生活に戻ったとしても勝負に出たい」と次のフィールドとして東京を強く見据えます。そこに至った思いとは。
津田:来月東京でイベントをするんですけど、東京に挑戦したい。その思いが去年あたりから出てきて、その一つの形としてやらせてもらうことになりました。
挑戦という言い方をするとカッコつけてるみたいになりますけど、この仕事をやっているんだったら踏み出さないと意味がない。そんなことを新型コロナ禍の中で考えるようにもなっていったんです。
ありがたい話、関西でいろいろとお仕事をさせてもらうようにはなりました。ある程度の収入もいただけるようになり、アルバイトせずに暮らしてはいけるけど、今一度考えた時に「18歳の自分がやりたかったのはこれなのか」と思ったんです。
芸人をやっている限りは、どうなるか分からないけど上を目指す。そこにリスクがあったとしても、やらないと動かない。関西の仕事がなくなってお金がゼロになってもいい。アルバイトの生活からでもいい。その覚悟が定まったのが去年でした。
そして、「アインシュタイン」さんも「見取り図」さんも「トット」さんも僕らが競い合わせてもらっていた方々が皆さん共通しているのが「行きたいと思った時に行った方がいい」というのはおっしゃっているので、そこに一つの意味があるんだろうなと。ゼロになるけど、その覚悟の方が大事じゃないかと。
別府:コロナ禍前は「ずっと関西で頑張ろう」という思いがあったんです。それはそれで意味のあることだし、もちろん簡単なことではないので、それはそれで挑まないといけないことなんですけど、僕らは二人とも独身で動きやすいとか、そういう部分もありますし、少しずつ東京を見据えていったという感じでした。
―東京を意識する中でスタイルやネタ作りなど変わった部分は?
別府:東京への意識なのか、もしくはこれまでの流れがたまたまそこに結びついたのか微妙なところでもあるんですけど、去年から雰囲気の違うネタもできてきまして。
津田:ツッコミの僕が基本的にネタを書いてるんですけど、ずっと「相方を使わないといけない」「相方の面白いところを出さないといけない」という感覚があったんです。
でも、そこを俯瞰で見る目が少しずつ出てきて、よく考えたら僕も変だと言われるし(笑)、もっとそこをネタに抽出できないかと。これまでは相方の色8、自分が2くらいの割合だったのが今は5:5になってますね。
8:2の時は「これがやりたい」ではなく「これを求められているのでは」でやっていたと思うんです。
「マルセイユ」って明るくポップで劇場でもスベらへん。そんなことを先輩方に言っていただいたりもして、その時点でありがたくはあるんですけど、そこに自分たちを合わせてネタを作っていた感じだったんです。
でも、そこから自分たちが面白いと思っていることをむき出しにする。“包装紙”だけはポップなままで中身をグイっと変える。それを去年からやり出すと、周りの反応が明らかに良くなってもいったので、これなんだろうなと。
そして、今は8:2もできるし5:5もできる。これが僕らの強みにもなのかなと思っています。広く喜んでもらえることもできるし、入り込んだこともできる。それがプロとしての腕だとも思いますし。
津田:来月東京でイベントをするんですけど、東京に挑戦したい。その思いが去年あたりから出てきて、その一つの形としてやらせてもらうことになりました。
挑戦という言い方をするとカッコつけてるみたいになりますけど、この仕事をやっているんだったら踏み出さないと意味がない。そんなことを新型コロナ禍の中で考えるようにもなっていったんです。
ありがたい話、関西でいろいろとお仕事をさせてもらうようにはなりました。ある程度の収入もいただけるようになり、アルバイトせずに暮らしてはいけるけど、今一度考えた時に「18歳の自分がやりたかったのはこれなのか」と思ったんです。
芸人をやっている限りは、どうなるか分からないけど上を目指す。そこにリスクがあったとしても、やらないと動かない。関西の仕事がなくなってお金がゼロになってもいい。アルバイトの生活からでもいい。その覚悟が定まったのが去年でした。
そして、「アインシュタイン」さんも「見取り図」さんも「トット」さんも僕らが競い合わせてもらっていた方々が皆さん共通しているのが「行きたいと思った時に行った方がいい」というのはおっしゃっているので、そこに一つの意味があるんだろうなと。ゼロになるけど、その覚悟の方が大事じゃないかと。
別府:コロナ禍前は「ずっと関西で頑張ろう」という思いがあったんです。それはそれで意味のあることだし、もちろん簡単なことではないので、それはそれで挑まないといけないことなんですけど、僕らは二人とも独身で動きやすいとか、そういう部分もありますし、少しずつ東京を見据えていったという感じでした。
―東京を意識する中でスタイルやネタ作りなど変わった部分は?
別府:東京への意識なのか、もしくはこれまでの流れがたまたまそこに結びついたのか微妙なところでもあるんですけど、去年から雰囲気の違うネタもできてきまして。
津田:ツッコミの僕が基本的にネタを書いてるんですけど、ずっと「相方を使わないといけない」「相方の面白いところを出さないといけない」という感覚があったんです。
でも、そこを俯瞰で見る目が少しずつ出てきて、よく考えたら僕も変だと言われるし(笑)、もっとそこをネタに抽出できないかと。これまでは相方の色8、自分が2くらいの割合だったのが今は5:5になってますね。
8:2の時は「これがやりたい」ではなく「これを求められているのでは」でやっていたと思うんです。
「マルセイユ」って明るくポップで劇場でもスベらへん。そんなことを先輩方に言っていただいたりもして、その時点でありがたくはあるんですけど、そこに自分たちを合わせてネタを作っていた感じだったんです。
でも、そこから自分たちが面白いと思っていることをむき出しにする。“包装紙”だけはポップなままで中身をグイっと変える。それを去年からやり出すと、周りの反応が明らかに良くなってもいったので、これなんだろうなと。
そして、今は8:2もできるし5:5もできる。これが僕らの強みにもなのかなと思っています。広く喜んでもらえることもできるし、入り込んだこともできる。それがプロとしての腕だとも思いますし。
©ytv
東京進出を見据えるマルセイユ(左:別府 右:津田)
―行きつくところはネタ?
津田:そうですね。東京に行きたいと思うのも、そこで多くの人に知ってもらったら、オッサンになった時になんばグランド花月で漫才ができる。最終的に幹になるのはネタ。そこだけは昔から思っています。
今年は新たなスタイルも作ってから初めて迎える「M-1」なので、何とか結果を出したいと思っています。自分たちが面白いと思っていることをやっているので、どう転んでも悔いがないのかなと。そこの感覚も去年とは違うと感じています。
―強く目指している東京ですが、いざ行くとなったら不安なことなどありますか。
津田:ホンマのこと言ったら、不安しかないですけどね(笑)。ただ、そこで止まっていたら何も変わらないし、本当にダメだったら最後はやめればいい。そこの覚悟も定まりました。
別府:…ただ、言葉では「バイトしてでも」と言ってますけど、できれば、バイトはしたくないですからね(笑)。もちろん、その心意気ではあるんですけど、しっかりとこの仕事で形を残せるよう進んでいきたい。そう思っています。
津田:そうですね。東京に行きたいと思うのも、そこで多くの人に知ってもらったら、オッサンになった時になんばグランド花月で漫才ができる。最終的に幹になるのはネタ。そこだけは昔から思っています。
今年は新たなスタイルも作ってから初めて迎える「M-1」なので、何とか結果を出したいと思っています。自分たちが面白いと思っていることをやっているので、どう転んでも悔いがないのかなと。そこの感覚も去年とは違うと感じています。
―強く目指している東京ですが、いざ行くとなったら不安なことなどありますか。
津田:ホンマのこと言ったら、不安しかないですけどね(笑)。ただ、そこで止まっていたら何も変わらないし、本当にダメだったら最後はやめればいい。そこの覚悟も定まりました。
別府:…ただ、言葉では「バイトしてでも」と言ってますけど、できれば、バイトはしたくないですからね(笑)。もちろん、その心意気ではあるんですけど、しっかりとこの仕事で形を残せるよう進んでいきたい。そう思っています。
©ytv
■マルセイユ
1989年3月21日生まれで大阪府出身の津田康平と83年9月23日生まれで宮崎県出身の別府貴之がそれぞれ別のコンビを経て2013年に結成。MBSラジオ演芸「ヤングスネーク杯」優勝。「ABCお笑いグランプリ」準優勝。「にちようチャップリン お笑い王決定戦」優勝。10月22日に東京・よしもと有楽町シアターで「マルセイユのただただ楽しいライブ」を開催する。
執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)
1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
1989年3月21日生まれで大阪府出身の津田康平と83年9月23日生まれで宮崎県出身の別府貴之がそれぞれ別のコンビを経て2013年に結成。MBSラジオ演芸「ヤングスネーク杯」優勝。「ABCお笑いグランプリ」準優勝。「にちようチャップリン お笑い王決定戦」優勝。10月22日に東京・よしもと有楽町シアターで「マルセイユのただただ楽しいライブ」を開催する。
執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)
1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
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