ウィル・スミスはなんて馬鹿なやつ!原田眞人監督が、日本映画の現状とアカデミー賞での事件に喝!
2022.04.28
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映画を通して、日本の現実が見える。1970年のイタリア映画「ひまわり」はロシアによるウクライナ侵攻を語る上で見ておきたい名作だ。ドキュメンタリー映画「クナシリ」を見ると日本の対ロシア制裁を語りたくなる。映画関係者による性暴力告発は日本のMeToo運動を考えるタイムリーな題材となった。
4月24日放送の「そこまで言って委員会NP」では映画監督・原田眞人氏を迎え、映画をネタに様々な問題を語った。中でも興味深かったのは、日本映画についての議論。その現状をどう思うかとの番組からの問いかけに原田監督と論客たちが回答した。
門田隆将氏は「世界で最も撮影が難しい国」と回答。「映画を撮影する許可を取るハードルがすごく高い。特に東京。霞が関の官僚や政治家、行政の意識を変えなければ映画が日本の文化の代表にはなり得ない。」
原田眞人氏が実情を語る。「例えばロサンゼルスではハリウッドブールバードをシャットアウトして撮影できる。韓国もそれに近い。日本では大都市で撮るにはかなり制約がある。」
番組議長・黒木千晶アナが原田氏に質問。「前に興行成績がよくないと時代劇なんか作れなくなると言っていたが予算的にはかなり厳しいのか。」
「厳しいが作り続ける。協力体制が例えば姫路市や岡山市など、広がっている。どこかコアになる建物と空間があれば、CGで変えたりもできる。時代劇の新しい知恵が開拓されてる。だからそこを国家が援助してくれないと、韓国映画に負け続けになる。」
竹田恒泰氏は「ドラマのノリ」と回答。「日本の映画は世界よりもまず日本で受けることを優先している。ガラケーと同じことになってしまう。ドラマのノリが抜けない作品が多く、説明しすぎ。映画は間や表情で、セリフ以上のものを感じさせるもの。」
村田晃嗣氏がアカデミー賞の国際長編映画賞を取った『ドライブ・マイ・カー』について言及。
「いい作品だと思うが、アカデミー賞を取る前は日本でそんなに見られてなかった。アカデミー賞を取ったら急にみんなが見出して、アメリカでウケたら日本でウケる状況だ。」
これについて黒木アナが「日本で評価される映画と海外で評価される映画の違いはどこにあるのか。」と原田監督に質問。
「安易な企画が日本は多すぎる。でもそれが日本の現状に合っていればお客さんが入ってしまう。自分の作品は登場人物が多い上にセリフも多いので字幕もすごく多くなる。海外の映画祭では世界中から何百本も来る中で作品を審査するから登場人物が多い映画だと訳わからなくなる。そうなるとわかりやすいアートフィルム、人数が少なく字幕も少ない映画になってしまう。『ドライブ・マイ・カー』の場合は村上春樹人気がすごく大きかった。自分が見た限りで言うとプロのキャスティングがいまいちだった。アマチュアの人たちがすごく良くてバランスが良くなかった。だからあまり好きではないがアカデミー賞で4部門ノミネートされたのは快挙。」
ここで宮家邦彦氏が原田氏に質問。「日本は人口が多いから、それなりに国内にマーケットがある。韓国は人口が日本の半分以下。世界に行かざるを得ない。そこが大きいのではないか。」
原田氏が経験を語る。「90年代ぐらいまでは企画を出すと製作会社から、とりあえず日本で受ければいいから海外の事は忘れてと言われていた。それでは駄目。」
丸田佳奈氏はキャスティングについて言及。「この映画が面白そうと思ったときにキャスティングを見て興味が半減する。同じ事務所から選ばれていたり、アイドルや芸人が多数採用されている。更地からオーディションしてない。業界内への忖度が見えてしまうとその作品に対しての評価が落ちる。」
原田氏が解説する。「プロダクションに所属しないとなかなか受け入れられない。アマチュアまで広げることがなかなかできないから、『ノマドランド』を見たときにプロとアマチュアの役者の混合が羨ましく素晴らしいと感じた。」
ここで黒木アナがアカデミー賞授賞式でのウィル・スミス氏の件について日本と欧米で評価が割れている点について原田監督の意見を求めた。
「彼がステージに歩いて行ったので、何か楽しいハプニングにするのだろうと思った。そしたら平手打ち。あれは絶対NOだ。受賞のスピーチでも作った連中に対する感謝も何もなく、自分の世界だけでしか考えてない、なんて馬鹿な奴だと腹が立った。同じ業界の人間として、しかもアカデミー賞を崇める立場としてはありえない。」
日本映画の現状について、論客たちはその閉鎖性を指摘し、原田監督もそれを体感してきたようだ。その垣根を取っ払って、日本映画が韓国映画に負けない存在感を世界で示せるよう期待したい。
【文:境 治】
4月24日放送の「そこまで言って委員会NP」では映画監督・原田眞人氏を迎え、映画をネタに様々な問題を語った。中でも興味深かったのは、日本映画についての議論。その現状をどう思うかとの番組からの問いかけに原田監督と論客たちが回答した。
門田隆将氏は「世界で最も撮影が難しい国」と回答。「映画を撮影する許可を取るハードルがすごく高い。特に東京。霞が関の官僚や政治家、行政の意識を変えなければ映画が日本の文化の代表にはなり得ない。」
原田眞人氏が実情を語る。「例えばロサンゼルスではハリウッドブールバードをシャットアウトして撮影できる。韓国もそれに近い。日本では大都市で撮るにはかなり制約がある。」
番組議長・黒木千晶アナが原田氏に質問。「前に興行成績がよくないと時代劇なんか作れなくなると言っていたが予算的にはかなり厳しいのか。」
「厳しいが作り続ける。協力体制が例えば姫路市や岡山市など、広がっている。どこかコアになる建物と空間があれば、CGで変えたりもできる。時代劇の新しい知恵が開拓されてる。だからそこを国家が援助してくれないと、韓国映画に負け続けになる。」
竹田恒泰氏は「ドラマのノリ」と回答。「日本の映画は世界よりもまず日本で受けることを優先している。ガラケーと同じことになってしまう。ドラマのノリが抜けない作品が多く、説明しすぎ。映画は間や表情で、セリフ以上のものを感じさせるもの。」
村田晃嗣氏がアカデミー賞の国際長編映画賞を取った『ドライブ・マイ・カー』について言及。
「いい作品だと思うが、アカデミー賞を取る前は日本でそんなに見られてなかった。アカデミー賞を取ったら急にみんなが見出して、アメリカでウケたら日本でウケる状況だ。」
これについて黒木アナが「日本で評価される映画と海外で評価される映画の違いはどこにあるのか。」と原田監督に質問。
「安易な企画が日本は多すぎる。でもそれが日本の現状に合っていればお客さんが入ってしまう。自分の作品は登場人物が多い上にセリフも多いので字幕もすごく多くなる。海外の映画祭では世界中から何百本も来る中で作品を審査するから登場人物が多い映画だと訳わからなくなる。そうなるとわかりやすいアートフィルム、人数が少なく字幕も少ない映画になってしまう。『ドライブ・マイ・カー』の場合は村上春樹人気がすごく大きかった。自分が見た限りで言うとプロのキャスティングがいまいちだった。アマチュアの人たちがすごく良くてバランスが良くなかった。だからあまり好きではないがアカデミー賞で4部門ノミネートされたのは快挙。」
ここで宮家邦彦氏が原田氏に質問。「日本は人口が多いから、それなりに国内にマーケットがある。韓国は人口が日本の半分以下。世界に行かざるを得ない。そこが大きいのではないか。」
原田氏が経験を語る。「90年代ぐらいまでは企画を出すと製作会社から、とりあえず日本で受ければいいから海外の事は忘れてと言われていた。それでは駄目。」
丸田佳奈氏はキャスティングについて言及。「この映画が面白そうと思ったときにキャスティングを見て興味が半減する。同じ事務所から選ばれていたり、アイドルや芸人が多数採用されている。更地からオーディションしてない。業界内への忖度が見えてしまうとその作品に対しての評価が落ちる。」
原田氏が解説する。「プロダクションに所属しないとなかなか受け入れられない。アマチュアまで広げることがなかなかできないから、『ノマドランド』を見たときにプロとアマチュアの役者の混合が羨ましく素晴らしいと感じた。」
ここで黒木アナがアカデミー賞授賞式でのウィル・スミス氏の件について日本と欧米で評価が割れている点について原田監督の意見を求めた。
「彼がステージに歩いて行ったので、何か楽しいハプニングにするのだろうと思った。そしたら平手打ち。あれは絶対NOだ。受賞のスピーチでも作った連中に対する感謝も何もなく、自分の世界だけでしか考えてない、なんて馬鹿な奴だと腹が立った。同じ業界の人間として、しかもアカデミー賞を崇める立場としてはありえない。」
日本映画の現状について、論客たちはその閉鎖性を指摘し、原田監督もそれを体感してきたようだ。その垣根を取っ払って、日本映画が韓国映画に負けない存在感を世界で示せるよう期待したい。
【文:境 治】
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