遊びゴコロ満載!東亞合成『アロンアルフア』のアニメCMがめちゃめちゃ楽しいワケ

2020.03.17

このところアニメCMを見る機会が増えた。中でも人気のひとつが瞬間接着剤『アロンアルフア』のCMだろう。

2018年に第一弾の『君に、くっつけ!』篇が放送され、現在までに4作が制作されている。今直筑乃(いますぐ・つくの)や九津剛(くっつ・つよし)などのアニメキャラが、恋に部活に受験にと奮闘する姿を描く青春ストーリー……だったはずだが、なぜか4作目ではパワードスーツを装着し、悪と戦うヒーローものに! 多くの視聴者から「ブッ飛んでる!」「何があったんだ(笑)」などのツッコミが入った。

アロンアルフア 接着ドラマ、再び。『アロンアルフアイター!』 フルver
これまでのアロンアルフアのテレビCMは、商品の特長である「瞬間的に、強力に、接着できる」を前面に押し出した、いわゆる実証実験ものだったが、このアニメCMシリーズでは、「くだらない!」「ウケる!」と若者が感じるようなストーリーにしつつ、接着シーンを盛り込んで商品の特長を伝えることを意識した内容になっている。

かつてのアロンアルフアのCMといえば実証実験風でおなじみだったが…。2016年に放送されたCM「バーベル」篇。
アロンアルフアを製造する東亞合成にいったい何があったのか!? 同社・接着材料事業部・コンシューマ部、およびCMの制作を担当した日本経済広告社に聞いた。

--公式YouTubeの再生回数が1000万回を超えるなど、どのCM動画も大人気ですね。

東亞合成(以下:東)「ありがたいです。予想以上に好評で、SNSなどを通じて視聴者の方から、『ブッ飛んでいておもしろい』『何があったんだ?』などのお声をいただいております。制作をお願いした日本経済広告社さんには『くだらないような、おもしろそうな動画をつくっていただけないか』とご相談しましたので、ほぼ狙い通りかと思います」

--アニメCMにしたのはなぜだったんですか。

東「きっかけはSNS上で“♯アロンアルフア”を見つけたことです。不思議に思っていろいろ見てみると、“友情”や“固い絆”を表す時に使われていることがわかりました。例えば、“♯アロンアルフア”を付けて、卒業式の写真をアップするような使い方ですね。ちょうどアロンアルフアを認知率の低い若年層にどうアピールすれば良いかを考えていた時でしたので、これは何か使えるんじゃないかと思いました」

--日本経済広告社さんは、依頼を受けてどう考えたのですか。

日本経済広告社(以下:日)「最初に東亞合成さんと共有したのは、『若者は今、接着剤に興味ないですよね』ということでした。若者はLINEとかAmazonとか化粧品とか、身近にあるブランドは大好きですけど、それに比べると若者の日常から接着剤はすごく遠い。ですから、まずは若者にアロンアルフアを好きになってもらうための動画をつくろうというところに目的を設定しました」

--なるほど。

日「そこで考えたのが、ブランド価値と若者の興味が交わる部分です。アロンアルフアのブランド価値は“速く、強く、くっつく”こと。若者の興味は“誰かとつながりたい、仲良くなりたい”という気持ちです。これを“くっつきたい気持ち”と定義して、『アロンアルフアは、誰かとくっつきたい気持ちを応援するブランドになりましょう』という方向に定めました。ただ、そのくっつきたい対象も恋人や友達、志望校など、いろいろあるのかなと。そこで第一弾を恋愛、第二弾を友情、第三弾を家族愛と受験をテーマにして、3部作でひとつずつを応援していく形にしました」

--社内の反応はいかがでしたか。

東「ある程度完成した動画を部署で試写した時は、若者がほとんどいなかったこともあり、案の定シーンとしました(笑)。今までにない取り組みでしたから、戸惑いの声も多くありましたし、『これまでのように、もっと接着力をアピールしたほうが良いのでは?』という意見も当然ありました。でも最終的には、『若い人たちに任せる』と上層部からOKが出ました。第一弾の放送後は予想を超えた反響がありましたので、『今の時代、こういうのも受け入れられるんだね』という声が大きくなって、シリーズを続けられることになりました」

--反響の大きさは、やはり動画がおもしろかったからだと思います。

日「そのあたりは、かなり意識しましたね。青春ストーリーの共通点を抽出しようと、『好きっていいなよ。』とか『アオハライド』とか『ストロボエッジ』とか、青春映画を片っ端から見ましたし……」

--へぇ(笑)。

日「それから、何度見ても楽しんでもらえるように、とにかくいろいろな小ネタを詰め込みました。例えば、突っ込んでくるトラックのナンバーが『東亞889 つ 49-29』で、“はやく、つよく、つく”になっていたり、イヤリングが『亞』の形だったり、手相が『ア』になっていたり。手相が『ア』は、たぶん、今のところ誰も気づいてないと思います(笑)」
よく見ると、くっつ君のてのひらに…!? (『君に、くっつけ!』篇のフルVerより。)
--九津剛(くっつ・つよし)や今直筑乃(いますぐ・つくの)など、キャラクターの名前もかなり遊んでますよね。

日「最初に思い付いたのは『くっつ君』という呼び方でした。こうするとアロンアルフアの接着機能を、短時間の中で何度もくり返すことができますから。そういう方針が決まって、キャラクターの名前は全部で6~70個は考えました。第二弾の『接着ナイン』篇は野球部員の名前をつなげていくと、『アロンアルフアの最後のア、間違えてる。大文字だ、覚えろ、命令形、すみません』になります(笑)」

--あ、ほんとですね(笑)。会議がめちゃめちゃ楽しそうです。

日「楽しかったですね(笑)。話しているうちにどんどんアイディアが出てきて、『じゃあ、それ入れましょう』『あれも入れちゃいますか』みたいな(笑)。みんなで楽しんでやった結果が動画に出たのかなぁと思います」

--その雰囲気のまま、ついに最新作の第4弾は、あの世界的な大人気映画を連想させるヒーローものになってしまいました(笑)。

東「青春ものは、いちおう三部作ということで、第三弾で終わりまして。アロンアルフアは海外展開もしていますから、今回はそちらにフォーカスしようと。引き続き、若年層にもアピールしつつ、プラスアルフアで海外でも話題になったらいいなと思います」

--こちらも変わらず小ネタ満載で。

東「そうですね。何度も楽しんでいただけるよう、隅々まで凝ってつくりましたので、テレビCMだけでなく、Web動画のフルバージョンもぜひご覧になってください」

【文:井出 尚志】
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