海鮮、ジンギスカンだけじゃない。いまや北海道のソウルフード?若鶏の半身揚げ!

2021.06.04

海鮮、ジンギスカンだけじゃない。いまや北海道のソウルフード?若鶏の半身揚げ!
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北海道のおいしいものといえばやはりカニやイクラなど海鮮料理がまず思い浮かぶ。いやそれだけじゃない、ジンギスカンもある!いやいやラーメンを忘れちゃいけない!などなど、百家争鳴で誰もが口々に主張しそうなこのテーマ、「若鶏の半身揚げ!」と声を上げる人もいるようだ。若鶏?北海道で?「半身揚げ」ってどういうこと?そんなのどうやって食べるの?おいしいの?

考えていてもモヤモヤするだけなので、現地に飛んでみよう!聞くところでは、若鶏の半身揚げの発祥は小樽市らしい。小樽といえば、運河が有名で独特な文化の香りがする。でも、そんな小樽で若鶏の半身揚げ?

小樽の街で若鶏の半身揚げについて聞いて回ると、マダム二人連れがいきなり「最高!」「最高!」と口を揃えて叫ぶ。「皮はパリッと中はジュ〜」そのおいしさを褒めちぎる。食べたことがないというと、「素人」「バカモノ」とけちょんけちょんだ。別の男性たちに聞くと「なると!」と、若鶏半身揚げを出すお店の名前を教えてくれた。「何かあったら食べたいソウルフード」「骨まで愛して」と、小樽市民にはすっかりなじんだ料理だとわかった。

その「なると」を小樽市で探して回ると、とにかくあちこちにある。駅構内にも、運河の近くにも、ショッピングセンターにも「なると」と、その系列の「なると屋」が小樽市内に9店あるそうだ。調べてみると、北海道全域に33店舗を展開する大きなご当地チェーン店だった。
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本店に行ってお客さんを観察すると、さっそくテーブルに運ばれて「若鶏定食!」と、半身揚げにごはんと味噌汁がついて定食として登場した。大きな半身をどう分けて食べるのかと思っていたが、ひとりにひとつとは!
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どうやって食べるのか見ていると、半身を手掴みで真っ二つにしてかじりつくではないか!そしてごはんをモリモリかきこんでいる。誰もが手づかみでワイルドに、熱々の若鶏を手がベタベタになろうとも気にせずダイナミックに食べている。
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鶏を揚げただけでそんなにおいしいの?聞いてみると「最大級のおいしい!」と叫ぶ。タレもなく塩味だけだが、それがおいしいらしい。「どこ食べてもおいしい!まずいところひとつもない!」と絶賛だ。もう少し冷静な方が「おかずにするのにちょうどいい塩味で、白米が欲しくなる」と教えてくれる。だから定食で提供されるのか。「鳥のいろんな部位のいろんな味が体験できる。これ一個でフルコース!カニ一匹食べるのと喜びは同じ」だそうだ。たしかに、胸肉、ささみ、もも肉、手羽元、手羽先、脚、ぼんじりと、鶏の部位を一通り堪能できるわけだ。
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調理場を見てみると、若鶏の肉がどっさり並んでいる。生後40日の若鶏がいいそうだ。これを半分に割って味をつける。オリジナルの塩コショウなど、味付けは企業秘密。これをフライヤー6台をフル稼働させ、200℃の高温で揚げるのだ。一度油から出した半身に、切り込みを入れて戻している。厚みのある胸肉の中のささみ部分に油を染み込ませるためだという。なるほど、この一手間が半身全体をジューシーにするのだな。
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しかしこの独特の料理はどうやって生まれたのだろう。創業者のお孫さんにあたる阿部哲也さんに教えてもらった。昭和27年に哲也さんの祖父母夫婦がお好み焼き店をはじめた。メニューの中に鶏の半身焼きがあったが、鉄板で焼くと30分かかる。そこで油で揚げてみたらおいしかったので、これでいこうと決めたという。創業者夫妻が淡路島出身だったからお店に「なると」と名づけたそうだ。

北海道のソウルフードには西日本のDNAが混じっている。そう考えると、日本中どこで食べてもおいしいはずだ。こんど、お取り寄せして食べてみようか。もちろん、いつか小樽に行って本場の半身揚げ、食べてみたいね!

【文:境 治】
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