消失した首里城は国費で復元中。政府は琉球文化の保護にもっと国費を投じるべきか?
2023.05.08
日本中が観光に沸いている。世界遺産に選ばれた地域は特に盛り上がっていそうだ。4月30日放送の「そこまで言って委員会NP」では「日本の世界遺産の問題点、徹底検証SP」と題して5つの世界遺産の課題を論じた。
中でも気になるのが、沖縄の首里城だ。2000年に琉球王国のグスクおよび関連遺産群として世界文化遺産に登録され人気観光地にもなったが、2019年10月に失火し消失。復元に向けて2022年11月に起工式が行われ、2026年秋には完成予定だ。国として復元に取り組み、国費で賄う。費用は正殿だけで120億円と試算され、全国から55億円の寄付金が集まったが、正殿復元後に北殿や南殿も再建を進めると費用はさらにかさむ。
番組では、「琉球文化の保護にもっと国費を投じるべきか」を論客たちに問いかけた。
鳥海高太郎氏(航空・旅行アナリスト)は「投じるべき」と回答。
「首里城は東京で言えば東京タワーみたいな存在。象徴的だし、観光客が1番最初に行く場所。沖縄は最低時給が853円。 国が1000円以上にあげようという中、観光業で頑張らないといけない。コロナ禍でみんなリゾートホテルに行って、沖縄の市内に行かない。国際通りも賑やかになってきたが、首里城があることで那覇に寄ろうというきっかけになる。」
笠井信輔氏(フリーアナウンサー)は「沖縄と内地の分断を生んではいけない」と主張。
「例えば 金閣寺が燃えたら税金投入すると思う。沖縄は違うとなると沖縄の人たちの差別感情がさらに膨らんでしまう。日本の本土と沖縄をつなぐ国の考え方として重要だと思う。」
村田晃嗣氏(国際政治学者)はシリアスな実情を語る。
「沖縄にとって平和がキーワード。『平和の礎』があり、沖縄戦で亡くなった方々は国籍を問わずに名前を記して敬意を示す。すごくいいと思うが、国籍別に分けられている。1945年には韓国も北朝鮮もない。どうやって振り分けたか聞いたら、ご遺族がいない場合は、その方の出身地が朝鮮半島の北だったか南だったかで振り分けたと言っていた。これは本当に亡くなった方の人権を尊重したことなのかと思った。」
須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)が国費を投じるべきと力説する。
「首里城は当時の図面がきちんと残ってる。ケチなこと言わずに、全部国費で1000億でも2000億でも使って再建すべき。」
竹田恒泰氏(作家)がシニカルに言う。
「焼けたなら、復元すればいい。ただ、毎年3000億円を沖縄に振興予算として出し続けている。そんな自治体は沖縄以外にない。これを続けていると本当の意味で沖縄の産業が育たない。」
須田氏が強く反応する。
「玉城デニー知事はこう言っている。沖縄は相当な基地を請け負っている。これがなければ、沖縄は自律的に経済成長していける。3000億円はいらない、基地をなくせ。この議論はどう思うか?」
延々続きかねない二人の議論を笠井信輔氏が元に戻して本村健太郎氏(弁護士)に聞く。
「あそこって国定公園なんですか?国営公園なんですか?」
この日は弁護士を捨てて世界遺産マスターの資格で語ると強調してきた本村氏が
「弁護士としての回答になるが。」と言うと、須田氏が「弁護士出すのか!」と突っ込む。本村氏は平然と続ける。
「首里城は国の法律である都市公園法で定めた日本に17か所ある国営公園の1つ。首里城正殿の再建に国費を投じるのは法律上当たり前という答えになる。2019年、フランスのノートルダム寺院が焼失し、その半年後に首里城が燃えてしまった。ノートルダムは紛れもない世界遺産であるのに対し、実は首里城正殿は世界遺産そのものではない。首里城の土台の部分だけが14世紀ぐらいからそのまま残っておりここが世界遺産。上の建物の部分は5回にわたって復元を繰り返してきており、世界遺産にはなりようがない。」
そこへ山口もえ氏が斜め上の話をする。
「首里城は今、修復しているところも見ることができる。すごくいいアイデアが浮かんだ。スペインのサグラダ・ファミリアみたいにずっと作っているといい。」
田嶋陽子氏が「そんなに長くかからないんじゃない?」と突っ込むと「だからゆっくりと。」と主張し続ける。
番組議長・黒木千晶アナが話題を変えるべく鳥海氏に沖縄観光の穴場を聞く。
「おすすめは日本最南端の波照間島。海の鮮やかさは、僕の癒しのスポット。」
そこに須田氏が下品に絡む。
「僕のおすすめは国際通りにある(ピーーーーッ)ガールズバーで。」放送できない言葉が出たらしく顰蹙をかったが、なぜか須田氏に弟分としてなつく鳥海氏が
「素敵な海って言った時にまた違う海だ。」と嬉しそうに言って終わった。
首里城は琉球文化の象徴として、ぜひ元の姿に国費で戻してほしいものだ。一方この議論でも、基地の問題がちらつくのも沖縄の現実だと感じた。
【文:境治】
中でも気になるのが、沖縄の首里城だ。2000年に琉球王国のグスクおよび関連遺産群として世界文化遺産に登録され人気観光地にもなったが、2019年10月に失火し消失。復元に向けて2022年11月に起工式が行われ、2026年秋には完成予定だ。国として復元に取り組み、国費で賄う。費用は正殿だけで120億円と試算され、全国から55億円の寄付金が集まったが、正殿復元後に北殿や南殿も再建を進めると費用はさらにかさむ。
番組では、「琉球文化の保護にもっと国費を投じるべきか」を論客たちに問いかけた。
鳥海高太郎氏(航空・旅行アナリスト)は「投じるべき」と回答。
「首里城は東京で言えば東京タワーみたいな存在。象徴的だし、観光客が1番最初に行く場所。沖縄は最低時給が853円。 国が1000円以上にあげようという中、観光業で頑張らないといけない。コロナ禍でみんなリゾートホテルに行って、沖縄の市内に行かない。国際通りも賑やかになってきたが、首里城があることで那覇に寄ろうというきっかけになる。」
笠井信輔氏(フリーアナウンサー)は「沖縄と内地の分断を生んではいけない」と主張。
「例えば 金閣寺が燃えたら税金投入すると思う。沖縄は違うとなると沖縄の人たちの差別感情がさらに膨らんでしまう。日本の本土と沖縄をつなぐ国の考え方として重要だと思う。」
村田晃嗣氏(国際政治学者)はシリアスな実情を語る。
「沖縄にとって平和がキーワード。『平和の礎』があり、沖縄戦で亡くなった方々は国籍を問わずに名前を記して敬意を示す。すごくいいと思うが、国籍別に分けられている。1945年には韓国も北朝鮮もない。どうやって振り分けたか聞いたら、ご遺族がいない場合は、その方の出身地が朝鮮半島の北だったか南だったかで振り分けたと言っていた。これは本当に亡くなった方の人権を尊重したことなのかと思った。」
須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)が国費を投じるべきと力説する。
「首里城は当時の図面がきちんと残ってる。ケチなこと言わずに、全部国費で1000億でも2000億でも使って再建すべき。」
竹田恒泰氏(作家)がシニカルに言う。
「焼けたなら、復元すればいい。ただ、毎年3000億円を沖縄に振興予算として出し続けている。そんな自治体は沖縄以外にない。これを続けていると本当の意味で沖縄の産業が育たない。」
須田氏が強く反応する。
「玉城デニー知事はこう言っている。沖縄は相当な基地を請け負っている。これがなければ、沖縄は自律的に経済成長していける。3000億円はいらない、基地をなくせ。この議論はどう思うか?」
延々続きかねない二人の議論を笠井信輔氏が元に戻して本村健太郎氏(弁護士)に聞く。
「あそこって国定公園なんですか?国営公園なんですか?」
この日は弁護士を捨てて世界遺産マスターの資格で語ると強調してきた本村氏が
「弁護士としての回答になるが。」と言うと、須田氏が「弁護士出すのか!」と突っ込む。本村氏は平然と続ける。
「首里城は国の法律である都市公園法で定めた日本に17か所ある国営公園の1つ。首里城正殿の再建に国費を投じるのは法律上当たり前という答えになる。2019年、フランスのノートルダム寺院が焼失し、その半年後に首里城が燃えてしまった。ノートルダムは紛れもない世界遺産であるのに対し、実は首里城正殿は世界遺産そのものではない。首里城の土台の部分だけが14世紀ぐらいからそのまま残っておりここが世界遺産。上の建物の部分は5回にわたって復元を繰り返してきており、世界遺産にはなりようがない。」
そこへ山口もえ氏が斜め上の話をする。
「首里城は今、修復しているところも見ることができる。すごくいいアイデアが浮かんだ。スペインのサグラダ・ファミリアみたいにずっと作っているといい。」
田嶋陽子氏が「そんなに長くかからないんじゃない?」と突っ込むと「だからゆっくりと。」と主張し続ける。
番組議長・黒木千晶アナが話題を変えるべく鳥海氏に沖縄観光の穴場を聞く。
「おすすめは日本最南端の波照間島。海の鮮やかさは、僕の癒しのスポット。」
そこに須田氏が下品に絡む。
「僕のおすすめは国際通りにある(ピーーーーッ)ガールズバーで。」放送できない言葉が出たらしく顰蹙をかったが、なぜか須田氏に弟分としてなつく鳥海氏が
「素敵な海って言った時にまた違う海だ。」と嬉しそうに言って終わった。
首里城は琉球文化の象徴として、ぜひ元の姿に国費で戻してほしいものだ。一方この議論でも、基地の問題がちらつくのも沖縄の現実だと感じた。
【文:境治】
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