お供えはお弁当?軒下におもちゃの車?独特すぎだぞ!全国のお盆カルチャー

2021.08.20

お供えはお弁当?軒下におもちゃの車?独特すぎだぞ!全国のお盆カルチャー
©ytv
今年のお盆は残念ながら実家への帰省を諦めた方も多いだろう。子どもたちをおじいちゃんおばあちゃんに会わせたいけど、ここはグッと堪えるしかない。そこで今回は、全国の独特なお盆の風習を紹介するので別のお盆を楽しんでもらおう。

まずは津軽地方の青森県民。お盆にお墓に行くと、普通はお花を供えて水で墓を清める。津軽の人はそのあと、おもむろにお弁当を取り出して供えるではないか。果物も置いて墓前がぎゅうぎゅうになっている。ご先祖さまはそんなに食いしん坊だったの?これは「法界折り」と呼ぶそうだ。そんなお盆の風習、初めて知ったが青森県民は「めちゃめちゃ普通です」と言う。津軽では、明治時代に蓮の葉に料理を乗せてお供えしていた。これが発展してお弁当に進化したようだ。法界折りはお盆になると仕出し店やスーパーで売っているという。さらに、ゴザを敷いて墓前でお弁当をみんなで食べて飲む人もいた。花見かよ!まあご先祖さまも賑やかで楽しんでくれてるだろうね。

次に紹介するのは茨城県南部の風習。あるお宅で観察すると、ご馳走がテーブルに並んで家族一同で囲んでいる。そこに、お母さんが運んできたのがごはん、なんだけどあんこが乗っているではないか!「お盆にはいつも出ますけど何か」と平気な顔の茨城県民。これなんですかと聞くと、「ぼたもち」と答えるからまたびっくりだ。でもお父さんはなんの躊躇もなく、「ぼたもち」を食べたら次には鯛のお刺身を食べ、かきたま汁をすする。「なんでも合う」って言うんだけど、合わないと思うなあ。お盆にぼたもちを食べるのは、元は三十五日の法要の後に杖とわらじを供えていたのだが、死出の山で足を滑らせないようあんこと餅米をわらじの裏に塗っていた。そのもち米とあんこを自分たちでも食べたのがお盆にも行事として定着したという。なるほどね、いろんなお盆があるもんだ。

次は山形県遊佐町。お盆の準備を観察していると、まず仏壇を飾っている。きらびやかに飾るものだと見ていると、お父さんが押し入れから何やら取り出した。なに?おもちゃの車じゃないか!それを軒下に吊るしたお父さん。「ご先祖さまが帰ってくる精霊馬の役目」だと説明する。別のお宅ではバスを吊るしている。「仏さんも増えてバスなら何人でも乗れるので」はあそうですか。他にも機関車、バイク、パトカー、トラクター、飛行機まで吊るしてる!ご先祖様の職業や趣味に合わせていろんな乗り物を吊るすのだ。遊佐町では昔、ワラで作った精霊馬を軒先に吊るしていたのだが、車社会になったので、車の方が喜ぶのではと40年くらい前からはじまった風習だという。中にはお金を吊るすお宅もある。「免許証がないので運転ができないんです。お金があれば乗って帰れるでしょう?」って何に乗って帰るって言うの?

最後は広島県広島市周辺のお盆。お墓に行ってみると、何やらカラフルなものが飾られている。一つのお墓だけでなく、墓地全体、ほとんどのお墓に様々な色で飾られている。これは盆灯籠を六角形に作ったもので、灯籠とは言えろうそくはない。これを広島ファミリーはお墓に持っていき、あらかじめ備え付けた専用の穴に差し込むのだ。賑やかなお墓が出来上がり、中には墓石が見えないほど灯籠で囲まれたものもある。お盆になるとスーパーで盆灯籠が気軽に手に入る。びっくりしたけど、カラフルで素敵な風習かもしれない。もちろんお盆が終わると盆灯籠は片付けられ、あとには灯籠立てが残されている。これはどうするのかお寺の人に聞いてみると「ご家族がボチボチ片づけていくのでしょう。」「墓地ですから」ってダジャレかよ!

一口にお盆といってもいろんな文化があるものだ。きっと来年こそ実家でお盆を過ごせるだろう。そしたら真似をして、法界折りを供えたり車を精霊馬にしたりカラフルな盆灯籠を飾るのもいいかもね。ぼたもち・・・はちょっと遠慮しておこうかな。

【文:境 治】
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