カレーの肉、西は牛で東は豚。その境界線はどこにあるか調査してみた件
2021.07.12
日本の文化は東と西でかなーり違う。それが如実に現れるのが食文化。例えばおにぎりに使う海苔は東は焼き海苔、西は味付け海苔。その境界線はどこにあるのか。10年前、「ボーダー調査隊」が派遣され調べた結果、三重県亀山市がその境界だった!
ではカレーの肉はどうだろう。東京では豚が常識で、牛肉を入れたカレーは「ビーフカレー」と呼び分ける。だが大阪で聞くと「豚は入れへんやろう」「豚肉のカレーなんか食べたことないわ」と、豚カレーをディスり気味に牛が常識だと主張する。
ではカレーの肉はどうだろう。東京では豚が常識で、牛肉を入れたカレーは「ビーフカレー」と呼び分ける。だが大阪で聞くと「豚は入れへんやろう」「豚肉のカレーなんか食べたことないわ」と、豚カレーをディスり気味に牛が常識だと主張する。
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ではその境目はどこか?ボーダー調査隊は東海道沿いの各県の県庁所在地で調査を開始。京都市で聞くと「あらためて言うことじゃなくて、カレー言うたら牛!」と叱られる感じで言われた。滋賀県大津市でキャンプ飯のカレーを作る一家に聞くと「牛肉がなかったらカレーはしない」と断言された。三重県津市もやはり牛肉が圧倒。
ところが愛知県名古屋市に行くと状況が一変!ここでは豚が主流だった!「豚肉がないときは牛を入れることもあるけど」と、牛を否定はしないが60%が豚と答えた。境界線が見えてきた!愛知は豚で三重は牛!
ところが愛知県名古屋市に行くと状況が一変!ここでは豚が主流だった!「豚肉がないときは牛を入れることもあるけど」と、牛を否定はしないが60%が豚と答えた。境界線が見えてきた!愛知は豚で三重は牛!
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だがここからがボーダー調査隊の真骨頂。名古屋市と津市の間のどこに境界線があるのかまで追求したい!地形に注目すると、2つの都市の間には長良川、揖斐川、木曽川の木曽三川と呼ばれる川がある。川が境目になっているのではないか?
そこでまず、長良川の西側の桑名市で聞くと、63%が牛だった。今度は木曽川の東にある木曽岬町で聞くと60%が豚と答えた。うむ!境界線が絞り込まれてきた!さらにその間には巨大な中州、桑名市長島町がある。ナガシマスパーランドで知られる町だ。
そこでまず、長良川の西側の桑名市で聞くと、63%が牛だった。今度は木曽川の東にある木曽岬町で聞くと60%が豚と答えた。うむ!境界線が絞り込まれてきた!さらにその間には巨大な中州、桑名市長島町がある。ナガシマスパーランドで知られる町だ。
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その長島町で聞いてみると、「カレーは牛肉。でも豚も使う。ミックスすることもある」おお!ここが牛と豚の境界線、ボーダータウンなのか?!
ここでボーダー調査隊は勝負に出た。長島町内で「明日午後1時にいつもご自宅で作っているカレーを公民館にお持ちください」聞いて回るのでなく、実物を持ってきてもらうことにしたのだ。だがこんな呼びかけに集まってくれるのか?
翌日午後1時、公民館前になんと51家庭の人々が鍋を持って集まってくれた!一つ一つの鍋からカレーをごはんにかけて、牛か豚かを確認していく。これが大接戦となり、一時は牛の圧勝に思えたが豚が巻き返し、また牛がリードするデッドヒートが続く!最終結果は、牛26人で豚25人。ほぼ半々で長島町がカレー肉のボーダータウンと実証されたのだった!よくやった、ボーダー調査隊!ありがとう、長島町の皆さん!
ここでボーダー調査隊は勝負に出た。長島町内で「明日午後1時にいつもご自宅で作っているカレーを公民館にお持ちください」聞いて回るのでなく、実物を持ってきてもらうことにしたのだ。だがこんな呼びかけに集まってくれるのか?
翌日午後1時、公民館前になんと51家庭の人々が鍋を持って集まってくれた!一つ一つの鍋からカレーをごはんにかけて、牛か豚かを確認していく。これが大接戦となり、一時は牛の圧勝に思えたが豚が巻き返し、また牛がリードするデッドヒートが続く!最終結果は、牛26人で豚25人。ほぼ半々で長島町がカレー肉のボーダータウンと実証されたのだった!よくやった、ボーダー調査隊!ありがとう、長島町の皆さん!
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なぜ長島町が境界線となったのか?3つの川で東西を遮断されたこの地では、昔から東西の文化が入り混じってきた。例えば関西弁の「アホ」と名古屋弁の「タワケ」が長島町では混在する。川が文化の境界になり、中洲にあたる町がその境界線になるのは当然かもしれない。
怒涛の調査から10年後、長島町を訪れカレーの肉の話をすると、二人のおかあさんが「観ましたもんね」「盛り上がった!」と覚えていてくれた。カレーの肉をあらためて聞くとひとりが「牛」、もうひとりは「豚」と答え、互いの違いを今知って驚いていた。
そして10年前の調査は思わぬ副産物を生んでいた。地元の食品メーカー・ヤマモリ株式会社に、調査を見た当時の桑名市長から新しいレトルトカレー開発の提案があった。牛肉のカレーと豚肉のカレーの両方が半分ずつ入った「天下分け目の桑名カレー」。これがサービスエリアなどで20万食売られるヒット商品になり、桑名市のアピールにもつながったという。
怒涛の調査から10年後、長島町を訪れカレーの肉の話をすると、二人のおかあさんが「観ましたもんね」「盛り上がった!」と覚えていてくれた。カレーの肉をあらためて聞くとひとりが「牛」、もうひとりは「豚」と答え、互いの違いを今知って驚いていた。
そして10年前の調査は思わぬ副産物を生んでいた。地元の食品メーカー・ヤマモリ株式会社に、調査を見た当時の桑名市長から新しいレトルトカレー開発の提案があった。牛肉のカレーと豚肉のカレーの両方が半分ずつ入った「天下分け目の桑名カレー」。これがサービスエリアなどで20万食売られるヒット商品になり、桑名市のアピールにもつながったという。
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ボーダー調査隊の活動が、新たな名物まで生んでいたとは!今回の調査でも長島町は牛と豚がほぼ半々で、相変わらずのボーダータウンだった。長島町の皆さん、いつまでもご家庭のカレーを守ってボーダータウンでいてください!正直言ってカレーは、牛でも豚でもおいしいけどね!
【文:境 治】
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