【ミヤネ屋・蓬莱さんが解説】気候変動対策と問題点

2024.12.16

世界で気候変動の対策会議が行われた

先月、世界約200の国や地域が集まって気候変動対策について話し合うCOP29が開催された。毎年、各国が目標とした対策をどこまで進められているかを確認したり、ルール作りを行う。今回はそれに加え、先進国が発展途上国に対し、「気候基金」をどれくらい出せるかがポイントとなった。
「気候基金」とは、先進国が発展途上国に対して資金援助すること。
今回決まったのは、先進国が発展途上国に対して年3000億ドル(約46兆円)、現状の3倍支援するとのこと。すごい金額だが、発展途上国はこれでも不十分だとして、納得していない。

そもそもなぜ我々がお金を出すのか

地球温暖化の原因となった温室効果ガス(主にCO2)を排出して豊かになった先進国は、これから豊かになりたい途上国に対して支援する責任があるという。
発展途上国といえど、20世紀のような化石燃料を使い放題、温室効果ガス出し放題ではなく、対策しながら発展していって下さい、先進国も協力しますのでという考え。
いま気候変動により大雨、干ばつ、高潮など影響を受けているのは、今まで好き放題してきた先進国だけでなく、温室効果ガスを排出してきてなかった発展途上国も影響を受けているのが現状。
とはいえ、気候基金に対して、先進国扱いされている日本人が「はい、わかりました」とすんなり受け入れられるかというと、多くの人がそうではないはず。

気候基金に対する問題点

まず、先進国で年約46兆円という莫大な支援金、日本をはじめ先進国も経済的に余裕があるわけではない。正直、何千億と海外にお金が流れるなら、今は震災の被害のあった能登半島に支援をしてほしいと思う。
この先進国という括りに、世界一の排出国(30%以上)の中国は入っていない問題もある。排出量世界2位のアメリカはトランプ大統領が科学的データごと否定し、今後協力しない姿勢を明らかにしている。排出量世界3位のインドも先進国に入っていないので、お金を出さない。
この3国でCO2排出量は世界の半分以上。ここがお金を出さないのに、日本やヨーロッパだけがお金を出すのは不公平感がどうしても出る。
しかも、中国は太陽光パネルの生産量が世界一で約80%のシェア。
日本、ヨーロッパの支援金→発展途上国へ→安価な太陽光パネルを大量生産している中国へ
結局、CO2排出量世界一の中国にお金が流れるのは、税金を払っている国民としては納得いかないのは当然だと思う。
いや、そもそも発展途上国に支援した気候基金は正しく使われるのだろうか?とさえ疑ってしまう。その支援金でミサイルや武器を買われてしまうことはないのだろうか。

気候変動対策についての個人的考え

現段階では、資金援助よりもまず先進国は自国で化石燃料から脱却した再エネ社会を構築することに全力を傾けてはどうか。発展途上国の気候変動対策よりも、まず中国、アメリカ、インド、ロシア、日本、ヨーロッパの排出を減らす方が先だろう。
日本としては、気候変動対策することで経済が豊かになり、日本のエネルギー自給率が上がり(現在11%、89%が輸入)、なおかつ未来の世代にとっても住みよい環境を渡せるようにと、そのような施策がとりやすいよう政府が主導してくれないだろうか。
「しなければならない」から「した方が得で、住みよい社会になるからしたい」という前向きな流れにならないものか。
国の経済が停滞または衰退方向へ向かっていきながら気候基金に税金が出ていくとなると、それは納得いかない。

日本の最新再エネ技術に希望

いま、太陽光発電でも、従来のパネル置き型ではなく、軽くて薄い曲げられるペロブスカイト太陽電池が注目されている。これは、例えばビルの外壁などにも設置できるという可能性が広がり、生産過程での原材料は海外に頼り切りにならずに済むのも利点。経済産業省は2040年度に累計で原発20基分の発電容量を目指している。
ガラスのような透明な太陽光電池も開発中だったり、ビニールハウスに貼れる技術も研究が進んでいる。農作物に必要な波長の太陽光はハウス内を通過し、野菜の光合成を促す。農作物には必要のない残りの光の波長を利用しハウス外側で発電する技術らしい。
他にも、昼間に貯めた太陽エネルギーを蓄電できる大規模な蓄電所の設置も電力会社で進められている。
海外に支援金を出すよりも、経済発展、国内エネルギー自給率アップ、環境に良い、一挙三徳できるこれらの技術革新にもっと支援してほしいと個人的には思う。

気象キャスターがこういう話をしないのは

気象キャスターが自分の担当する天気コーナーで気候変動の話題を入れにくいのは、時間的制約という理由もあるが、結局、気候変動の話題の落としどころが政治的になり、マスメディアで主観的思想が色濃く出てしまうというのがある。
ただ、こうしたエッセイなど主観がある程度入っても許容されるメディアでは、自分自身の勉強のためにも、思考構築整理のためにも、折に触れて気候変動の話題を扱っていこうと思い、今回はチャレンジしてみたのであった。
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