【そこまで言って委員会】日本と韓国の文化エンタメ対決!国家戦略の韓国か?現場力の日本か?

2023.07.13

【そこまで言って委員会】日本と韓国の文化エンタメ対決!国家戦略の韓国か?現場力の日本か?
©ytv
3月のWBCには日本中が沸いたが、実は今年W杯が目白押しだ。7月20日からはサッカーの女子W杯、8月25日からは男子バスケットボールW杯、9月はラグビーW杯とバレーボールのW杯も開催される。

そこで7月2日放送の「そこまで言って委員会NP」は「国力ワールドカップ大審判SP」と題し、原発推進のフランスと脱原発のドイツのエネルギー対決、人口世界一の座を奪い合う中国とインドの経済対決などを題材に、各専門家がレフェリーとなって勝敗をジャッジ。それに納得できるかどうかを論客たちが判断する新企画を放送した。
盛り上がったのが、日本と韓国による文化エンタメ対決。韓国は例えば映画制作への助成金が400億円と莫大で、国家戦略として文化エンタメ振興に取り組んでいる。一方日本は優れた作り手たちの結束で成り立っている。スポーツチームで言えば、国家という監督が新しい戦術を繰り出す韓国と、チームプレーと団結力の日本が戦っている状態。
この対決のレフェリー役、大野裕之氏(日本チャップリン協会会長)は上記の分析をもとに「引き分け」とジャッジした。果たして論客たちは納得してくれるのか?

須田慎一郎氏(経済ジャーナリスト)がいきなり「引き分けなんてありかよ。」とクレームをつける。
大野氏は「引き分けっていう試合もある。」と反論。
だが宮家邦彦氏(外交評論家)も「ジャッジはどっちかに決めなきゃいけない。」とクレームをつけ、大野氏は押されてしまった。

石川和男氏(政策アナリスト)は「納得できない、政治的理解度が日本は低すぎる」と回答。「文化も売り物と考えれば、日本のエンタメ製造業に力をいれるべき。外国で儲かれば日本人が儲かる。日本は国家予算をつぎ込むべき。クールジャパン政策は頓挫したが、もう1回リニューアルして、あそこに溜まっているお金を持ってくればいい。」
須田慎一郎氏がクールジャパン政策に反応。
「ある漫画雑誌出版社の社長に聞いた。政府の担当者が来て、40億出すからとにかく使って盛り上げてくださいと言われたと。全然戦略もない。」

石川氏が解説する。
「それならまだマシ。最初はそう言う。ところが予算を使う交付要綱というルールがある。手取り足取り全部書いてあって全部クリアすることはできない。」

須田氏が暴露する。
「ただその人はお金をもらって、銀座とか遊び回っていた。」

小谷賢氏は「国家の介入は最低限であるべき」と回答。
「国は金だけ出して口を出さないのが一番。クールジャパンが失敗したのは、茶道とか華道とかポッシュ(上品)なところにばかりお金をかけて、誰もアニメやゲームに関心がなかったので、そっちにお金がいかなかった。」

ここでレフェリーの大野氏が発言。
「21世紀に入ってからジョセフ・ナイ氏(米国の経済学者)が国力を軍事力や経済力のハードパワーで測るのでなく、エンタメや文化などのソフトパワーで世界に影響力を及ぼしていくことがすごく大事だと言った。経済的にも非常に効果がある。だがそれが非常にうまくいった韓国で何が起こっているか。国を挙げてエリートアーティストを育てたら、エリートになれなかった人が本当に悲惨な人生を送っている。それが本当に心を豊かにする芸術のあり方かと言ったら、そうじゃないと思う。ソフトパワーを押し出していくことは必ずしもいいことではない。」

竹田恒泰氏(作家)が同調。
「全く同意。例えば19世紀に浮世絵がヨーロッパを席巻した。国策としてやったわけでもなんでもない。ナウシカだってドラゴンボールだって、作品がよくて世界に広がった。中国はハリウッド映画にバンバンお金を出している。以前見たハリウッド映画で、火星だかに行って帰って来られなくなっちゃったら、最後の最後に中国が出てきて助けた。寺銭返せと思った。アメリカの映画だが、中国資本が入っている。で、最後中国に花を持たせるストーリーになっている。中国のイメージを上げろという国家戦略だ。」

大野氏が補足する。
「浮世絵が世界に広まったのは江戸時代の末期から、明治政府も当時の万博に積極的に国策として出していったから。当時、国策のソフトパワーは実は日本はうまかったとも言える。」
「WIN-WINとなるべし」と回答していた宮家氏が議論を締めるように発言する。
「日本と韓国の文化的な底辺はすごく近いと思う。 韓国のエンタメと日本のエンタメは兄弟みたいなもの。向こうの強みは向こうがウィンで、 こっちの強みはこっちがウィンで、両方やってけると思っている。」

これに大野氏が「だから引き分けなんです!」と主張し、最初にクレームをつけられたのをやり返した。

韓国の国を挙げての文化振興策はうらやましいが、大野氏の言うように最近は人により恩恵に差があることが問題とも言われはじめた。どちらのやり方がいいか、確かに「引き分け」なのかもしれない。

【文:境治】
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