【ノーカット掲載】大ヒットで放送終了!!愛と復讐の『ブラックファミリア~新堂家の復讐~』。番組プロデューサーが今だから話せる裏事情を放出!!ドラマ秘話超ロングインタビュー
2023.12.11
第1話が読売テレビプラチナイト木曜ドラマ枠の1週間見逃し再生数の最高を更新するなど、快挙を成し遂げた板谷由夏主演の復讐ミステリードラマ『ブラックファミリア~新堂家の復讐~』。
12月7日(木)に最終回が放送され、復讐のその先にあったラストに視聴者も衝撃を受けた。そんな大ヒット作品となった『ブラックファミリア』および過去2作のブラックシリーズを企画した生みの親・福田浩之プロデューサーに、超ロングインタビューを実施。今だから話せるドラマの秘話を聞いた。
12月7日(木)に最終回が放送され、復讐のその先にあったラストに視聴者も衝撃を受けた。そんな大ヒット作品となった『ブラックファミリア』および過去2作のブラックシリーズを企画した生みの親・福田浩之プロデューサーに、超ロングインタビューを実施。今だから話せるドラマの秘話を聞いた。
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オファー中の板谷由夏にドバイの空港で偶然出会う奇跡が生んだ作品!?
福田P:元々、個人的にいつか絶対、板谷さんとお仕事をご一緒にしたいと思っていて、そんな時にブラックシリーズの新しい作品をそろそろ…という声をいただき、『ブラックリベンジ』は愛する夫を亡くした女性の復讐劇、『ブラックスキャンダル』は自分自身が陥れられたことへの復讐劇だったので、復讐の動機として新しいテーマを持ちたく、自分に子供がいることもあり、子供を亡くした母親の復讐、というのを思いつきました。その復讐劇の内容が板谷さんに話をするならぴったりだと思い、「板谷さんと仕事をしたい」「ブラックシリーズの新作をやりたい」の2つが重なってできた作品で、本当にタイミングが嚙み合ったんです。
ただ実は、最初は「私が主演なんて…」と板谷さん、すごく悩まれていたんです。なので、この企画は板谷さんにやってもらうために作っている、板谷さんありきの企画ということを板谷さんにマネージャーさん経由で伝えてもらったんですが、丁度その思いを伝えてもらった翌日に、僕がカンヌへ向かうトランジットで立ち寄ったドバイの空港で、板谷さんと偶然出会ったことも重なり、「もうこれはやるしかない」と思ってもらえたんです。あれは本当に運命を感じました。
SNSで新堂家を応援するコメントやリアクションに喜びを感じた
福田P:家族の復讐劇ということで、今まで作ってきた復讐劇の中でも1番向き合うのが辛い作品でした。主人公に課す不幸や枷が今までで1番重く、その重さがあるからこそ復讐に向かっていくことをしっかりと表現して伝えるためだけに作ったその第1話だったので、特に第1話がどんなリアクションを世間から受けるのかが心配だったんですが、1週間見逃し再生数でこの枠最高を記録するなど本当に多くの方に見て頂けて安心しました。また、第1話の監督をして頂いた城定(秀夫)さんの影響が大きいですが、「今までこんなドラマ見たことない」という声をたくさんもらったのが嬉しかったです。
「今こういうのがウケるだろう」と思ってドラマを作ることが僕は好きではなくて、「とにかく見たことないもの、自分にしか作れないものを作ろう」という一心で作っていて、自分にしか作れないものという意味で自分のパーソナルな部分も入れ、そのパーソナルな部分があるからこそ本当に作品がわが子みたいな感じになるので、そのわが子が周りに魅力的に思ってもらえて本当によかったな、と思います。
復讐劇ではいつも登場人物たちに不幸を背負わせるし、決してハッピーな物語ではないけれど、それを受け止めて新堂家を応援してくれる、見ている人が新堂家の一員みたいな感じになって、後押しをしてくれているようなリアクションが、SNSなどでも多くみられました。それはもちろん新堂家に感情移入できたからではありますが、逆に言うと、早乙女家が本当に嫌な奴ばかりだったからというところが大きいです。しっかり憎めるキャラ、本当に嫌いになれるキャラをしっかり演じてもらえたからこそ、このドラマは視聴者がちゃんと新堂家に寄り添えたのではないか、と思うので、その点ですごく早乙女家に感謝しています。対比がはっきりしているからこそ、より新堂家に思い入れて作品を見てもらうことができたんだと思います。
ただの復讐劇に終わらせないように悪役が抱える愛憎の感情を丁寧に描いた
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福田P:企画を考える際にはいつも気を付けていることですが、人を憎むとか人を愛するとか、そういう感情は何千年も前から変わらずにあって、その根幹の普遍的な部分はしっかりと描きつつ、その感情を生み出すための外的要因を今の時代のものに合わせていく、普遍的なものと今をうまく組み合わせるというところを心掛けています。
ベースは普遍的な感情の部分ですが、2本軸と言えば2本軸。そのために、企画を練る時期は毎日絶対にニュースを見て、今の時代にそぐう内容を考えるようにしています。オリジナルの強みは、今この時代に視聴者が感じたり熱狂したりしていることなどを、普遍的な復讐や恋愛っていうテーマに組み込めることだと思うし、それが“テレビドラマ”をやる意義でもあるのかなと思っています。自分が今この時代、2023年にやる復讐劇、っていうのをちゃんと作りたかったので、そういう意味では今をしっかり切り取っている部分はあると思いますが、「こういうのがウケるんじゃないか?」というよりは、「実際にこういうことあるよね」というのを感情的な部分に組み込んでいる感じです。
今回でいうと、主たる例はMr.サルベージです。1番この時代っぽいキャラで、『ブラックリベンジ』『ブラックスキャンダル』の時代にはなかったものでした。ただ、そのMr.サルベージ、そしてそれを演じている伊志嶺というキャラクターを、単純に暴露系配信者というだけでなく、その裏にある麗美への感情、母性に近い愛を抱いている部分を描くことで、その感情と時代が重なるからドラマとして面白くなります。伊志嶺にとっては、麗美が大切だからその役割を引き受ける、ということでしかないので、その気持ちの部分を1番大事にしたかったです。早乙女家や伊志嶺など敵側にも、ちゃんと抱えているバックグラウンドがそれぞれにあって、それがあるからこそ悪役が務まります。そこをちゃんと作ってあげよう、という意識を常に持っています。
福田P:「ウケてほしい」と思って仕掛けているわけではないです。現代風刺みたいな部分は入れているから、それを面白がってもらえればいいな、という気持ちはありますが…仕掛けているわけではありません。
仕掛けようと思って仕掛けられるほどの自信もないので、自分が「これだ!」と思うものを出して、それが世間に受け入れられるかどうかです。今自分がこれを1番見せたい、というものを自信をもって出す、結果それが伝わるかどうか?というところだと思いますが、今回はそれでいうと、伝えたいことと時代性みたいなものが合わさってちゃんと伝わってくれたのかな、という結果論です。もちろん、結果としては本当に嬉しいです。
演者・スタッフ全員が自由に考えるからこそ、魅力的なドラマになる
福田P:オリジナル作品でしかも連続ドラマなので、あくまでも僕は企画の生みの親でしかなく、育てていくのは監督であり、各部のスタッフの皆さんであり、最終的にはその役を演じる俳優であるべきだと思っています。なので、クランクインしてから、役者や監督の意見を聞いて、台本と違った方がいいという意見があれば、まずその意見を出してくれたことに感謝し、ちゃんと向き合うようにしています。
僕は生みの親ですが、自分が生んだ子が育ての親に自分以上に大事にされ、自分とは違う魅力を引き出してくれた時、寂しいですが嬉しい面もあり、そのことを僕は“親離れ”と呼んでいるのですが、その“親離れ”をできるようにしよう、というところは今回も心掛けていました。なので、(クランク)インした後は極力たくさん役者と喋り、相手にも役柄について深く考えて頂き、「あなたがそのキャラを背負っているのですよ」ということを伝えています。その意識はすべてのキャストに対して共通なので、チーム全体としてそういう意識でやりましょう、という部分はあります。
それは役者に限らずスタッフも同じです。技術も美術も、宣伝といった他のセクションも、とにかく『ブラックファミリア』という作品を一緒に育てるんだ、という意識をとにかく持ってもらえるように心掛けました。ある種自由に、それぞれがそれぞれに『ブラックファミリア』ってこういう魅力がある、という思いを持ってくれたから、それにゆだねて作品を作っていったおかげで、自分では知らなかった作品の魅力に気付けることもありました。そしてその方が間違いなく、面白いドラマになるという確信があります。自分が生み出したキャラクターも、「こんな風に切り取ったらもっと面白いんだ」とか「売れるんだ」とか、喜んでもらえる人が増えるんだなという、そういうことを増やせているのはいいことですし、実際、キャラクター設定も初期とかなり変わっている人もいます。
次作に向けて自分の“ブラック”の溜まり待ち
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福田P:毎回ブラックシリーズをやり終えるたびに思いますが、自分の中の“ブラック”をその時1回全部出し尽くしてしまうので、本当に今は真っ白(笑)で、全く考えられないです。『ブラックリベンジ』と『ブラックスキャンダル』はあまり期間をあけていなかったので、それだけ思うことがあったということでもありますが…。でも、今回は本当に出し切ったので、一旦、また自分の中の“ブラック”が溜まるまで待っている感じです。
ただ、どんな“ブラック”か?は、その時の世間や自分の環境によるところがあり、分からないです。例えば5年後とかだったら、私の子供が16歳、高校生とかになっていて、そうなったら息子が主人公で親が殺されて復讐する、とか…学校でのエピソードを息子から聞いたら、息子に思い入れて学園ものの復讐劇が作れる、なんていうこともあるのかもしれません。自分に“ブラック”が溜まった時の、自分が置かれている環境と情勢によるところかな、と…本当にタイミングです。
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