超ハイスペックコンビ「Gパンパンダ」が吐露する“インテリ芸人”の呪縛
2021.09.14
公認会計士、税理士の資格を持つ星野光樹さん(29)と高IQ集団「MENSA」会員の一平さん(29)の超ハイスペックコンビが「Gパンパンダ」です。筑波大学付属中学・高校、早稲田大学と同級生で、2018年にはデビュー2年目で若手芸人の登竜門「NHK新人お笑い大賞」で優勝。経歴にたがわぬスタートダッシュで注目を集めていますが、インテリ芸人と呼ばれることが生む呪縛とは。
星野:少し戻って配信も含めて出られるようになった。そして、面白いLIVEは売れるということを感じています。
新型コロナ禍、もちろん大変ではあるんですけど、これによって考え方もいろいろ変わったなと感じています。
これまではライブに来てくださるお客さんということで考えると、東京を拠点にしている僕らが対象にするのは東京在住のお笑いファンの方。それが全体のパイだったのが、今はリモートの確立で、そのパイが全国に広がっています。
そうなると、いかに自分たちが唯一無二の存在になるか。その中の1%にでも刺さったら万々歳。環境の変化で、そんな感覚が出てきてもいます。
リモートで見てもらえるということは、ウケることはもちろん大事なんですけど、それプラス唯一無二の要素も必要だなとも感じています。そこをどうやったら出せるのか。結論を言うと、しっかりふざけようと思いました(笑)。
これまではきっちりしたネタを作ってきた感覚だったんですけど、僕らは“インテリコンビ”という紹介をしていただくことが多くて、そこからコンビの“あおり文句”的なことが「緻密なネタ」みたいになっていきがちだったんです。
そういう一定のイメージを持ってもらうことはありがたいことでもあるんですけど、そのイメージのまま優等生っぽい本当に緻密なネタを作って、仮に賞レースで優勝したとしても、そこからバラエティーとかトークの場でドーンといくことがないだろうなと。
なので、本当に難しいところではあるんですけど「どうだろう…、これ、伝わるかな?」「何割に伝わるかな…。やめておこうかな」というようなネタを、あえて「行ってしまえ!」みたいな感じでチョイスするようになってると思います。多少失敗してでも、エゴを出して勝負してみるというか。
一平:実際、今年7月に出たABCお笑いグランプリの決勝戦でも、かなり押し出しの強い、インテリコンビというイメージからは程遠いようなネタをすることになったんですけど、そう言う意味のチャレンジみたいなことはまさに今やっているところだと思います。
星野:少し戻って配信も含めて出られるようになった。そして、面白いLIVEは売れるということを感じています。
新型コロナ禍、もちろん大変ではあるんですけど、これによって考え方もいろいろ変わったなと感じています。
これまではライブに来てくださるお客さんということで考えると、東京を拠点にしている僕らが対象にするのは東京在住のお笑いファンの方。それが全体のパイだったのが、今はリモートの確立で、そのパイが全国に広がっています。
そうなると、いかに自分たちが唯一無二の存在になるか。その中の1%にでも刺さったら万々歳。環境の変化で、そんな感覚が出てきてもいます。
リモートで見てもらえるということは、ウケることはもちろん大事なんですけど、それプラス唯一無二の要素も必要だなとも感じています。そこをどうやったら出せるのか。結論を言うと、しっかりふざけようと思いました(笑)。
これまではきっちりしたネタを作ってきた感覚だったんですけど、僕らは“インテリコンビ”という紹介をしていただくことが多くて、そこからコンビの“あおり文句”的なことが「緻密なネタ」みたいになっていきがちだったんです。
そういう一定のイメージを持ってもらうことはありがたいことでもあるんですけど、そのイメージのまま優等生っぽい本当に緻密なネタを作って、仮に賞レースで優勝したとしても、そこからバラエティーとかトークの場でドーンといくことがないだろうなと。
なので、本当に難しいところではあるんですけど「どうだろう…、これ、伝わるかな?」「何割に伝わるかな…。やめておこうかな」というようなネタを、あえて「行ってしまえ!」みたいな感じでチョイスするようになってると思います。多少失敗してでも、エゴを出して勝負してみるというか。
一平:実際、今年7月に出たABCお笑いグランプリの決勝戦でも、かなり押し出しの強い、インテリコンビというイメージからは程遠いようなネタをすることになったんですけど、そう言う意味のチャレンジみたいなことはまさに今やっているところだと思います。
©ytv
――昨年、コロナ禍で舞台もストップした時には、他の芸人さんに先駆けてリモート形式のコントをされたりもしていたので、そう言う部分でも、インテリというか、アンテナの高さみたいなことは感じてもいました。
星野:確かに、リモートコントも芸人さんの中でも早い段階からさせてもらってはいたんですけど、やってみて思ったのは「お笑いファンの方々は、本質的にはこういうのは好きじゃないんだろうな」ということでした。
というのは、やっぱり、お笑いファンの方が見たいのは目の前で二人が展開するナマのコントだったり、漫才であって、映像で展開していくようなコントが本当に見たいものかというと、そこには乖離があることをすごく感じたんです。
――新しいスイーツは次々出てきますけど、甘いもの好きが昔から食べたいものは大福であり、ショートケーキであり、王道は変わらないんでしょうね。。
星野:コロナ禍でライブに行けない。舞台も見ることができない。そういう中で非常食的につなぎとめるものとしてはリモートコントも意味がないわけではないし、そういう珍しいものを見て、お笑いに興味を持ってくださった方もいらっしゃったのかもしれませんけど、もともとお笑いが好きでライブに来てくださっていた方が好きなのはやっぱりナマのもの。
一回目の緊急事態宣言が解除されて、ライブがちょこちょこ再開され始めた時の空気からしても、実際の舞台にお客さんはすごく前のめりになってらっしゃる。となると、求めてらっしゃるのは、こっちなんだなと強く感じました。逆に言うと、ナマのライブはなくならない文化なんだろうなと改めて思った瞬間でもありました。
――あえてオーソドックスから離れてみて、オーソドックスの意義を感じたというところだったのかもしれませんね。
一平:あと、こちらとしても求めることが少し変わってきたというか、最近になって、芸人ウケするとうれしいという感情が強くなってきたんです。
僕らの芸風的にも思うんですけど、芸人仲間が見て「『Gパンパンダ』のネタは面白いなと思ってくれるような状態がないとダメだなとも思っているんです。もちろんお客さんのウケありきではあるんですけど、もう一つ、そちらもないとダメなんだろうなと。
星野:2018年に「NHK新人お笑い大賞」をいただいたんですけど、その時に「すごいね」と言ってもらうことはあったんですけど、周りの芸人さんからの評価としてはそんなに感じなかったんです。リアルな感覚として。
ものすごく正直なイメージとして、賞はとったものの芸人さんが僕らのネタで笑うかと言うと、それはまた別というか。
そこにインテリ芸人みたいなイメージが影響しているのかどうかは分かりません。ただ、この1年ぐらい割と攻めたネタをやってきた中で、そこの反応が変わってきたように感じているんです。実際「今のネタ、すごいね」と芸人仲間から言ってもらう機会も増えてきて、そこが実はうれしい部分だなと。奇しくも、そういうネタはお客さんにはあまりウケないんですけど(笑)。
一平:今すごく大事なフェーズに入ってるような気がするんです。何が正解なのか。バランスも、見極めもすごく難しいんですけど、少なくとも、ここをクリアしないと僕らが大きく飛躍することはないんだろうなとも思っています。
芸人仲間からも面白さを認められ、お客さんにもしっかりウケる。これができている人がネタで売れる人だと思いますし、この流れを作らないとダメなんだろうなと。
――確かに、僕が取材をする中でも、2005年に「M-1グランプリ」で優勝した時の「ブラックマヨネーズ」はまさにそれだったと思います。芸人仲間は二人が“道場でのケンカ”が強いことをみんな知っている。ただ、それがなかなかお客さんに届かない。そこを努力で改善し、お客さんにもウケるようになったら「M-1」で圧倒的な優勝をしていた。本当にドーンと売れるためには、両方とも必要なんだと強く思いますね。
星野:芸人仲間からの評価を得るためでは全くないんですけど、新型コロナ禍で増えたことがありまして。というのは、僕が公認会計士、税理士でもあるので、各種給付金や一時金の申請を芸人さんから頼まれる機会が急増してまして。
最近は東京のみならず、関西の芸人さんからも相談を受けることも増えてきて、ネタの内容云々よりも「給付金の人」として芸人さんに認知されている部分も大きいんです(笑)。
そういう形でいろいろな人とつながれるのは大きいなと思いますし、インテリ芸人というのは「それだけ経歴があるんだったら、普通に働けばいいのに」と思われがちなところもあるので、役に立てることで“味方のインテリ”と思ってもらえるのはうれしいなと。
一平:その方法の是非はともかく(笑)、今が大切な時期であることは間違いないと思うので、なんとか突き抜けられるように頑張りたいと思っています。
星野:確かに、リモートコントも芸人さんの中でも早い段階からさせてもらってはいたんですけど、やってみて思ったのは「お笑いファンの方々は、本質的にはこういうのは好きじゃないんだろうな」ということでした。
というのは、やっぱり、お笑いファンの方が見たいのは目の前で二人が展開するナマのコントだったり、漫才であって、映像で展開していくようなコントが本当に見たいものかというと、そこには乖離があることをすごく感じたんです。
――新しいスイーツは次々出てきますけど、甘いもの好きが昔から食べたいものは大福であり、ショートケーキであり、王道は変わらないんでしょうね。。
星野:コロナ禍でライブに行けない。舞台も見ることができない。そういう中で非常食的につなぎとめるものとしてはリモートコントも意味がないわけではないし、そういう珍しいものを見て、お笑いに興味を持ってくださった方もいらっしゃったのかもしれませんけど、もともとお笑いが好きでライブに来てくださっていた方が好きなのはやっぱりナマのもの。
一回目の緊急事態宣言が解除されて、ライブがちょこちょこ再開され始めた時の空気からしても、実際の舞台にお客さんはすごく前のめりになってらっしゃる。となると、求めてらっしゃるのは、こっちなんだなと強く感じました。逆に言うと、ナマのライブはなくならない文化なんだろうなと改めて思った瞬間でもありました。
――あえてオーソドックスから離れてみて、オーソドックスの意義を感じたというところだったのかもしれませんね。
一平:あと、こちらとしても求めることが少し変わってきたというか、最近になって、芸人ウケするとうれしいという感情が強くなってきたんです。
僕らの芸風的にも思うんですけど、芸人仲間が見て「『Gパンパンダ』のネタは面白いなと思ってくれるような状態がないとダメだなとも思っているんです。もちろんお客さんのウケありきではあるんですけど、もう一つ、そちらもないとダメなんだろうなと。
星野:2018年に「NHK新人お笑い大賞」をいただいたんですけど、その時に「すごいね」と言ってもらうことはあったんですけど、周りの芸人さんからの評価としてはそんなに感じなかったんです。リアルな感覚として。
ものすごく正直なイメージとして、賞はとったものの芸人さんが僕らのネタで笑うかと言うと、それはまた別というか。
そこにインテリ芸人みたいなイメージが影響しているのかどうかは分かりません。ただ、この1年ぐらい割と攻めたネタをやってきた中で、そこの反応が変わってきたように感じているんです。実際「今のネタ、すごいね」と芸人仲間から言ってもらう機会も増えてきて、そこが実はうれしい部分だなと。奇しくも、そういうネタはお客さんにはあまりウケないんですけど(笑)。
一平:今すごく大事なフェーズに入ってるような気がするんです。何が正解なのか。バランスも、見極めもすごく難しいんですけど、少なくとも、ここをクリアしないと僕らが大きく飛躍することはないんだろうなとも思っています。
芸人仲間からも面白さを認められ、お客さんにもしっかりウケる。これができている人がネタで売れる人だと思いますし、この流れを作らないとダメなんだろうなと。
――確かに、僕が取材をする中でも、2005年に「M-1グランプリ」で優勝した時の「ブラックマヨネーズ」はまさにそれだったと思います。芸人仲間は二人が“道場でのケンカ”が強いことをみんな知っている。ただ、それがなかなかお客さんに届かない。そこを努力で改善し、お客さんにもウケるようになったら「M-1」で圧倒的な優勝をしていた。本当にドーンと売れるためには、両方とも必要なんだと強く思いますね。
星野:芸人仲間からの評価を得るためでは全くないんですけど、新型コロナ禍で増えたことがありまして。というのは、僕が公認会計士、税理士でもあるので、各種給付金や一時金の申請を芸人さんから頼まれる機会が急増してまして。
最近は東京のみならず、関西の芸人さんからも相談を受けることも増えてきて、ネタの内容云々よりも「給付金の人」として芸人さんに認知されている部分も大きいんです(笑)。
そういう形でいろいろな人とつながれるのは大きいなと思いますし、インテリ芸人というのは「それだけ経歴があるんだったら、普通に働けばいいのに」と思われがちなところもあるので、役に立てることで“味方のインテリ”と思ってもらえるのはうれしいなと。
一平:その方法の是非はともかく(笑)、今が大切な時期であることは間違いないと思うので、なんとか突き抜けられるように頑張りたいと思っています。
©ytv
■Gパンパンダ(じーぱんぱんだ)
1992年7月4日生まれの星野光樹(ほしの・こうき)と92年6月12日生まれの一平のコンビ。ともに東京都出身。筑波大学附属中学・高校の同級生で、二人とも早稲田大学商学部に進む。星野は20歳の時に公認会計士の試験に合格し、税理士の資格も保有。一平は大学卒業後、リクルートに就職。高IQ集団「JAPAN MENSA」の会員でもある。大学生時代は二人ともサークル「早稲田大学お笑い工房LUDO」に所属。大学卒業後はそれぞれ社会人として働くが「M-1グランプリ」が復活したことを受け、16年にワタナベコメディスクールに24期生として入学。同スクール卒業後の17年にワタナベエンターテインメント所属となる。18年には「NHK新人お笑い大賞」で優勝。YouTubeチャンネル「GパンパンダBamboo!x2」でネタ動画などを配信している。ワタナベエンターテインメント所属芸人によるお笑いライブ「ワタナベお笑いネタ祭り~WEL FES2021~」(9月20日、東京・イイノホール)にも出演する。他の出演者は「アンガールズ」、「ハライチ」、「ロッチ」、「ハナコ」、「四千頭身」、「Aマッソ」、「土佐兄弟」、サンシャイン池崎ら。
執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)
1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
1992年7月4日生まれの星野光樹(ほしの・こうき)と92年6月12日生まれの一平のコンビ。ともに東京都出身。筑波大学附属中学・高校の同級生で、二人とも早稲田大学商学部に進む。星野は20歳の時に公認会計士の試験に合格し、税理士の資格も保有。一平は大学卒業後、リクルートに就職。高IQ集団「JAPAN MENSA」の会員でもある。大学生時代は二人ともサークル「早稲田大学お笑い工房LUDO」に所属。大学卒業後はそれぞれ社会人として働くが「M-1グランプリ」が復活したことを受け、16年にワタナベコメディスクールに24期生として入学。同スクール卒業後の17年にワタナベエンターテインメント所属となる。18年には「NHK新人お笑い大賞」で優勝。YouTubeチャンネル「GパンパンダBamboo!x2」でネタ動画などを配信している。ワタナベエンターテインメント所属芸人によるお笑いライブ「ワタナベお笑いネタ祭り~WEL FES2021~」(9月20日、東京・イイノホール)にも出演する。他の出演者は「アンガールズ」、「ハライチ」、「ロッチ」、「ハナコ」、「四千頭身」、「Aマッソ」、「土佐兄弟」、サンシャイン池崎ら。
執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)
1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
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