テレビは世帯視聴率から個人視聴率になって番組づくりはどう変わったの?放送作家トーク2021
2021.01.07
テレビの視聴率がネット記事で取り上げられることがあるが、その視聴率が“世帯視聴率”なのか“個人視聴率”なのかバラバラだったりする。じつはテレビ局の指標は2020年春から変わっている。それまでの“世帯視聴率”から“個人視聴率”にだ。
これ、簡単に言うと、世帯視聴率は世帯が対象で家族の誰かひとりでも見ていたら「見た世帯」としてカウントされ、一方、個人視聴率は家族ひとりひとり
が対象で「何人が見たか」を個人ベースでカウントしているのだ。つまり、どんな人物がその番組を見ていたかが明確にわかるようになったというわけだ。
この変化は、近頃のデジタルデバイスの普及や見逃し配信のサービスなど、テレビを取り巻く環境の変化に合わせて、より正しい視聴価値を示すために行われたものだという。
さて、それによって番組づくりはどう変わったのか? 2021年、テレビはより面白くなるのか、それともツマらなくなるのか? 現役放送作家たちにZOOMで語ってもらった。
――2020年は何が一番変わったんですか?
放送作家A(以下A): 簡単に言えば、テレビが若返ったということでしょうね。それまではF3層(50歳以上の女性)を意識して企画を考えていましたが、個人視聴率になって、もはや3層(50歳以上)は重要視していない。担当しているレギュラーでも、以前は健康情報をテーマにすることが多かったけど、今やそんな企画を出す作家はいないんじゃないですか。
放送作家B(以下B): 某講義形式のバラエティなんて「プロゲーマーになるには?」なんて授業をやってるわけです。それまでは「肩こり腰痛を直す神ストレッチ」とかやってたのに。
放送作家C(以下C): そうやって内容を変えられる番組はまだいいですよ。対応すればそれで済むけど、困ってるのは番組そのものが3層向けのもの。いくつか終わっちゃいましたけど……。
A : それまで高視聴率だと評価されていた番組がとたんに“お荷物”になっちゃったんだから、かわいそうと言えばかわいそう。役目を終えたということでしょうね。
――ちょっと説明すると、世帯視聴率の場合、F3層をメインターゲットにするとそこの層が厚いから数字が稼げるという現状があったんですよね。でも、それも変わったと。
B : 戦後みたいですよ。価値観が一変するという。
C : あなた、戦後知らないでしょ(笑)。
B : けどそういった番組のスタッフからしたら、急に「えっ、おれらダメなの!?」って感じだと思う。これまで信じてきたものは何なんだって。
A : テレビ局としては番組をできるだけ高くスポンサーに売りたい。高齢者向けの番組はどうしても安いんです。購買力を持つコアファミリー層(※各局で設定が微妙に違うようですが、簡単に言えば13歳~50歳くらい)に向けた番組づくりになるのは仕方ないことですね。テレビ離れしていると言われる10~20代にテレビを見てもらおうというのはよい変化だと思いますよ。テレビの未来を考えたら。
――世帯視聴率から個人視聴率になって評価されている番組といえば?
C : それはもう『有吉の壁』でしょう。多くの人がこの番組をあげると思います。19時台といったらグルメや生活のお役立ち情報で埋めていたのが、純粋に笑わせるバラエティを持ってきたんですから、これはなかなかの判断。
B : 19時台は各局、変わってきてますね。キャストも入れ替わってる。
A : 確かにキャストも若返ってますね。ちょっと前にトーク番組のゲストに大御所俳優がキャスティングされてたんだけど、その回の数字が芳しくなったんで「単に大御所だからって呼ぶのはやめよう」って話に会議でなって。もちろんベテランの方にはベテランの魅力があるんですが、トークに制約が多かったり、ギャラが高かったり、気つかったりで(笑)。ちゃんと発揮していただく環境が整ってないと呼んでも効果がないって結論に。
C : それまでは3層に認知されてる大御所はいるだけでありがたかった。
B : 最近、重宝がられているのはYouTuberですね。YouTuberってどの層が支持しているか明確なので、呼ぶ根拠になる。テレビ業界にはいまだにYouTubeにアレルギーのある人もいるけど、『QuizKnock』(ウェブのクイズChannel)の伊沢拓司さんのような東大出身で知的な遊びを提供する人だったら、世の親御さんたちも拒んだりはしないでしょう。
C : 伊沢さんや松丸亮吾くんみたいな賢いキャラって、今の子どもたちからしたらひとつの憧れかもしれない。頭いいし、人気あるし、起業してお金持ってそうだし。
B : ふと思ったんだけど、昔、おバカを笑うブームってあったけど、アレって指標が世帯視聴率だから生まれたものなのかな……??
A : おバカブームってずっとあると思うけどね。今は「おまえバカだろ」とか簡単に言えなくなったというのはあるかもしれない。ティーンモデルで最初はおバカ発言を連発していた子も、今じゃすっかり常識人にキャラ変してるし(笑)。みちょぱやゆきぽよなんてギャルなのに社会性のあるマトモなコメントをすることで存在感をつくってる。
C : YouTuber、声優、あとはなんと言ってもお笑い第7世代でしょう。個人視聴率になったうえに、コロナで笑いを求める傾向が増えたのは間違いないですから。ネタ番組の多いこと。
A : 確かに個人視聴率になるのがもうちょっと早かったら、第6世代あたりがその恩恵にあずかれたんじゃないかな。ひな壇に縛られずにもっと自由にやれたのかもしれない。
B : そう、テレビに見切りをつけてYouTubeに行った人もいますし……。
C : もはやテレビとYouTube、へだたりなく活動すればいいのかなって思いますが。
A : 私なんかおじさんだから第7世代を見てると、笑いの質が変わったなあとヒシヒシと感じます。みんな、やさしい。今や攻撃的なイジリはいじめだし、体を張る芸は訓練されたフォーマット芸であるとわからせてないと笑えない。そんな時代ですよね。
これ、簡単に言うと、世帯視聴率は世帯が対象で家族の誰かひとりでも見ていたら「見た世帯」としてカウントされ、一方、個人視聴率は家族ひとりひとり
が対象で「何人が見たか」を個人ベースでカウントしているのだ。つまり、どんな人物がその番組を見ていたかが明確にわかるようになったというわけだ。
この変化は、近頃のデジタルデバイスの普及や見逃し配信のサービスなど、テレビを取り巻く環境の変化に合わせて、より正しい視聴価値を示すために行われたものだという。
さて、それによって番組づくりはどう変わったのか? 2021年、テレビはより面白くなるのか、それともツマらなくなるのか? 現役放送作家たちにZOOMで語ってもらった。
――2020年は何が一番変わったんですか?
放送作家A(以下A): 簡単に言えば、テレビが若返ったということでしょうね。それまではF3層(50歳以上の女性)を意識して企画を考えていましたが、個人視聴率になって、もはや3層(50歳以上)は重要視していない。担当しているレギュラーでも、以前は健康情報をテーマにすることが多かったけど、今やそんな企画を出す作家はいないんじゃないですか。
放送作家B(以下B): 某講義形式のバラエティなんて「プロゲーマーになるには?」なんて授業をやってるわけです。それまでは「肩こり腰痛を直す神ストレッチ」とかやってたのに。
放送作家C(以下C): そうやって内容を変えられる番組はまだいいですよ。対応すればそれで済むけど、困ってるのは番組そのものが3層向けのもの。いくつか終わっちゃいましたけど……。
A : それまで高視聴率だと評価されていた番組がとたんに“お荷物”になっちゃったんだから、かわいそうと言えばかわいそう。役目を終えたということでしょうね。
――ちょっと説明すると、世帯視聴率の場合、F3層をメインターゲットにするとそこの層が厚いから数字が稼げるという現状があったんですよね。でも、それも変わったと。
B : 戦後みたいですよ。価値観が一変するという。
C : あなた、戦後知らないでしょ(笑)。
B : けどそういった番組のスタッフからしたら、急に「えっ、おれらダメなの!?」って感じだと思う。これまで信じてきたものは何なんだって。
A : テレビ局としては番組をできるだけ高くスポンサーに売りたい。高齢者向けの番組はどうしても安いんです。購買力を持つコアファミリー層(※各局で設定が微妙に違うようですが、簡単に言えば13歳~50歳くらい)に向けた番組づくりになるのは仕方ないことですね。テレビ離れしていると言われる10~20代にテレビを見てもらおうというのはよい変化だと思いますよ。テレビの未来を考えたら。
――世帯視聴率から個人視聴率になって評価されている番組といえば?
C : それはもう『有吉の壁』でしょう。多くの人がこの番組をあげると思います。19時台といったらグルメや生活のお役立ち情報で埋めていたのが、純粋に笑わせるバラエティを持ってきたんですから、これはなかなかの判断。
B : 19時台は各局、変わってきてますね。キャストも入れ替わってる。
A : 確かにキャストも若返ってますね。ちょっと前にトーク番組のゲストに大御所俳優がキャスティングされてたんだけど、その回の数字が芳しくなったんで「単に大御所だからって呼ぶのはやめよう」って話に会議でなって。もちろんベテランの方にはベテランの魅力があるんですが、トークに制約が多かったり、ギャラが高かったり、気つかったりで(笑)。ちゃんと発揮していただく環境が整ってないと呼んでも効果がないって結論に。
C : それまでは3層に認知されてる大御所はいるだけでありがたかった。
B : 最近、重宝がられているのはYouTuberですね。YouTuberってどの層が支持しているか明確なので、呼ぶ根拠になる。テレビ業界にはいまだにYouTubeにアレルギーのある人もいるけど、『QuizKnock』(ウェブのクイズChannel)の伊沢拓司さんのような東大出身で知的な遊びを提供する人だったら、世の親御さんたちも拒んだりはしないでしょう。
C : 伊沢さんや松丸亮吾くんみたいな賢いキャラって、今の子どもたちからしたらひとつの憧れかもしれない。頭いいし、人気あるし、起業してお金持ってそうだし。
B : ふと思ったんだけど、昔、おバカを笑うブームってあったけど、アレって指標が世帯視聴率だから生まれたものなのかな……??
A : おバカブームってずっとあると思うけどね。今は「おまえバカだろ」とか簡単に言えなくなったというのはあるかもしれない。ティーンモデルで最初はおバカ発言を連発していた子も、今じゃすっかり常識人にキャラ変してるし(笑)。みちょぱやゆきぽよなんてギャルなのに社会性のあるマトモなコメントをすることで存在感をつくってる。
C : YouTuber、声優、あとはなんと言ってもお笑い第7世代でしょう。個人視聴率になったうえに、コロナで笑いを求める傾向が増えたのは間違いないですから。ネタ番組の多いこと。
A : 確かに個人視聴率になるのがもうちょっと早かったら、第6世代あたりがその恩恵にあずかれたんじゃないかな。ひな壇に縛られずにもっと自由にやれたのかもしれない。
B : そう、テレビに見切りをつけてYouTubeに行った人もいますし……。
C : もはやテレビとYouTube、へだたりなく活動すればいいのかなって思いますが。
A : 私なんかおじさんだから第7世代を見てると、笑いの質が変わったなあとヒシヒシと感じます。みんな、やさしい。今や攻撃的なイジリはいじめだし、体を張る芸は訓練されたフォーマット芸であるとわからせてないと笑えない。そんな時代ですよね。
――若手芸人さんはネットで好きなことができても、それでもテレビに出たいんですか?
C : 出たがってます。
B : やはりテレビでしょうね。
――なぜ?
C : 影響力が大きいからでしょう。テレビに出るとTwitterやインスタのフォロワー数がグンと伸びますからね。本人たちも街で声をかけられる回数が増えて、実感するんじゃないですか。自分たち知られてきたって。
A : リーチメディアとしてはまだまだ優位なんでしょうね。
――個人視聴率になって若返ったのはわかりました。それで2021年のテレビは面白くなっていくと?
A : だと思います。狙うターゲット層に支持されていればOKなんですから、いろんな企画が成立していくでしょう。単に数字を取っているから評価されるというわけでもなくなると思いますよ。
C : 某局のドラマの話ですが、視聴率がほしいのはもちろんだけど、それよりネットでお祭り現象が起きる方を狙ってるんですって。そういう熱量みたいなものも、今後は評価対象になっていくってことだと思います。
A : 熱量ね。
C : 最近ドラマの音声だけをつかって音声メディアを配信して、それでドラマへの没入感を狙った仕掛けがありました。制作者は、とにかくハメたいわけです。熱心に観てくれれば、今の時代いくらでも別展開して利益は見込めますからね。
B : 各局の企画募集を見ても、ものすごく具体的な要項をあげてるところも多いです。ざっくり「ファミリーで見れる楽しい番組ください」とか減ったよね。
C : あるにはあるけど……そういうざっくりした募集には何を出したらいいのかよくわかんない(笑)。
B : 企画募集って、その局がどんな戦い方をしていきたいのかが現れてますよ。攻めの姿勢なのか、ちょっと様子見なのか。
A : やはり勝ってるところは攻めてます。
C : 混り合うことにためらいがないですよね。ネットや異文化でも良いところがあればどんどん混ざっていく。それでテレビへ戻ってくる循環をつくりあげようとしてる感じです。
A : 作家も若手たちは、芸人さんと組んでYouTubeやってるよね?
B : はい、やってます(笑)。
A : 循環してる?
B : してると思います。もちろんYouTube専門の芸人も出現していますが、そもそもテレビとYouTubeはやってることが別モノですから、それぞれ影響し合ってるんじゃないですか。
C : YouTubeはテレビの企画をごっそりやってますが、去年ぐらいからテレビがYouTubeみたいな番組を始めてます。芸人やアイドルのパーソナリティー性と、ユル企画で見せるという。あれがどんな結果になるか個人的には注目してますけど。
――個人視聴率になってそんな挑戦もできるようになったってことですか?
C : どうでしょう?? 単に予算の問題かもしれませんが(笑)。ただ、今後コロナなどですごい安い予算で番組をつくらなきゃいけない時には、YouTubeの中にヒントがあるのかもしれません。
A : そのYouTubeもテレビから拝借してると。
B : 循環してますね(笑)。
A : 去年、視聴者にツッコミを入れながら観てくださいってドラマがあったじゃないですか。ツッコミどころ満載のドラマ。それはそれでひとつの見方の提示だと思うけど、テレビにとっては皮肉なつくりだなと思いましたね。夢中にさせてないって意味で。
B : YouTubeのツッコミはコメント欄にどうぞってやつに似てますね。
A : 個人視聴率になったんだから、もっと夢中で見たいテレビが増えたらいいなって思う。そういう環境になってほしいですね。
C : 『鬼滅』みたいな?
A : そうね、『鬼滅』ってみんな夢中で観てる!
B : 「つまらない」と言ってる人に会ったことがないですね。
A : 『半沢』なんかはツッコミ要素はあるけど、みんな夢中で見てたんじゃないのかな? 制作側に、リアルタイム視聴をしっかり狙うぞ、みたいな意気込みが感じられましたよ。逃げてない。
C : コンテンツそのものの魅力はもちろんだけど、連携された仕組みから前代未聞のヒットが生まれてますよね。どうやらそういったものを今の視聴者は面白いと感じるようで。
A : テレビはその中で大きな役割を担っていけると。
B : ポテンヒットも特大ホームランも生み出す、それがテレビってことで(笑)。
C : はい、我々も頑張りましょう!
ということで、2021年は新指標に沿った各局の動きがさらに活発化する。テレビの前に若者を集めるために、キャスターの配置換えや型破りな番組編成も飛び出すだろう。ここへ来てテレビがザワついている。注目だ。
放送作家A…情報バラエティやワイドショーを担当する40代。業界歴は20年以上。
放送作家B…テレビバラエティやYouTubeチャンネルを担当する30代。芸人さんと仕事することが多い。
放送作家C…テレビやネットのバラエティを担当する30代。
C : 出たがってます。
B : やはりテレビでしょうね。
――なぜ?
C : 影響力が大きいからでしょう。テレビに出るとTwitterやインスタのフォロワー数がグンと伸びますからね。本人たちも街で声をかけられる回数が増えて、実感するんじゃないですか。自分たち知られてきたって。
A : リーチメディアとしてはまだまだ優位なんでしょうね。
――個人視聴率になって若返ったのはわかりました。それで2021年のテレビは面白くなっていくと?
A : だと思います。狙うターゲット層に支持されていればOKなんですから、いろんな企画が成立していくでしょう。単に数字を取っているから評価されるというわけでもなくなると思いますよ。
C : 某局のドラマの話ですが、視聴率がほしいのはもちろんだけど、それよりネットでお祭り現象が起きる方を狙ってるんですって。そういう熱量みたいなものも、今後は評価対象になっていくってことだと思います。
A : 熱量ね。
C : 最近ドラマの音声だけをつかって音声メディアを配信して、それでドラマへの没入感を狙った仕掛けがありました。制作者は、とにかくハメたいわけです。熱心に観てくれれば、今の時代いくらでも別展開して利益は見込めますからね。
B : 各局の企画募集を見ても、ものすごく具体的な要項をあげてるところも多いです。ざっくり「ファミリーで見れる楽しい番組ください」とか減ったよね。
C : あるにはあるけど……そういうざっくりした募集には何を出したらいいのかよくわかんない(笑)。
B : 企画募集って、その局がどんな戦い方をしていきたいのかが現れてますよ。攻めの姿勢なのか、ちょっと様子見なのか。
A : やはり勝ってるところは攻めてます。
C : 混り合うことにためらいがないですよね。ネットや異文化でも良いところがあればどんどん混ざっていく。それでテレビへ戻ってくる循環をつくりあげようとしてる感じです。
A : 作家も若手たちは、芸人さんと組んでYouTubeやってるよね?
B : はい、やってます(笑)。
A : 循環してる?
B : してると思います。もちろんYouTube専門の芸人も出現していますが、そもそもテレビとYouTubeはやってることが別モノですから、それぞれ影響し合ってるんじゃないですか。
C : YouTubeはテレビの企画をごっそりやってますが、去年ぐらいからテレビがYouTubeみたいな番組を始めてます。芸人やアイドルのパーソナリティー性と、ユル企画で見せるという。あれがどんな結果になるか個人的には注目してますけど。
――個人視聴率になってそんな挑戦もできるようになったってことですか?
C : どうでしょう?? 単に予算の問題かもしれませんが(笑)。ただ、今後コロナなどですごい安い予算で番組をつくらなきゃいけない時には、YouTubeの中にヒントがあるのかもしれません。
A : そのYouTubeもテレビから拝借してると。
B : 循環してますね(笑)。
A : 去年、視聴者にツッコミを入れながら観てくださいってドラマがあったじゃないですか。ツッコミどころ満載のドラマ。それはそれでひとつの見方の提示だと思うけど、テレビにとっては皮肉なつくりだなと思いましたね。夢中にさせてないって意味で。
B : YouTubeのツッコミはコメント欄にどうぞってやつに似てますね。
A : 個人視聴率になったんだから、もっと夢中で見たいテレビが増えたらいいなって思う。そういう環境になってほしいですね。
C : 『鬼滅』みたいな?
A : そうね、『鬼滅』ってみんな夢中で観てる!
B : 「つまらない」と言ってる人に会ったことがないですね。
A : 『半沢』なんかはツッコミ要素はあるけど、みんな夢中で見てたんじゃないのかな? 制作側に、リアルタイム視聴をしっかり狙うぞ、みたいな意気込みが感じられましたよ。逃げてない。
C : コンテンツそのものの魅力はもちろんだけど、連携された仕組みから前代未聞のヒットが生まれてますよね。どうやらそういったものを今の視聴者は面白いと感じるようで。
A : テレビはその中で大きな役割を担っていけると。
B : ポテンヒットも特大ホームランも生み出す、それがテレビってことで(笑)。
C : はい、我々も頑張りましょう!
ということで、2021年は新指標に沿った各局の動きがさらに活発化する。テレビの前に若者を集めるために、キャスターの配置換えや型破りな番組編成も飛び出すだろう。ここへ来てテレビがザワついている。注目だ。
放送作家A…情報バラエティやワイドショーを担当する40代。業界歴は20年以上。
放送作家B…テレビバラエティやYouTubeチャンネルを担当する30代。芸人さんと仕事することが多い。
放送作家C…テレビやネットのバラエティを担当する30代。
【文:鈴木 しげき】
執筆者プロフィール
放送作家として『志村けんのバカ殿様』『ダウンタウンDX』などを担当。また脚本家として映画『ブルーハーツが聴こえる』連ドラ『黒猫、ときどき花屋』などを執筆。放送作家&ライター集団『リーゼント』主宰。
執筆者プロフィール
放送作家として『志村けんのバカ殿様』『ダウンタウンDX』などを担当。また脚本家として映画『ブルーハーツが聴こえる』連ドラ『黒猫、ときどき花屋』などを執筆。放送作家&ライター集団『リーゼント』主宰。
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