「きききりん」は「ちちちりん」、「キンキキッズ」は「チンチチッズ」、東北県民の特殊な発音!

2017.09.22

長い間生きて来たつもりだが、日本にこんな発音をする地域があったとはまったく知らなかった!

9月21日放送の「秘密のケンミンSHOW」では、山形県の一部で話されている「き」と「ち」をめぐる不思議な発音を取り上げた。題して「秘密の発音記号」!

日本の方言の権威である東北大学・小林隆教授によると、東北の人の「き」の発音は、標準語の「き」と「く」の中間の発音で、さらに「し」や「す」が加わった不思議な音になり、さらに進むと「ち」に近づくのだそうだ。

発音の仕方を文字で無理やり説明すると、「き」ではなく「く」に小さく「すい」を添える感じ。さらにそれを「ち」に強引にして発音する。いやこれではまったく説明になってないが。

東北の人はなるべく口を開かずにしゃべるというが、「き」を言う時に口を横に伸ばさないでできるだけそのままで発音すると近づいていく。近づいていくが、決して同じように発音できそうにない。

番組ではさっそく秋田や山形に取材すると、お年寄りほど「き」の音が「ち」のように聞こえる。というより「ち」としか聞こえない。

「きって言ってるのに、ちって聞こえるんでしょ?」と言ってるらしいのだが我々には「ちって言ってるのに、ちって聞こえるんでしょ?」と聞こえてしまう。何のことやらわからない。「きききりん」は「ちちちりん」、「キンキキッズ」は「チンチチッズ」、「キッチン」は「チッチン」に聞こえてしまう。なんだこれは。こんな日本語あったんだ。

そうすると、「きんこ」は・・・そう、そうなってしまうのだ。

こうなると、文章によっては意味がわからなくなりそうだが、東北県民にはきちんと聞き分けられるらしい。いったいどういう耳をしているのか。

さらにさらに、山形県の奥部に行くと、「や行」が「じゃじじゅじぇじょ」になったり「しゃししゅしぇしょ」になったりするという。これも現地に行くと、「山形」が「しゃまがた」、「有名」が「しゅうめい」になっていた。「山寺」は「しゃまでら」、「焼肉」は「しゃぎにぐ」になる。いったいここは日本なのか。うーん、奥深いぞ、東北県民!

スタジオに戻ってゲストのゆりあんレトリィバァに振ると「大事なものはみんな金庫(〇んこ)にいれておく、っていうのが興味深かったです」とほぼ無関係なことを言って笑いをとっていた。

それにしても日本語は一筋縄ではない。なにしろ、江戸時代まではそれぞれの方言丸出しでしゃべっていたのを、強引に「標準語」を作り出したのが日本語なのだから当たり前なのだ。標準語もきれいにしゃべれた方がいいが、ご当地の独自の言葉も、文化として守っていきたいものだ。「ケンミンSHOW」もその一助となるべくがんばって欲しい。
【文:境 治】
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