“放射冷却”現象ってなに?

2020.12.07

“放射冷却”現象ってなに?
©ytv

冬になると、よく聞く「放射冷却現象」の 仕組みと注意点をまとめました

イラストにするならこんな感じ?!
画:蓬莱大介
ザクっと仕組み
①そもそも地球は太陽からの熱(赤外線)を受けて、地面が温まり、気温が上がります。

②夜になると、太陽の熱の供給がなくなります。温まった地面や空気の熱は、空へ逃げていきます。熱(赤外線)が空へと「放射」するのです。盆地など山で囲まれたような場所は、冷たくなった空気が溜まっていくので、どんどん熱が逃げやすくなります。

③冬になってシベリア大陸から寒気が流れ込んでくると、冷たい空気に包まれて、地面の熱の逃げる勢いが強まります。
地面付近の空気が「冷却」していくんです。

これが、「放射冷却現象」です。
こんな日は放射冷却が強まる!
①夜から次の日の明け方にかけて晴れる時
雲がないと、地面付近の熱はどんどん逃げていく。
雲があると、熱が空へと逃げるのを閉じ込めてくれる。(お布団の役割)

② 空気が乾燥している時
空気中に目に見えない水蒸気がたくさんある時(湿度が高い時)は、雲と同じく熱を閉じ込めてくれる。空気が乾燥していると、熱が逃げやすい。

③ 風が弱い時
地面付近に溜まった冷たい空気が長時間維持されて、熱がどんどん逃げる。
風が強いと空気をかき混ぜるので、熱が逃げにくくなる。
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放射冷却現象というのは、あなどれません。
冷たい風が暴風となり猛吹雪になった時よりも、夜に晴れて風が弱い時の方が気温は低くなります。
日本の一番低い最低気温の記録は、富士山などの山の山頂ではなく、北海道の旭川(内陸の盆地)で
41.0℃です。
これから本格的な冬が始まります。

天気予報で「今夜からあす明け方にかけて、放射冷却現象で冷え込みます」と聞きましたら、足元からくる「底冷え」にご注意下さい。




ちなみに僕は冷え性なので、寝る時にレッグウォーマーしたりしています。
プロフィール
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネット ten.」「ウエークアップ!ぷらす」の3番組にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
「蓬莱さんのスケッチ予報Calendar2020」(2020年 読売テレビエンタープライズ)
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