盛岡冷麺、中辛でいく?それとも大辛?いや、別辛で!…え?別辛ってなに?

2018.08.24

8月23日放送の「秘密のケンミンSHOW」では県民熱愛グルメとして、岩手県は盛岡の冷麺が紹介された。おお!そりゃうまそうだ!・・・でもちょっと待って、盛岡の冷麺がおいしいことは、よく知られてる。とくに取り上げるネタでもない気がするけど?

いやいや、それが岩手県民の冷麺好きときたら尋常ではないのだ。他県民にとって冷麺とは、焼肉屋さんでたらふく焼肉をお腹に入れて、シメに食べる、という程度のものだろう。焼肉屋さんに行く時は、あくまでメインが焼肉。冷麺はあくまでオマケというか、サブというか、食べても食べなくてもいいんじゃない?てなもんだろう。
ところが岩手県民にとってはどうやら、冷麺は焼肉と並ぶほどの存在らしい。だから盛岡市の焼肉屋さんは「焼肉・冷麺」と看板に併記している。そして、焼肉と一緒に注文して一緒に食べるのだ。シメではなく、焼肉とダブル主演。いや中には焼肉屋さんで冷麺だけ注文するマダムもいて、ヘタすると焼肉がサブ?「冷麺定食」というメニューもあり、冷麺とカルビにごはんもつく。じゃあ、あれか?冷麺はおかずか?
そして面白いのが、キムチ。他県民にとっては、冷麺にちょろっと入ってるイメージだが、岩手県民はもっとキムチを重視している。その辛みでスープの味を調節するのがポイントらしく、キムチの量を「大辛、中辛、小辛」と注文時にオーダーするのだが、お店によっては「別辛」も選択できる。え?別辛?つまり、キムチは別の器で出てきて、好みの量を加えて辛さを調節するのだ。そうやって絶妙の自分好みの味になったマイ冷麺。そのスープをずずーっと飲み干す人までいる。え?冷麺のスープって飲み干すもの?何か、大きな文化の隔たりを感じる。
さてこの盛岡冷麺の発祥は、食道園という焼肉屋さんだそうだ。最初は朝鮮半島の冷麺を再現して出していたが、蕎麦粉入りの灰色の麺で日本人にはあまりなじまなかった。そこで蕎麦粉はやめて馬鈴薯でんぷんと小麦粉で製麺したところ人気となり、盛岡中に広まったそうだ。他で食べるよりおいしいと感じていたのは、盛岡の冷麺が独特の製法を開発し守ってきたからだったのだ。そうわかると、いきなり盛岡冷麺をリスペクトしたくなってしまう。さすが、わんこそばやじゃじゃ麺も含めて多彩な麺を愛する岩手県民だ。日本の麺文化をリードしてきたと言っていいだろう。
ちなみに山形県民のぺえと橋本マナミも盛岡冷麺が大好きで、スーパーでよく買っていたという。中でも大沼デパートにはぴょんぴょん舎の冷麺が売っていたそうだが、大沼デパートではぺえの母親が働いていたという、ほとんどどうでもいいネタで盛り上がった。大沼デパート知らんし。

【文:境 治】
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