「日本は広い」みんなで一緒に日本を発見してきた10年〜「秘密のケンミンSHOW」10周年!〜

2017.10.03

「日本は広い!狭いようで広いんだよ!」みのもんたはしみじみと、でも力強くそう言った。この10月で放送開始10周年を迎えた「秘密のケンミンSHOW」の、記者会見での言葉だ。ホントにそうだな。ひとりの視聴者として毎回の放送を楽しんできた筆者も共感した。見たこともない料理をこともなげに食べる姿を見せてくれた各県民、標準語からかけ離れた方言をしゃべってくれた各県民。発見しても発見しても、なお知らない文化が毎週わき出てくる日本。狭い島国と思い込んでいたら、なんと広いことかと驚かされてきた10年間だった。
ここ数回の放送でさえ、日本の広さに驚き楽しまされた。東北県民は「き」を「ち」に近く発音するので、「きききりん」は「ちちちりん」に聞こえてしまう。海なし県長野では、貴重な魚介を加工食品で食べるのだが、ちくわは「ビタミンちくわ」が当たり前。日本各地に夏の暑さをやわらげる涼感メニューがある中でも、山形県の「水かけごはん」はホントにごはんに水道水を入れるだけ。他県民が到底聞き取れない方言をいまも普通にしゃべっているし、他県民には信じられない食文化を当たり前のようにいまも食している。
狭い国土にひしめきあって、同じ言葉を話し同じ米食文化を続けていたはずが、こんなに県によって、地域によってちがうものなのか。この10年間、私たちは「ケンミンSHOW」を見て驚き続けた。考えてみると、20世紀のテレビは日本を同じ文化に導いてきたのではないか。アナウンサーの話す言葉が日本語であり、テレビを通じてハンバーグやカレーライスが日本中で食べられるようになった。私たちが「日本の文化」だと認識しているものの多くは、実はテレビを通して親しまれるようになったのだと思う。テレビはそういう役割を果たしていた。みんなで同じ文化を共有できるようにしてくれた。
だがそんな「ひとつにする」役割を終えたテレビが、今度は「違いを発見する」役割も担いはじめた。そのひとつが2007年に放送を開始した「秘密のケンミンSHOW」だったのだ。テレビを通して私たちは標準語やハンバーグを知り自分たちのものにしたが、今度はテレビを通して日本中にまったく知らない文化があることを知るようになった。ひとつになった私たちは、実はこんなにちがうのか、こんなに互いを知らないのか。ちがうことがこんなに面白いのかと感心した。
そんな番組だからこそ、20世紀のテレビの名MC・みのもんたと、同じくこれまでの笑いを彩ってきた久本雅美が司会をする必要があった。新しい人ではダメで、ベテランだからこそ「ちがうことのおもしろさ」をみんなに紹介できたのだ。
そして毎回「県民代表」として居並ぶゲスト達も重要だ。ちがいに驚き、自分の県の文化をドヤ顔で語る。私たちひとりひとりをまさに「代表」して出演してしゃべってくれているのだ。洗練された都会の人にしか見えないきれいな女優がおばあちゃんたち同様の泥臭い方言でしゃべったり、押しも押されぬビッグタレントが出身県の地味な料理をものすごく熱心に語ったりする時、私たちと同じ「県民」なのだと共感する。日本はしょせん田舎の集合体で、だからこそ豊かで楽しいのだと、そうそうたる出演者を通じて私たちは思い出すのだ。
「秘密のケンミンSHOW」は10月、3週連続で10周年スペシャル企画を放送するそうだ。みなさんもひとりの「県民」として、楽しんでみるといいと思う。

【文:境 治】
第1弾10月5日「10周年だよ!全県集合スペシャル46道府県カミングアウトランキング!」
第2弾10月12日「10周年超豪華!3時間スペシャル」
第3弾10月19日「秘密のケンミンSHOW×ダウンタウンDX 合体3時間スペシャル」
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