“エンジョイプレイ”という持ちギャグで一世を風靡した そして先日、公開に先駆け都内で開催された試写会で、『ダウンタウンDX』を20年以上演出した読売テレビの西田二郎が、試写会終了後にゴリさんに直撃。ゴリさんは「観た人に心のお土産を持って帰ってもらい」と作品への想いを語った。
主演を務める松田るかさんと父親役を演じる浅野忠信さん
via ©「かなさんどー」製作委員会
日本だけじゃなく世界で刺さるテーマは万国共通!低予算で映画を作り続けてきたからこそ見出した照屋監督の矜持とは。
西田:めちゃめちゃ久しぶりですね。
照屋:お久しぶりです。
西田:今日はゴリさんではなく、映画監督・照屋年之さんに来ていただいておりますので、映画作り、監督の話をたっぷりお聞きしたいと思います。
照屋:もちろんよろしくお願いします。お願いします。
西田:早速ですが照屋監督。ここはちゃんと監督として話をする時と、ゴリさんとして話をする時は違いますか?
照屋:全然気にしないです。だから逆にゴリさんの方が気軽だったら「ゴリさん」と呼んでくださいと言って、みんなゴリさんで喋ったりする人も多いです。
西田:それは結構難しいでしょう。
照屋:全然全然。実際撮影に入るともうただの照屋年之になっちゃうんですよ。裏方に徹します。ただ人に見られるとか、いざこういうふうにマイクを目の前にすると、芸人のスイッチが入って喋ります。
西田:2月21日から全国で『かなさんどー』が上映されますけど、何て言うんですかね。すごく心に染みる映画で、観終わったら、僕はボロボロに泣いていました。感情が交差点のように入り混じるものの、出来事自体は家族の話で、そこまで大きなことではないんですよね。
映画を作るとなると、もっと起伏がないといけない、カーチェイスがあって、大人数のエキストラを使ってとか、家族の話でもすごい事件が起きることを求められたりするんですが、そうじゃない。この映画にかける想いというのはどういったところでしょうか?
照屋:沖縄国際映画祭があった時に、映画を作らせてもらえる機会を毎年いただいていたんですが、基本的に低予算でした。低予算で短編映画を撮るとなると、その作り方の脚本を書く癖が付いているんですよ。だから、物語を作ろうと思った瞬間に、大勢の人を使おうとは思わないし、カーチェイスや爆破シーンなんてもう考えようともしないです。常に人間関係の中で面白おかしく。かと言って飽きさせてしまったらエンタメって負けなので、とにかく席を立ちたいって思わせないために、飽きないような刺激をどんどん毎分ずつ入れていく。そういうことを考えながら短編映画の脚本を書いて撮影をして力をつけてきました。
今回で、もう14作品目になるんですけれども、僕が6年前に撮った長編映画『洗骨』という作品があるんですね。それは琉球の時代に沖縄全体で、亡くなった母親の遺体を火葬せずに、棺の中で何年も寝かせ、しばらくしてその棺を開けて、朽ちた母親の骨を家族全員で洗うという儀式があったんです。そこから火葬が進んだんですが、今でも沖縄県の粟国島には、一部に洗骨の風習が残っているという事実に感銘を受けて、長編映画を作ったんです。いち家族の出来事を、世界中の映画祭に呼ばれてものすごく絶賛してもらい、賞もいただいたんです。
そういう時に、爆破があるとか空撮があるとか、お金をかけているから喜ばれるわけじゃなくて、アメリカだろうがイギリスだろうがロシアだろうが、どこの国でも結局、みんな親、兄弟、友達といった人間関係や病気や死をしっかり描いたら、どの国でも刺さるっていうのがわかったんですよ。
西田:それはすごい。そこで今回『かなさんどー』についてお話できる範囲でお聞かせてもらえますかね。
照屋:お久しぶりです。
西田:今日はゴリさんではなく、映画監督・照屋年之さんに来ていただいておりますので、映画作り、監督の話をたっぷりお聞きしたいと思います。
照屋:もちろんよろしくお願いします。お願いします。
西田:早速ですが照屋監督。ここはちゃんと監督として話をする時と、ゴリさんとして話をする時は違いますか?
照屋:全然気にしないです。だから逆にゴリさんの方が気軽だったら「ゴリさん」と呼んでくださいと言って、みんなゴリさんで喋ったりする人も多いです。
西田:それは結構難しいでしょう。
照屋:全然全然。実際撮影に入るともうただの照屋年之になっちゃうんですよ。裏方に徹します。ただ人に見られるとか、いざこういうふうにマイクを目の前にすると、芸人のスイッチが入って喋ります。
西田:2月21日から全国で『かなさんどー』が上映されますけど、何て言うんですかね。すごく心に染みる映画で、観終わったら、僕はボロボロに泣いていました。感情が交差点のように入り混じるものの、出来事自体は家族の話で、そこまで大きなことではないんですよね。
映画を作るとなると、もっと起伏がないといけない、カーチェイスがあって、大人数のエキストラを使ってとか、家族の話でもすごい事件が起きることを求められたりするんですが、そうじゃない。この映画にかける想いというのはどういったところでしょうか?
照屋:沖縄国際映画祭があった時に、映画を作らせてもらえる機会を毎年いただいていたんですが、基本的に低予算でした。低予算で短編映画を撮るとなると、その作り方の脚本を書く癖が付いているんですよ。だから、物語を作ろうと思った瞬間に、大勢の人を使おうとは思わないし、カーチェイスや爆破シーンなんてもう考えようともしないです。常に人間関係の中で面白おかしく。かと言って飽きさせてしまったらエンタメって負けなので、とにかく席を立ちたいって思わせないために、飽きないような刺激をどんどん毎分ずつ入れていく。そういうことを考えながら短編映画の脚本を書いて撮影をして力をつけてきました。
今回で、もう14作品目になるんですけれども、僕が6年前に撮った長編映画『洗骨』という作品があるんですね。それは琉球の時代に沖縄全体で、亡くなった母親の遺体を火葬せずに、棺の中で何年も寝かせ、しばらくしてその棺を開けて、朽ちた母親の骨を家族全員で洗うという儀式があったんです。そこから火葬が進んだんですが、今でも沖縄県の粟国島には、一部に洗骨の風習が残っているという事実に感銘を受けて、長編映画を作ったんです。いち家族の出来事を、世界中の映画祭に呼ばれてものすごく絶賛してもらい、賞もいただいたんです。
そういう時に、爆破があるとか空撮があるとか、お金をかけているから喜ばれるわけじゃなくて、アメリカだろうがイギリスだろうがロシアだろうが、どこの国でも結局、みんな親、兄弟、友達といった人間関係や病気や死をしっかり描いたら、どの国でも刺さるっていうのがわかったんですよ。
西田:それはすごい。そこで今回『かなさんどー』についてお話できる範囲でお聞かせてもらえますかね。
お母さんの日記を見つけた美花(松田るか)
via ©「かなさんどー」製作委員会
絶縁した父の死が迫る中、他界した母親の日記を見つけた娘の美花。その中に書かれた内容を見て母親を演じることに。なぜ彼女はそんな思いになったのか…
照屋:お母さんが先に他界してしまうわけで、そのお母さんが亡くなる直前にSOSの電話を浅野忠信さんが演じる旦那にかけていたんですが、旦那はその電話を取らなかったわけです。
西田:なるほど。
照屋:それがなぜ取らなかったのか、誰か他の女といたのか、そこははっきりさせません。ただ、そのきっかけ以来、娘は父親と絶縁して離ればなれだったんですが、父親に余命宣告がされ、島に帰ってきてくれと言われ、嫌々ながら伊江島に帰るんですが、かと言って父親が死ぬと言われても特に泣くわけでもなく、『ざまあみろ』という気持ちなんです。
それからまた浅野忠信さんが娘の感情を逆なでするように、娘を見て妻の名前を呼んじゃうんです。痴呆症も入っていて、娘が妻に見えてしまうわけです。でも、娘は『今更お母さんの名前を言ってんじゃない!』と余計に怒り狂うんですが、でもやっぱりもう長くは生きられない。
でも、自分を間違えるほどお母さんのことを本当に大好きでいてくれたんだって思った時に、お母さんの日記を見つけてしまうわけです。その日記の内容が、お母さんが“女”であった時の日記なんです。
やっぱり子供から見ると、生まれた時からもうお父さんとお母さんですが、生まれる前は男と女の関係なんです。その男と女のピュアな内容の日記を見て、お父さんとお母さんはこんなにピュアに愛し合ってたんだって思うと、死んだお母さんのためにも、『じゃあ私のことをお母さんと勘違いしてるんだったら』ということで、タンスからお母さんの洋服や化粧品を出して、お母さんになりきり、父親が亡くなるまでお母さんとして接するんです。
妻としての接し方が、もちろん僕が撮ったのでコメディー要素満載なんですが、最後見送った後は、ジーンと涙が出たという方が多くいらっしゃいます。
だから、娘がコメディーながら、ドタバタと一生懸命お母さんを演じる部分も面白おかしく見えるんですが、それが最後、伏線がすべて回収されて、『この子よく頑張ったな』って涙を誘ってしまうという、その娘の頑張りみたいなのを、ぜひとも観てもらいたいです。
エンタメの役割のひとつって、生活が苦しい時に背中を押してもらえることが大きいじゃないですか。僕自身も苦しい時に救われてきたので、そういう皆さんの何か背中を押してあげられるような、心をヨシヨシって撫でてあげられるような作品になれたらなって思って作りました。
西田:なるほど。
照屋:それがなぜ取らなかったのか、誰か他の女といたのか、そこははっきりさせません。ただ、そのきっかけ以来、娘は父親と絶縁して離ればなれだったんですが、父親に余命宣告がされ、島に帰ってきてくれと言われ、嫌々ながら伊江島に帰るんですが、かと言って父親が死ぬと言われても特に泣くわけでもなく、『ざまあみろ』という気持ちなんです。
それからまた浅野忠信さんが娘の感情を逆なでするように、娘を見て妻の名前を呼んじゃうんです。痴呆症も入っていて、娘が妻に見えてしまうわけです。でも、娘は『今更お母さんの名前を言ってんじゃない!』と余計に怒り狂うんですが、でもやっぱりもう長くは生きられない。
でも、自分を間違えるほどお母さんのことを本当に大好きでいてくれたんだって思った時に、お母さんの日記を見つけてしまうわけです。その日記の内容が、お母さんが“女”であった時の日記なんです。
やっぱり子供から見ると、生まれた時からもうお父さんとお母さんですが、生まれる前は男と女の関係なんです。その男と女のピュアな内容の日記を見て、お父さんとお母さんはこんなにピュアに愛し合ってたんだって思うと、死んだお母さんのためにも、『じゃあ私のことをお母さんと勘違いしてるんだったら』ということで、タンスからお母さんの洋服や化粧品を出して、お母さんになりきり、父親が亡くなるまでお母さんとして接するんです。
妻としての接し方が、もちろん僕が撮ったのでコメディー要素満載なんですが、最後見送った後は、ジーンと涙が出たという方が多くいらっしゃいます。
だから、娘がコメディーながら、ドタバタと一生懸命お母さんを演じる部分も面白おかしく見えるんですが、それが最後、伏線がすべて回収されて、『この子よく頑張ったな』って涙を誘ってしまうという、その娘の頑張りみたいなのを、ぜひとも観てもらいたいです。
エンタメの役割のひとつって、生活が苦しい時に背中を押してもらえることが大きいじゃないですか。僕自身も苦しい時に救われてきたので、そういう皆さんの何か背中を押してあげられるような、心をヨシヨシって撫でてあげられるような作品になれたらなって思って作りました。
本番で急に涙が出なくなった堀内敬子さん。その時スタッフがとった行動に照屋監督は感動。そして見事涙を見せた後にさらに感動。
via ©「かなさんどー」製作委員会
西田:この映画をきっかけに、お子さんがいる方は父であり母でもあるだろうし、自分が子供ならば、お父さんやお母さんとの関係を今一度見つめ直すのもいいですね。あと、パンフレットに写っている赤のセリカ。そのオープンカーが、もうたまらんですね。しかも、お父さんとお母さんが若かった頃ですよね。そういったところも随所に刺さるし、伊江島タッチューという山と青い空と車の対比というのが…
照屋:何もない伊江島という島に、赤のオープンカーは不自然な車です。だいたい軽トラとかばっかりです。でも、やっぱり奥さんが“好き”だからこそ、できちゃうんですよ。
西田:そうなんですよね。だから、たまらないんですよ。
照屋:堀内敬子さんも、またとても可愛らしいですよね。娘と台所で言い合うシーンがすごく好きで。あのシーンも、もう堀内さん涙が溢れるシーンなんですけど、もう本読みの段階から感情移入して泣き出すんです。さらに、リハーサルでも泣き出すんですよ。でも本番、『用意スタート』したら泣かないんです。撮影をカットして、僕が『どうしました?』って聞いたら、『すいません、もう一回やらせてください』と。改めて『用意スタート』、でも泣かないんです。もう一回やらせてください。でも、ずっと泣けないんです。イップスが入って。
それで堀内さんは、余計に焦ってくるわけです。ずっと泣けていたのに、どうして?どうして?って。そして、相手役の松田るかちゃんは、カメラが向けられてない顔だけど、毎回泣いてるんです。そんな彼女にも申し訳ないという気持ちになるし、何十人ものスタッフを待たせてしまい、さらに焦ってくるわけです。そこで堀内さんが『ちょっと時間ください』って言って、ずっと台所でぶつぶつとつぶやいているんです。僕らも『全然待ちますから、待ちますから』って言って。
そして、『もう一回お願いします』『用意スタート』。でも泣けないんです。一回止めましょうと休憩にして、15分ほど僕と堀内さん二人きりで話しました。このお母さんは、どういうつもりでお父さんを愛してきて、どういうつもりで娘のことを育て、その上で、こんな夫婦の営みの大事な話を娘に言ってしまうっていうことが、いかにショックなことか。でも、伝えなきゃいけないという、一つひとつの心の成長の歴史を一回全部味わってもらって、『いけますか?』『やらせてください』ってスタンバイになるんです。
またスタッフもあったかくて、僕と堀内さんが話しているのを、みんな目をそらしてくれたんです。
西田:堀内さんにプレッシャーを与えない様に?
照屋:そうなんです!めっちゃ下手くそな演技なんですが、めっちゃ可愛いんですよ。スタッフの愛なんですよ。そして『用意スタート』って言って、堀内さんが人生を語りだして、涙がポロ…ポロ…ポロポロとこぼれて、『カット!』の瞬間に何十人ものスタッフが拍手するんですよ。もうね、ああいう時って、現場の1スタッフとして、これだけ感動して涙が出ることって、そうそうないですよ。やっぱり、一つの作品を何十人もの人が力を合わせて作っていくわけじゃないですか。汗と涙。現場は本当に大変ですから、映画作りは肉体労働ですから。ああいう時って、『ああ、映画っていいな』って思うんすよね。
西田:そこにちゃんとしたものが残るわけですから。
照屋:あの拍手、痺れますよ。
西田:それはやっぱり、監督としても自分が思っている以上のものが…
照屋:もちろんです。『うわ〜素敵だな』って思いました。
照屋:何もない伊江島という島に、赤のオープンカーは不自然な車です。だいたい軽トラとかばっかりです。でも、やっぱり奥さんが“好き”だからこそ、できちゃうんですよ。
西田:そうなんですよね。だから、たまらないんですよ。
照屋:堀内敬子さんも、またとても可愛らしいですよね。娘と台所で言い合うシーンがすごく好きで。あのシーンも、もう堀内さん涙が溢れるシーンなんですけど、もう本読みの段階から感情移入して泣き出すんです。さらに、リハーサルでも泣き出すんですよ。でも本番、『用意スタート』したら泣かないんです。撮影をカットして、僕が『どうしました?』って聞いたら、『すいません、もう一回やらせてください』と。改めて『用意スタート』、でも泣かないんです。もう一回やらせてください。でも、ずっと泣けないんです。イップスが入って。
それで堀内さんは、余計に焦ってくるわけです。ずっと泣けていたのに、どうして?どうして?って。そして、相手役の松田るかちゃんは、カメラが向けられてない顔だけど、毎回泣いてるんです。そんな彼女にも申し訳ないという気持ちになるし、何十人ものスタッフを待たせてしまい、さらに焦ってくるわけです。そこで堀内さんが『ちょっと時間ください』って言って、ずっと台所でぶつぶつとつぶやいているんです。僕らも『全然待ちますから、待ちますから』って言って。
そして、『もう一回お願いします』『用意スタート』。でも泣けないんです。一回止めましょうと休憩にして、15分ほど僕と堀内さん二人きりで話しました。このお母さんは、どういうつもりでお父さんを愛してきて、どういうつもりで娘のことを育て、その上で、こんな夫婦の営みの大事な話を娘に言ってしまうっていうことが、いかにショックなことか。でも、伝えなきゃいけないという、一つひとつの心の成長の歴史を一回全部味わってもらって、『いけますか?』『やらせてください』ってスタンバイになるんです。
またスタッフもあったかくて、僕と堀内さんが話しているのを、みんな目をそらしてくれたんです。
西田:堀内さんにプレッシャーを与えない様に?
照屋:そうなんです!めっちゃ下手くそな演技なんですが、めっちゃ可愛いんですよ。スタッフの愛なんですよ。そして『用意スタート』って言って、堀内さんが人生を語りだして、涙がポロ…ポロ…ポロポロとこぼれて、『カット!』の瞬間に何十人ものスタッフが拍手するんですよ。もうね、ああいう時って、現場の1スタッフとして、これだけ感動して涙が出ることって、そうそうないですよ。やっぱり、一つの作品を何十人もの人が力を合わせて作っていくわけじゃないですか。汗と涙。現場は本当に大変ですから、映画作りは肉体労働ですから。ああいう時って、『ああ、映画っていいな』って思うんすよね。
西田:そこにちゃんとしたものが残るわけですから。
照屋:あの拍手、痺れますよ。
西田:それはやっぱり、監督としても自分が思っている以上のものが…
照屋:もちろんです。『うわ〜素敵だな』って思いました。
プロたちが集まるからこそ画面に一人しかいなくてパワーがある。YouTubeも撮っているからこそ気づいた映画のパワー。
via ©「かなさんどー」製作委員会
西田:映画を撮る中で、低予算からスタートするなら、なおのこと演じる方がどれだけ映画に関わってくれるか、そして監督のイメージを超える部分が、照屋監督の作品の中に随所に現れていますか?
照屋:やっぱり、脚本を各部署に渡す段階で、美術部、撮影部、照明部がそれぞれの解釈で読んでくれるんです。だから、美術部が勝手にお母さんの部屋に、花をいっぱい飾ったりするんですよ。『美術部、ちょっと花多いな』って言ったら、『監督、違います。町子さんって花が好きなんですよ』って言うんです。そんなこと、脚本には書いてないんです。でも、それぞれのチームがプロ意識を持って、『町子さんはこうなはず』『部屋はこうなはず』と考えてくれたことが嬉しかったです。
もちろんダメなものはダメと言うこともありますが、いいものに関しては『それ、採用でお願いします!』って言いますね。俳優もそうですが、そうやって作っていくので、やっぱり映画って総合芸術だなと思います。それぞれのプロフェッショナルの知恵が集まっての90分なので、やっぱり大きなパワーを生み出すんです。
西田:だから、監督が見ている部分もたくさんあるけれど、他の人が違う部分を埋めてくれることで、より立体的になっていくんですね。
照屋:僕もYouTubeをやっていますが、やっぱりパワーが違うんですよ。全員で作ると、そのエネルギーが画面に出てくるんです。
照屋:やっぱり、脚本を各部署に渡す段階で、美術部、撮影部、照明部がそれぞれの解釈で読んでくれるんです。だから、美術部が勝手にお母さんの部屋に、花をいっぱい飾ったりするんですよ。『美術部、ちょっと花多いな』って言ったら、『監督、違います。町子さんって花が好きなんですよ』って言うんです。そんなこと、脚本には書いてないんです。でも、それぞれのチームがプロ意識を持って、『町子さんはこうなはず』『部屋はこうなはず』と考えてくれたことが嬉しかったです。
もちろんダメなものはダメと言うこともありますが、いいものに関しては『それ、採用でお願いします!』って言いますね。俳優もそうですが、そうやって作っていくので、やっぱり映画って総合芸術だなと思います。それぞれのプロフェッショナルの知恵が集まっての90分なので、やっぱり大きなパワーを生み出すんです。
西田:だから、監督が見ている部分もたくさんあるけれど、他の人が違う部分を埋めてくれることで、より立体的になっていくんですね。
照屋:僕もYouTubeをやっていますが、やっぱりパワーが違うんですよ。全員で作ると、そのエネルギーが画面に出てくるんです。
観た人が希望を持てる様な作品にしたい。そして“心のお土産を持って帰ってもらいたい”
若かりし頃の悟(浅野忠信)と町子(堀内敬子)
via ©「かなさんどー」製作委員会
西田:『かなさんど―』は2月21日から順次全国で公開されます。「かなさんど―」というのはどういう意味があるんですか?
照屋:沖縄の言葉で「愛おしい」とか「愛してます」っていう意味です。実際に前川守賢さんという方が「かなさんど―」という曲でブレークしたんですね。その曲を主題歌にして、映画のタイトルもそのまま付けました。
この歌を主演の松田るかちゃんも歌うし、そうか、劇団四季出身の堀内敬子さんも歌います。堀内の役が、沖縄民謡の歌手という設定なんです。
西田:映画っていろいろな楽しみ方があると思うんです。笑うとか、スッキリするとか、いろいろありますけど、人生にスイッチを変える映画の見方もあってもいいと思うんですよね。
照屋:僕はコントも書きますけれども、コントは笑ってすっきりしたなっていう時間であればいいと思っているんですが、映画は作り方を変えてなにか、“心のお土産を持って帰ってもらいたい”というそこは意識して作っています。
映画には重いジャンルや楽しいジャンルなどいろいろあると思うんですが、生きている現実の方が結構厳しいじゃないですか。皆さん現実でしんどい思いをしているので、自分の作品ぐらいは夢を見てもらいたい。希望を持てるような方向で作りたいっていうのは意識をしています。
皆さん、1日1日自分のために時間を使っていると思うんですけれども、その中の90分間だけ『かなさんどー』に使って頂けるとありがたいです。
照屋:沖縄の言葉で「愛おしい」とか「愛してます」っていう意味です。実際に前川守賢さんという方が「かなさんど―」という曲でブレークしたんですね。その曲を主題歌にして、映画のタイトルもそのまま付けました。
この歌を主演の松田るかちゃんも歌うし、そうか、劇団四季出身の堀内敬子さんも歌います。堀内の役が、沖縄民謡の歌手という設定なんです。
西田:映画っていろいろな楽しみ方があると思うんです。笑うとか、スッキリするとか、いろいろありますけど、人生にスイッチを変える映画の見方もあってもいいと思うんですよね。
照屋:僕はコントも書きますけれども、コントは笑ってすっきりしたなっていう時間であればいいと思っているんですが、映画は作り方を変えてなにか、“心のお土産を持って帰ってもらいたい”というそこは意識して作っています。
映画には重いジャンルや楽しいジャンルなどいろいろあると思うんですが、生きている現実の方が結構厳しいじゃないですか。皆さん現実でしんどい思いをしているので、自分の作品ぐらいは夢を見てもらいたい。希望を持てるような方向で作りたいっていうのは意識をしています。
皆さん、1日1日自分のために時間を使っていると思うんですけれども、その中の90分間だけ『かなさんどー』に使って頂けるとありがたいです。
【プロフィール】
(監督・脚本)
(監督・脚本)
1972年生まれ 沖縄県出身 映画監督・芸人・俳優。1995年にお笑いコンビ「ガレッジセール」を結成、2006年から映画監督のキャリアをスタート。初監督作品になる短編映画『刑事ボギー』でショートショートフィルムフェスティバル〈話題賞〉を受賞。2009年『南の島のフリムン』で長編監督デビューを果たす。2018年に制作した映画『洗骨』はモスクワ国際映画祭、上海国際映画祭などの映画祭に出品され、日本映画監督協会新人賞を受賞。
2022年には沖縄が日本に復帰した1972年を舞台にした小説「海ヤカラ」も出版。
2022年には沖縄が日本に復帰した1972年を舞台にした小説「海ヤカラ」も出版。
【作品概要】
『かなさんどー』公式サイト:https://kanasando.jp/#top
『かなさんどー』公式サイト:https://kanasando.jp/#top
via ©「かなさんどー」製作委員会
<あらすじ>
最愛の妻・町子(堀内敬子)を失った父・悟(浅野忠信)が年齢を重ねるとともに認知症を患っていた。母が亡くなる間際に、SOSの電話を取ることのなかった父親を許せずにいるが、職をなくした娘・美花(松田るか)は沖縄に帰ってくる。父との関係を修復しようとしない美花だったが、生前に母がつけていた日記を見つけ、紐解いていくと、知らなかった夫婦の過去、そして母の想いを知り、ある決意をする――。その先には思いもよらない感動の結末が待っていた。
<照屋年之監督コメント>
人は「後悔の念」を抱きながら老いていく。死に際に、もし「許し」が得られたのなら、、、。「人の死」をどう見送ってあげるのか?「許し」という愛のかたちを僕なりに表現してみました。それぞれのキャストが演じる「愛おしい人物たち」。彼らの人生観に共鳴し、それぞれの人物を「かなさんどー(愛してる)」していただけたら僕は幸せです。
最愛の妻・町子(堀内敬子)を失った父・悟(浅野忠信)が年齢を重ねるとともに認知症を患っていた。母が亡くなる間際に、SOSの電話を取ることのなかった父親を許せずにいるが、職をなくした娘・美花(松田るか)は沖縄に帰ってくる。父との関係を修復しようとしない美花だったが、生前に母がつけていた日記を見つけ、紐解いていくと、知らなかった夫婦の過去、そして母の想いを知り、ある決意をする――。その先には思いもよらない感動の結末が待っていた。
<照屋年之監督コメント>
人は「後悔の念」を抱きながら老いていく。死に際に、もし「許し」が得られたのなら、、、。「人の死」をどう見送ってあげるのか?「許し」という愛のかたちを僕なりに表現してみました。それぞれのキャストが演じる「愛おしい人物たち」。彼らの人生観に共鳴し、それぞれの人物を「かなさんどー(愛してる)」していただけたら僕は幸せです。
『#かなさんどー』本予告 2025年1月31日(金) #沖縄 先行/2月21日(金)全国公開
via www.youtube.com
映画『かなさんどー』公式サイト
家族をつなぐ〈秘密〉。家族の絆や祖先とのつながりを描いた『洗骨』以来6年ぶりの照屋年之(ガレッジセール・ゴリ)監督最新