呉焼き、三原焼き、尾道焼き、府中焼き?各地で抗争する、広島お好み焼き頂上作戦!

2021.02.05

呉焼き、三原焼き、尾道焼き、府中焼き?各地で抗争する、広島お好み焼き頂上作戦!
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お好み焼きと言えば大阪と広島の争いの種だ。自分たちのお好み焼きこそが本物だとお互いに絶対譲らない。他県民からすると、どっちもおいしいので仲良くしてもらいたいところだ。だが確かに広島のお好み焼きは焼きそばが入った独特のスタイルで、簡単には真似できない。

ところが広島のお好み焼きはさらに地域によって少しずつ違う種類があるというからややこしい。それぞれの地域の人びとが、これこそがお好み焼きだと主張するので、まるで縄張り争いみたい。そう、広島を舞台にした映画シリーズのように仁義なき戦いが繰り広げられているのだ。
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まずは府中市。広島県の中でも東寄りのこの市は、人口あたりのお好み焼き提供軒数が広島随一だという。さっそくお店に入って「府中焼き」を取材してみると・・・正直見た目は広島市で食べるお好み焼きと変わらない。「ミンチが入っている」と地元の方が言う。ミンチ?お好み焼きの中に、粒のようにミンチが入っているのだが、それで何が変わるのか?ところが府中市民は「全然違う!」と断言。「脂が出て麺がカリカリになる」つまりひき肉に含まれる脂が全体をおいしくするということらしい。
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「自分がミンチだとしたらハンバーグになるのと府中焼きの中に入るのとどちらが幸せですか?」と変なことを聞いてみると「そりゃ府中焼きでしょ!」と間髪入れず答えが返ってきた。「私が合い挽きミンチの人生を歩んでいたら、絶対府中焼きを選んでる!」と力強く言う。なぜかミンチ肉の人生を語る流れになってしまった。

次は映画でも有名な尾道市の尾道焼き!町の人に何が違うかを聞くと「食感!」と即答。「フワ、コリ、サク」「フワ、コリ、ニュタ」「サクッ、ザクッ」と怪しい擬音でそれぞれに表現するので謎が深まるばかりだ。そしてお店で見ても例によって広島市となんの変わりもないお好み焼きだ。だが何が入っているかを聞くと「砂ズリ、イカ天がメイン」と言うからびっくり!砂ズリとは砂肝のことらしい。そしてイカ天は「イカの天ぷら」ではなく、おやつやおつまみとしてよく見るイカ天のこと。
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「他の地域では入れんのですか?」「それお好み焼きって言うんか?」出た!我が町のお好み焼きこそ真のお好み焼き発言!「砂ズリのコリコリした食感とイカ天のパリッとした食感に麺のモチモチ感が入って」と、青年がおいしそうに食リポしてくれる。

そして呉焼き。広島市の西隣、呉市のお店に行くと、出てきたのは半月タイプ?!見た目がまず独特だ!「広島市でお好み焼きを食べたら、丸なんだとびっくりしました」と言うくらい、呉市民にとってお好み焼きと言えば半月。
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そして中に入れる麺はそばも選べるけど、なぜかうどん率が高い。作り方を見ると、先にうどんと野菜をまるで焼きうどんを作るように焼き上げ、それを皮と卵で挟んで二つに折って半月に仕上げる。なぜ丸いままではダメなんだ?

最後は三原市の三原焼き。お店でメニューを見るとどうやら鶏モツ入りが三原焼きらしい。鶏モツは様々な内臓の集合体で、レバー、砂ズリ、玉ひも、キンカンなどなど。これが焼きそばや野菜とともにお好み焼きに入って焼かれる。
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三原市民は「お好み焼きといったらこれ」とやはりなことを言う。「レバーは味が染み込むんですよ。砂ズリがコリコリでまたおいしい」と独特のおいしさを力説。砂ズリは尾道焼きとかぶるとあえて突っ込むと、「尾道要らんのじゃない?」と仁義なき戦いに火がつきそうだったのでそこまでに留めた。

それにしても広島のお好み焼きにこんなバリエーションが存在するとは知らなかった。広島のお好み焼きは東京など全国にあるが、府中焼きや三原焼きはあんまり見かけない。誰か一通りの広島お好み焼きを出してくれるお店、作ってくれませんか?

【文:境 治】
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