「ボーイフレンド」の背中を押す先輩からの言葉
2021.08.11
独創的なツッコミが印象的な宮川英二さん(39)と黒沼誠さん(38)のコンビ「ボーイフレンド」。8月13日には東京・ヨシモト∞ホールで単独ライブ「60分漫才」を行います。2001年に別のプロダクションで活動を開始し、07年にNSC東京校に入り直す形で吉本興業の所属になりました。新型コロナ禍で収入の軸となっていた営業が壊滅的な状況になり、二人とも既婚者のため家族を養うために苦労も重ねていますが、そんな中だからこそより強くなる「M-1グランプリ」への思い。そして、その後の世界への思いを語りました。
―新型コロナの影響は?
黒沼:コロナ禍で状況もガラッと変わり、仕事もほぼなくなってしまってしまいました。中でも、各地での営業が壊滅的な状況になり、収入的にも激減しています。これはもう本当に、大打撃です。
宮川:僕は子どももいるので、早急にアルバイトを増やしました。そして、奥さんには「大丈夫、大丈夫!」の一点張りです(笑)。
あと、徹底しているのは吉本からの給料明細は死守するということですね。明細が自宅に届く時期は毎月だいたい決まっているので、その頃になるとポストをガードするというか、絶対に僕より先に家族に明細を見られないよう、必ず僕が明細をゲットして誰にも見られない棚の中にスッと入れるというミッションを繰り返しています。
ただ、たまに何かのめぐり合わせで「エッ?」となるくらいまとまった額が振り込まれることもあるんですけど、そんな時は逆に明細を開いて玄関あたりに放置しておいて、妻か子どもが気づいたら「あ、ごめん、ごめん。こんなところにあったのか」という小芝居をしながら額だけ目に入れておいて明細を持っていくということもやったりはしています。完全にピエロですけど(笑)。
―ただ、家族への愛が原動力のピエロだから、やさしいピエロですよね(笑)。コロナ禍で仕事が不安定になればなるほど、ステップアップのためにも賞レースを取ることがより一層求められるのでは?
黒沼:僕らの中でも、今年こそは「M-1」で絶対に決勝に行きたいと思っています。厳密に言うと「行きたい」じゃなく「行くしかない」になってますね。
出場資格的には「M-1」にあと3回出られるんですけど、今年行けなければ、もう今後の人生をどうするのかというところまで考えてもいます。
宮川:番組のオーディションに行っても、必ず「『M-1』ではどこまで行きましたか」というのは尋ねられますしね。最低でも決勝は行ってないと厳しいので、なんとか、そこはクリアしないとなと。
そのためにも、8月13日にヨシモト∞ホールで行う単独ライブはタイトルも「60分漫才」にして漫才一色の内容で、とにかく漫才のスキルを上げる。そして「M-1」で結果を残す。そこに特化した内容にしています。
―新型コロナの影響は?
黒沼:コロナ禍で状況もガラッと変わり、仕事もほぼなくなってしまってしまいました。中でも、各地での営業が壊滅的な状況になり、収入的にも激減しています。これはもう本当に、大打撃です。
宮川:僕は子どももいるので、早急にアルバイトを増やしました。そして、奥さんには「大丈夫、大丈夫!」の一点張りです(笑)。
あと、徹底しているのは吉本からの給料明細は死守するということですね。明細が自宅に届く時期は毎月だいたい決まっているので、その頃になるとポストをガードするというか、絶対に僕より先に家族に明細を見られないよう、必ず僕が明細をゲットして誰にも見られない棚の中にスッと入れるというミッションを繰り返しています。
ただ、たまに何かのめぐり合わせで「エッ?」となるくらいまとまった額が振り込まれることもあるんですけど、そんな時は逆に明細を開いて玄関あたりに放置しておいて、妻か子どもが気づいたら「あ、ごめん、ごめん。こんなところにあったのか」という小芝居をしながら額だけ目に入れておいて明細を持っていくということもやったりはしています。完全にピエロですけど(笑)。
―ただ、家族への愛が原動力のピエロだから、やさしいピエロですよね(笑)。コロナ禍で仕事が不安定になればなるほど、ステップアップのためにも賞レースを取ることがより一層求められるのでは?
黒沼:僕らの中でも、今年こそは「M-1」で絶対に決勝に行きたいと思っています。厳密に言うと「行きたい」じゃなく「行くしかない」になってますね。
出場資格的には「M-1」にあと3回出られるんですけど、今年行けなければ、もう今後の人生をどうするのかというところまで考えてもいます。
宮川:番組のオーディションに行っても、必ず「『M-1』ではどこまで行きましたか」というのは尋ねられますしね。最低でも決勝は行ってないと厳しいので、なんとか、そこはクリアしないとなと。
そのためにも、8月13日にヨシモト∞ホールで行う単独ライブはタイトルも「60分漫才」にして漫才一色の内容で、とにかく漫才のスキルを上げる。そして「M-1」で結果を残す。そこに特化した内容にしています。
©ytv
―これまでの芸人人生で影響を受けた先輩などはいますか?
黒沼:僕は以前「ピース」の又吉(直樹)さんから言ってもらった言葉がありまして。その時はコンビの方向性、自分の立ち位置みたいなことで、かなり悩んでいた時期でして。そこで言ってもらった言葉に救われました。
「お前の場合は相方の宮川のツッコミや存在が特殊だし、芸人から好かれるタイプでもあるから、まずは相方を売り出すべき。そうやって相方を前に出したら、お前にも絶対に光が当たるようになるから、その時のためにお笑い以外でも何でもいいから趣味を作ったり、その時に出せるものの準備をしておけばいい」
ざっくりと概念を言っていただくとかではなく、ものすごく具体的なアドバイスをいただいて、それでスッと目の前が晴れるというか、そんな感覚になりました。
宮川:僕は10年以上前のことになるんですけど、吉本興業に入る前にキーストンプロという事務所にいまして、そこでご一緒していたのが「ハマカーン」さんなんです。
その当時ももちろん「M-1」はあって、ある年、僕らは次が3回戦でルミネtheよしもとで予選に挑むことになったんです。当時は100~200人くらいのキャパの劇場でネタをするのが中心で、ルミネみたいな500人クラスのところは初めてでした。なので、すっかり緊張してしまっていたんです。そこでご連絡をいただいたんです。
「お前らごときが緊張することなんて何もない。明日、お前たちがやるべきことは自分たちみたいなとにかく明るくてバカなヤツらが世の中にいるということを知らせるだけ。普段通り元気良く出て行って、全力でやればいいだけ。何も怖がることはないから」
その言葉をもらって、まだ何も成し遂げもいないのに、何を守ろうとしていたのか。何の失敗を恐れていたのか。そう思えるようになりました。まずは知ってもらうために一歩を踏み出せばいい。それだけのことなのに、変に委縮しちゃって。
今でも、この考え方は何か仕事をする時にいつも出てくるものになっていますし、本当にありがたい言葉をいただいたと思っています。
黒沼:そういう先輩方に恩返しじゃないですけど、良い報告をするためにも、まずは「M-1」で結果を残さないといけないんですけどね。
そして、相方もそうだと思うんですけど、僕らは昔からものすごくテレビが好きなので「M-1」で結果を残し、そこからテレビをにぎわすことができたらなと。
今の世の中は、賞レース以外にもSNSでバズるとか、そういう売れ方もありますけど、僕らはそんなに器用じゃないんですよね。そこでやるのは難しい。二人で力を合わせて、一つのことに向かっていくのが一番力を出せると思っているので、なんとか、ネタで評価されるように頑張りたいと思っているんです。
宮川:お互い地元が八王子なんですけど、今も地元ということでお仕事をいただいたりもしているんですけど、それももちろんありがたいんですけど「地元だから」ではなく「面白いから」「人気者だから」という理由で早くお仕事をいただけるようになりたいなと。
そうすることが、いろいろな意味での本当の恩返しになるでしょうし。そう考えると、とにかく、とにかく、今年の「M-1」で決勝に行くしかないんですけどね(笑)。プレッシャーでもありますけど、もうそれしかないので、なんとか頑張って結果を出します。
■取材後記
黒沼さん、宮川さん、どちらと話をしていても、実に心地よい。話をすること自体が癒しになる。そんな感覚になるくらい、二人とも良い空気を持ち合わせているコンビでした。
常日頃から僕は繰り返し同じことを言っているのですが、芸人さんが売れるために一番重要なもの。それは“かわいげ”だと思っています。
腕があるのは当然のこと。そこから上に行けるかどうかを決めるのはかわいげ。そこのパラメーターに恵まれているお二人に必要なのは、分かりやすい結果を出すこと。その難しさは言わずもがなではあるのですが、何かきっかけがあれば、あとは早い。そんなポテンシャルを感じさせるコンビです。
執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)
1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
黒沼:僕は以前「ピース」の又吉(直樹)さんから言ってもらった言葉がありまして。その時はコンビの方向性、自分の立ち位置みたいなことで、かなり悩んでいた時期でして。そこで言ってもらった言葉に救われました。
「お前の場合は相方の宮川のツッコミや存在が特殊だし、芸人から好かれるタイプでもあるから、まずは相方を売り出すべき。そうやって相方を前に出したら、お前にも絶対に光が当たるようになるから、その時のためにお笑い以外でも何でもいいから趣味を作ったり、その時に出せるものの準備をしておけばいい」
ざっくりと概念を言っていただくとかではなく、ものすごく具体的なアドバイスをいただいて、それでスッと目の前が晴れるというか、そんな感覚になりました。
宮川:僕は10年以上前のことになるんですけど、吉本興業に入る前にキーストンプロという事務所にいまして、そこでご一緒していたのが「ハマカーン」さんなんです。
その当時ももちろん「M-1」はあって、ある年、僕らは次が3回戦でルミネtheよしもとで予選に挑むことになったんです。当時は100~200人くらいのキャパの劇場でネタをするのが中心で、ルミネみたいな500人クラスのところは初めてでした。なので、すっかり緊張してしまっていたんです。そこでご連絡をいただいたんです。
「お前らごときが緊張することなんて何もない。明日、お前たちがやるべきことは自分たちみたいなとにかく明るくてバカなヤツらが世の中にいるということを知らせるだけ。普段通り元気良く出て行って、全力でやればいいだけ。何も怖がることはないから」
その言葉をもらって、まだ何も成し遂げもいないのに、何を守ろうとしていたのか。何の失敗を恐れていたのか。そう思えるようになりました。まずは知ってもらうために一歩を踏み出せばいい。それだけのことなのに、変に委縮しちゃって。
今でも、この考え方は何か仕事をする時にいつも出てくるものになっていますし、本当にありがたい言葉をいただいたと思っています。
黒沼:そういう先輩方に恩返しじゃないですけど、良い報告をするためにも、まずは「M-1」で結果を残さないといけないんですけどね。
そして、相方もそうだと思うんですけど、僕らは昔からものすごくテレビが好きなので「M-1」で結果を残し、そこからテレビをにぎわすことができたらなと。
今の世の中は、賞レース以外にもSNSでバズるとか、そういう売れ方もありますけど、僕らはそんなに器用じゃないんですよね。そこでやるのは難しい。二人で力を合わせて、一つのことに向かっていくのが一番力を出せると思っているので、なんとか、ネタで評価されるように頑張りたいと思っているんです。
宮川:お互い地元が八王子なんですけど、今も地元ということでお仕事をいただいたりもしているんですけど、それももちろんありがたいんですけど「地元だから」ではなく「面白いから」「人気者だから」という理由で早くお仕事をいただけるようになりたいなと。
そうすることが、いろいろな意味での本当の恩返しになるでしょうし。そう考えると、とにかく、とにかく、今年の「M-1」で決勝に行くしかないんですけどね(笑)。プレッシャーでもありますけど、もうそれしかないので、なんとか頑張って結果を出します。
■取材後記
黒沼さん、宮川さん、どちらと話をしていても、実に心地よい。話をすること自体が癒しになる。そんな感覚になるくらい、二人とも良い空気を持ち合わせているコンビでした。
常日頃から僕は繰り返し同じことを言っているのですが、芸人さんが売れるために一番重要なもの。それは“かわいげ”だと思っています。
腕があるのは当然のこと。そこから上に行けるかどうかを決めるのはかわいげ。そこのパラメーターに恵まれているお二人に必要なのは、分かりやすい結果を出すこと。その難しさは言わずもがなではあるのですが、何かきっかけがあれば、あとは早い。そんなポテンシャルを感じさせるコンビです。
執筆者プロフィール
中西 正男(なかにし まさお)
1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。
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