冬将軍って誰?
2021.01.22
この冬は12月中旬、年末、1月上旬と3度、寒波がやってきました。。
シベリア大陸から冷たい空気が日本に流れこんでくると、日本海で水蒸気が補給されて雪雲が発生します。その雪雲が、新潟県など日本海側の地域で大雪を降らせました。
大阪市でも最高気温が3℃以下の日があって、雪が舞い、凍てつく寒さの日もありました。
天気予報でこんなフレーズ聞きませんでしたか?
「あすも冬将軍が居座って大雪と厳しい寒さが続くでしょう」
シベリア大陸から冷たい空気が日本に流れこんでくると、日本海で水蒸気が補給されて雪雲が発生します。その雪雲が、新潟県など日本海側の地域で大雪を降らせました。
大阪市でも最高気温が3℃以下の日があって、雪が舞い、凍てつく寒さの日もありました。
天気予報でこんなフレーズ聞きませんでしたか?
「あすも冬将軍が居座って大雪と厳しい寒さが続くでしょう」
画:蓬莱大介
今回は、冬になるとよく聞く「冬将軍」
この、冬将軍ってそもそもなんやねん!という話しをします。
この、冬将軍ってそもそもなんやねん!という話しをします。
実は、「気温が何℃で冬将軍と表現する」というような決まりはありません。
冬将軍がテレビの天気解説で登場するかどうかは、気象予報士次第なんです。
ただ、空の高さごとの様々な予想天気図を見た時に、冬将軍を使うかどうかのだいたいの目安はあります。
例えば、1500m付近-6℃以下になると地上で雪が降る目安、3000m付近-20℃以下になると大雪の目安、5000m付近-36℃以下も大雪の目安といったように、これらの気温を目安にして、日本列島に寒気が流れ込んでくるような時は、「冬将軍の到来です」なんて表現します。
画:蓬莱大介
各テレビ局の天気予報を見比べて見ると、いろんな冬将軍のイラストが出てきます。だいたいが和風な将軍のイラストですが、もともと言葉の由来は日本ではないんです。
さかのぼること200年以上前。
フランスのナポレオンがロシアを攻めた時、厳しいシベリア大陸の寒さに苦戦し、当時世界最強と言われたナポレオン軍隊がほぼ壊滅状態になりました。
その時のことを当時のイギリスの新聞記者が「あの最強ナポレオンも冬将軍には勝てなかった」と表現して記事に書いたことが、この言葉の始まりと言われています。
英語で「general frost」というのですが、直訳すると「霜将軍」これが「冬将軍」と訳されて、気象関係者の間でも使われるようになりました。
これらを考えると、冬将軍のイラストは「ひげの生えた和風おじさん将軍」ではなく「鼻が高く目の青い外国人将軍」になりますが・・・、あまりピンとこないですね。
ちなみに、冬将軍がいて夏将軍がいないのは、この比喩表現を気象関係者が天気の観点から作った言葉ではないからです。
『かんさい情報ネットten.』(関西ローカル放送)で僕がイラストを描いて伝えるスケッチ予報。かれこれ10年も毎日描き続けています。今までいろんなパターンの冬将軍を描いてきましたので、一部紹介します。どのイラストが良いですか?
画:蓬莱大介
画:蓬莱大介
画:蓬莱大介
1月後半は一旦寒さが和らいでいますが、例年なら2月もまだ寒波はやってきますので、最新の天気予報にご注意下さい。
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネット ten.」「ウエークアップ!ぷらす」の3番組にレギュラー出演中。読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」を執筆。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
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