【愛媛県】「英語?いや飲み屋語!」カシスグレープをマダムロシャスと呼ぶのはなぜ?

バーの借金を取り立てに店におしかけたヤクザ風の男たち。カウンターにはその様子を見ている極妻・龍崎由紀子が座っていた。そこにやって来た、我らが汐留署の刑事、田中主任と女刑事・月島が逮捕状を手に迫る。観念した龍崎に署への同行を求めながら、なぜか「とりあえず出身県を言ってもらおうか」と問う田中。龍崎はキッとなり「極道の女に出身県を聞くとは。あんた、タマとられる覚悟できてるんだろうね!」と凄む。どうして出身県を聞くのか、なぜ聞かれて凄むのかはわからないが、ケンミン刑事定番の展開だ。田中は「そんなに怒るぅ?」とビビっている。

そこに颯爽と現れたのが、刑事課長・神宮寺剣!その姿に再び観念した龍崎は、「しばらくシャバに戻れそうにないから、一杯だけいいかしら」と頼む。神宮寺は「どうぞ」と椅子を勧め、龍崎は最後の一杯をこう注文した。「こいつらには一番高い酒を。私には、マダムロシャス」・・・マダムロシャスってなに?バーテンも戸惑うばかり。竜崎がまた凄む。「マダムロシャスも知らないなんて、あんたほんとにバーテンなの?」

ここで神宮寺がピキーッと反応。独特のプロファイリングが始まった!
「ふるさとは、ただひとつ!そこは障子紙や書道用紙の出荷額が日本一!自転車用ヘルメットの着用率も日本一!さらに、日本で初めて天然ダイヤモンドを産出した県!」
「あなたは、愛媛県民だ!」と指差す神宮寺に、「なんでわかったの!」とめちゃ悔しがる龍崎。出身県を当てられるとなぜ悔しがるのか?
神宮寺が解説する。「一般的に、カシスとグレープフルーツを混ぜたカクテルはカシスグレープと呼ぶ。だがそれをマダムロシャスと呼ぶのは、愛媛県民の証だ!」えー?!そうなの?

愛媛県に行き、結婚式帰りの女子たちにカシスとグレープフルーツジュースを混ぜたカクテルの名前を聞くと「えーと何やったっけ・・・カシスロシャス!」とやはり回答。
「メニューにマダムロシャスって載ってます」ホントですかぁ?「一般常識!」

今度はほろ酔いのマダム&ムッシュに聞くと「マダムロシャスの話?」と食いついてくる。カシスグレープでは?「なんで知らんの?!」と叱られてしまった。

ではカシスソーダ、カシスオレンジと並べてみたらどうだろう?
カシス+ソーダは?「カシスソーダ!」カシス+オレンジは?「カシスオレンジ!」ではカシス+グレープフルーツは?

「やめろやぁ!」とまた怒られた。

愛媛の県庁所在地・松山市の夜、あちこちお店を回って聞いてみた。バーでも「このお店ができた25年前からマダムロシャスでしたね」
大衆居酒屋でも「マダムロシャスです!」カラオケボックスでも「マダムロシャスになります!」ガールズバーでも「マダムロシャスいただきまーす!」

なぜ愛媛県民はマダムロシャスと呼ぶのか?
神宮寺が解説する。「そのネーミングのきっかけになったものがある。」と出してきたのは、香水!そのラベルには、マダムロシャスと書かれているぞ!

「60年ほど前、高知のバーテンダーがオリジナルカクテルを、この香水にちなんでマダムロゼと名付けた。それが高知から愛媛に伝わるとき、高知ではマダムなんとかという香水の名前のカクテルが流行っている、とあやふやに伝わり、フランスの香水といえばマダムロシャスだろう、ということで愛媛ではそう呼ぶようになってしまった。」
龍崎は「愛媛県民っておっちょこちょい」とため息をつく。

愛媛県民はその名の由来を知っているのか?おねえさん二人連れに聞くと「ロシャスってなに?英語?」「ロシャスは英語じゃない、飲み屋語?」と漫才みたいな会話になった。

それにしても、カクテルの名前にも県民独特の呼び名があるとは!県民文化は奥が深いなあ!