私たちの生活を脅かす台風の正体とは
2020.09.14
積乱雲のあつまりがひとつの大きな渦になったものです。赤道よりも少し北の熱帯地域や亜熱帯地域でできる雲の渦を熱帯低気圧といいますが、その風速が秒速17メートル以上になると台風と呼びます。
北半球では地球の自転により、時計と反対回りに風が渦を巻きます。南半球では時計回りになります。
台風は暖かい海面から蒸発した水蒸気をエネルギー源とします。暖かい水蒸気は上昇し、雲を作ります。その際に、放出する熱により上昇気流が強まり、さらに大量の水蒸気を含んだ空気を周辺から渦を巻きながら取り込んで発達します。一般的に海面水温が27℃以上だと台風は発達したり勢力が維持されると言われます。
過去データによると、年間で約26個発生し、約11個が日本から300キロ以内に接近し、約3個が上陸しています。島を通った場合は通過といいます。
台風の「大きさ」や「強さ」は、風速をもとにわけています。雨量や雲の広さとは関係ありませんのでご注意下さい。まず「大きさ」ですが、風速15メートル以上を強風域といい、台風の中心から半径500キロ以上になると「大型」、800キロ以上になると「超大型」と決めています。
最大風速(10分間の平均風速の最大)が秒速33~44メートル未満が「強い」、44~54メートル未満が「非常に強い」、54メートル以上が「猛烈な」と表現するよう決めています。
最大風速が15メートルは、傘をさせないほどの強い風です。
最大風速が25メートルは、何かにつかまっていないと立っていられないほどです。
停電になったり、木が折れたりします。
最大風速が35メートル以上だと、最大瞬間風速(3秒間)は50メートルほどになり、
2018年台風21号の大阪や2019年房総半島台風の千葉で吹いたほどの暴風です。
車が横転したり、看板や瓦が飛ばされたりと非常に危険な状態になります。
台風の周辺の回る風が強くなってくると、真ん中は遠心力によって外側に引っ張られる力が働きます。そうすると、真ん中にぽっかり雲のできないエリアができます。これを台風の眼と呼びます。眼がはっきりしていると、それだけ風が強い証拠です。眼の部分には風が吹き込めず、上昇気流もないので、風が穏やかで一時的に晴れますが、眼の周りは一番雲が発達し風が強いので、要注意です。
©ytv
蓬莱大介(ほうらい・だいすけ)
気象予報士・防災士。1982年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年読売テレビ気象キャスター就任。 現在、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」「かんさい情報ネット ten.」「ウエークアップ!ぷらす」の3番組にレギュラー出演中。 2020年からはkiss-FM KOBE「FRIDAT NIGHT SPECIAL蓬莱大介RAIN SONGS」でラジオパーソナリティーを務める他、読売新聞(全国版)で連載記事「空を見上げて」の執筆スタート。
著書 「クレヨン天気ずかん」(2016年主婦と生活社)
「空がおしえてくれること」(2019年 幻冬舎)
「蓬莱さんのスケッチ予報Calendar2020」(2020年 読売テレビエンタープライズ)
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